102 光泰 もどる 最終回
切腹の時間が来た。
谷衛友「介錯を務めまする、谷甚太郎衛友に御座る」
なにぃ森友だと・・・古いネタだな。流石にもう風化してるよな。
光泰 「森友殿に御座るか、嫌な役目を引き受けて頂きかたじけない」
谷衛友「若輩では御座るが、剣の腕には自信が有るうえ御心配なきよう」
谷森友は二十代ぐらいの若手だった。
本来ならベテランの剣豪が務めるのだが、
もともと羽柴家には、剣豪と呼ばれる人は数少なく、
おまけに明智家の身分が少し高めなので、
釣り合う武士が、彼ぐらいしか居なかったらしい。
切腹とは儀式である。失敗は許されない。
羽柴秀吉にとっても、ここでつまらない失態を見せる訳にはいかない。
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注:重要なお知らせ
【残酷な描写の為、切腹の場面は省かさせて戴きます。
この様な結果になった事を深く反省しお詫び申し上げます。
また谷甚太郎衛友の活躍を見せる機会を失い、大変遺憾に思います】
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皆が見守る中、家老達は見事な切腹をした。
僕は目を瞑って、御祈りしていたので見ていないけど。
とても子供に見せるような物でもないから問題ない。
その後、切腹の際に使用された敷物は、高潔なる血のマントと呼ばれ、
代々明智家の家宝として受け継がれることになる。
なお装備しても、レアスキルは防げない。
全てが終わり、少し落ち着いた頃、坂本城にて。
光泰 「今日からわしは、坂本十次郎光泰と名乗る」
家臣達「明智の名を、捨てなさるのですか」
光泰 「父上の謀反で、明智家は終わったのじゃ」
光泰 「それから初菊、これからわしを光泰と呼ぶのじゃ」
初菊 「はい、光泰様」
なお改名してみたが、余り浸透せず
また直ぐに、明智の姓を名乗る事に成るが。
とりあえず改名した夜、夢を見た。
爺 「光泰様には、申し訳ないことをしました」
光泰 「なんの話だ?」
爺 「戦国の世に、連れてきてしまったことです」
光泰 「気にするな。どうせ現代に残っていても、
家族はみんな死んでるし、将来の夢も無かったしな」
爺 「本当は、一ヵ月で戻す予定だったのです」
光泰 「はぁ?短くないか?」
爺 「実は、本物の十次郎様に歴史を知ってもらい
謀反を止めて貰う予定だったのです」
光泰 「本物の十次郎?十次郎は僕の前世では無いのか?」
爺 「違います、入れ替えただけです」
僕の前前前世じゃなかった♬ただの入れ替わりだった。
光泰 「では、本当は僕の役割を未来を見てきた、
本物の十次郎がする予定だったのか」
爺 「はい、その通りです」
光泰 「本物の十次郎はどうしている?苦労していないのか?」
爺 「申しにくい事ですが、東京オリンピックの
射撃の選手の候補に成っています」
光泰 「ハァ!!!!ちょっとまて、射撃などしたことがないよ」
爺 「どうやら、父親譲りの才能があったらしく
金メダル候補と言われています」
光泰 「明智光秀って火縄銃の達人だったな」
爺 「それから他にも・・・」
光泰 「もう驚かないぞ」
爺 「入れ替わったすぐに、宝くじが当たっていたことが解り、
7億円当選いたしました」
光泰 「そういえば、叔父さんが死ぬ前に買っていたな」
爺 「それから、所有していた株が一気に上がり十倍になりました」
光泰 「叔父さん、株価の低い会社の株をよく買っていたからな」
爺 「あと、大企業の社長令嬢と婚約しております」
光泰 「ちょっとまて、リア充過ぎではないか?」
爺 「結婚した後は、社長に成る予定です」
光泰 「ねえ、泣いていい?」
爺 「最後に、明智光秀の子供の生まれ変わり(自称)として有名人です」
光泰 「僕の人生が無茶苦茶になっている・・・」
爺 「総資産は三十五億です」
光泰 「未来に行けて良かったーか!!」
爺 「それでもう、戻る気は無いそうです」
光泰 「主導権はあっちなの?おじゃる丸なの?まだまだマロは帰らないなの」
爺 「お二人とも戻りたいと思わなければ、元に戻れない仕組みです」
光泰 「ところで、爺って何者なの?」
爺 「よくぞ聞いてくれくれました。畑で倒れ亡くなった後、
目の前に異世界の神と名乗る者が現れ、
異世界のアルフォート国の男爵ブランチュール家の
十五男ブラウニーとして転生し、魔法騎士として勇者パーテーに誘われ
戦う羽目となり、海を越え山を越え、時には意地悪な伯爵令嬢と
ロマンスやハプニングが有りの、長い冒険の末に見事
魔王カルヴァドスを打ち破り、
その後英雄として祭り上げられたのですが、
なにかと煩わしくなり田舎に領地を貰い、修行と農地開拓に明け暮れる、
ほのぼののんびりとした余生を送り、再び寿命が来る前に、
魔王が残した宝物の中に、使い道が解らぬ謎の玉があった事を思い出し、
再び手にした所、なんでも願いを一度だけ叶えてくれる玉だと解り、
悩んだ末に神として日本の行く末を見守りたいと願いましたが、
流石に無理と断られてしまいましたが、神になる修行は出来ると教わり、
長い修行の末見事に神様(下っ端)になり、手始めに明智家が存続した
未来を作って見ようと考えましたが、下級神の神力では、
魂を入れ替えるぐらいしか出来ず、この様な結果になりました」
長い、無駄に長い。
色々、聞きたい所が多かったが、簡単に言うと
異世界転生したのは爺でした。
僕を戦国時代に連れてきた黒幕でした。
後、アルフォートってブルボンのチョコレートだよな。
ブランチュール・ブラウニー・・・今度はブラ被り!!
それから色々パクってないかい。
光泰 「爺は、明智家を守りたかったのか?」
爺 「はい、その通りです」
光泰 「目的を果たせたか?」
爺 「ばっちぐーで御座います」
光泰 「そうか」
爺 「光泰様、元の時代に戻りたいですか?」
光泰 「いや、戻らない」
僕は目が覚めた。
光泰 「ばっちぐーて、誰だ変な英語教えたのは!!!」
初菊 「どうかしましたか」
光泰 「夢に、爺が出てきた」
初菊 「なにかお話になられましたか」
さすがに言えないよな。(爺の名誉の為)
光泰 「初菊と仲良くしなさいと」
初菊 「まあ♡」
初菊は、照れた。
その後、
初菊 「光泰様、アーン」
光泰 「アーン♡」
僕は初菊に、プリンを食べさせてもらっている。
茂兵衛「殿ぉぉぉぉ」
光泰 「どうしたのじゃ」
初菊 「光泰様、お口が」
茂兵衛「あの勇ましいボスは、どこにいったのか」
光泰 「羽柴にはまだ、疑われておる」
茂兵衛「では、うつけの真似をしてなさるので?」
光泰 「日ノ本の国が治まるまでな」
茂兵衛「それはいつ頃に」
光泰 「十八年後じゃ」
茂兵衛「具体的、過ぎませぬか」
光泰 「詳しくは知らぬがな」
十八年で多分終わるよな。
茂兵衛「それよりも母上に怒られそうなので、匿ってくださいませ」
光泰 「鶏の世話はなれたか?」
茂兵衛「童でも容易い役目で御座います。何か他にも御命令下され」
光泰 「浪士組が居るから要らぬ」
一方その頃、姫路城。
権兵衛「わしは何時まで、ここに居るのじゃ?」
権兵衛の事を皆、忘れていた。
秀吉「なにか忘れておるような」
黒田「気のせいで御座いましょう」
権兵衛は、出かけてから一ヶ月がたって、坂本城に帰ってきた。
ちなみに、戻してくれたのは、羽柴秀長である。
権兵衛「酷う御座います」
光泰 「すまぬ、すっかり忘れてた」
権兵衛は、なぜか少しスリムになっていた。
光泰 「痩せたか?」
権兵衛「羽柴の飯は、不味う御座いました」
坂本城の御飯は、結構美味しいと評判になっていた。
なぜなら、僕が城代に成ったので、料理人が頑張ったからである。
本来なら料理頭は、亀山城に残って居なければ成らなかった。
しかし城代の僕より、下手な料理を作る訳にはいかぬと、
料理頭が僕と一緒に、坂本城に付いてきた為である。
ただ僕の料理のレパートリーは、結構少ないので期待されても困る。
光泰 「悪い事をしてしまったのう、これで勘弁せい」
権兵衛「鯛焼きを、早う食べとう御座います」
光泰 「今、作らせておるから待っておれ」
権兵衛「今川焼きもお願い致します」
光泰 「遠慮無しじゃな」
今川焼きは信長の死後、今川氏真の懇意にしている、
京の菓子屋が売り始めていた。駿府でも売る予定らしい。
鯛焼きは、近江や堺など、商人の町で売り始める予定だ。
権兵衛「美味しゅう御座います」
光泰 「今度、バームクーヘンを作る故、楽しみにしておれ」
権兵衛「婆無空変?」
光泰 「切り株の菓子じゃ」
権兵衛「木は流石に食えませぬ」
光泰 「まあ、楽しみにしておれ」
権兵衛「切り株・・・(本気では無いよな)」
この時僕の人生は、平穏?に進むと思った。
だが、まだ今は戦国末期。
坂本光泰は、明智光秀より苦難に満ちた生涯を送る事に成るとは、
この時はまだ誰も思っていなかった。
この話は、百の異名を持つ戦国武将と呼ばれた、男の若き日の物語である。
-終-
光泰 「終わってない。まだ、第一部だから」
やっと終わった。
続編は小牧長久手の戦いまで書きたいけど
資料が少ない。当分無理です。
一旦終了です。