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梨木大嗣  作者: 峯岸
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戦争

「いけー! 攻め落とすのじゃー!」

座布団王国の座布団が落とされまくっていた。座布団の城壁は大将梨木の配下の兵士により、脆くも崩れ落ち、城内への侵入を許してしまう。


「くそ! まさかあんなに早く座布団が突破されるなんて!」

防衛大臣浅川は唸っていた。まさか突破されるとは。

座布団が突破された事実は揺るがない。籠城作戦は次の作戦に移る。

「隠し兵器、湯飲みを持って参れ!」

湯飲みこそ最大の防御。守るくらいなら湯飲みを使え。それは先の王が残した言葉だった。


湯飲みの雨あられ! その戦略兵器に梨木大将は舌を巻いた。


梨木「全軍怯むなー! 湯飲みに負けてはならん!」


しかし、軍の統率は崩れていた。湯飲みに対して為す術がない状態に軍は混乱している。梨木大将の声は哀しくも中を空回りするだけだった。



大臣「城に備蓄された湯飲み全てを失っても構わない!」


梨木「まさか! 蓄えの湯飲みを全てを開放するつもりなのか!? そんなことをしたら、たとえ国を守れても、民の生活は破綻し内乱が起こってしまうぞ!」


大臣はそんなこと100も承知だった。大臣にとっては湯飲も民もいくらでも犠牲にして構わない。とにかく負けられない。

王は既に大量の湯飲みを抱えて逃げた。戦の気配を察知して、民を裏切り、王は誰よりも早く逃げたのだ。


大臣が忠誠を誓ったのは先王に対してである。先王の忘れ形見である国をなんとしても残したい。それだけが大臣浅川の希望だった。


梨木「ち! これ以上踏み込むと両軍が擦り切れるだけか… 」


梨木は判断のしどころを模索していた。この戦いは買っても負けても得るものがない。

速やかに軍を引き王都に引き返すのが正解だろう。電車も今なら出ている。

座布団は既に破壊した。我が軍の兵力の強さは示したのだから、外交的なアプローチで強気に出る方法もある。


梨木は合理的な判断を下そうとしていた

1つ厄介な問題があるとすれば、戦争を止める為のこの戦争は、これから始まる長く続く闘いの幕開けに過ぎない。その事をいかに自国の王と民に説明するかである。


梨木は合理的判断を下した。

最後の電車に全軍を引き上げ、王都駄菓子屋に帰還するのだった…



車内で梨木は呟いた。

「もはや戦争は湯飲みをどれだけ保有するかに掛かっている。湯飲みなき国が生き残ろう等とは、綺麗事なのかもしれない…」


梨木の軍が撤退したあと、某国は座布団を敷直していた。

座布団を直しながら民は何を思っていたのだろうか。

民の中に渦巻く座布団王国への不信感は、ふつふつと沸き上がるのは必然的だろう。内乱、革命の日は近いのかもしれない…


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