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渡り鳥の安息地

-王都ヴィル・サジェス・街内-


 日もすっかり落ち、街も静けさに包まれている。


「くそう……街を見学する余裕もない」


 痛めた足を引きずりながら門兵さんに聞いた宿屋を目指す。ハンターギルド……大通りにある大きな建物の近くにあるナイフとフォークの看板が目印らしいのだが。


「だから悪かったって!いつまでもうじうじと。回復魔法かけただろうが」


 胸元からフソウちゃんが言う。


「うん。魔法(物理)って感じだったけどね。間接自分でハメただけでしょ」

「ちげーよ!ちゃんと魔法かけてクセにならないようにしたっ!」

「もうちょっとなんとかならなかったの?」

「うるせー。アタシは回復系の制御とかあんま上手くねえんだよ……。他のやつなら……」


 バツが悪そうに尻すぼみに反論してくるフソウちゃんかわいい。ほっこりしていると目的の宿屋らしき建物が見える。

 店内に入ってみても誰もいない。


「すみませーん。とりあえず5日の宿泊をしたいんですけどー」

「はいはーい」


 カウンターの奥から若い女性の声が響く。


「いらっしゃいませー。オオワシの留鳥亭にようこそ!すみませんねーお待たせして」

「いえ、時間も時間ですので。それでとりあえず一人で5日間、泊まりたいんですけど空いてますか」

「んー」


 受付嬢さんが台帳をぱらぱら見て


「大丈夫ですよー。では朝食つきでリュニヴェルスィ金貨1枚、素泊まりで銀貨8枚と銅貨5枚です」


 しまった。財布の中身を見ていない。あははと乾いた笑みを浮かべて焦りを誤魔化しつつ財布を取り出してみる。なんか小銭入れがパンパンなんですけど。中には金貨3枚、銀貨4枚、銅貨7枚、鉄貨5枚、石貨9枚が入っている。良かった。


「では朝食つき金貨1枚で」

「かしこまりました。2階の端から2つ目。206号室でお願いします。こちら部屋の鍵になります。食事は5時から8時までの間になりますのでご注意ください」

「ありがとうございます。それでは」


 受付のお嬢さんに別れを告げて指示された部屋へと向かう。

 ベッド脇に荷物を放り思考を巡らせる。

 それにしても日本円にすると5日で1万円か。だいぶ安いな。日本との物価差がすごいな。ビジネスホテルでも1泊3000円はする。5000円も違うのか。

 所持金も日本にいたころと変わらなかったし、私の所持している物はこちらの物に変換されているのかもしれない。後で確認しなければ。ま、それは明日でいいか。今日はもう疲れた。

 そのままの服装でベッドに横になり意識を手放した。

 こうして異世界召還の記念すべき1日目が終了した。

  

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