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剣抜怒張

「キャスト!オォォォオオフッ!!」


 10メートル上空からヤマシロちゃんの咆哮が響くと同時に鎧が弾け飛ぶ。

 前線で勇猛に戦うハンターたちが声のする方を仰ぎ見ると、ヤマシロちゃんを中心に弾け飛んだ鎧がファイアー・ドレイクを次々に打ち落としていた。

 前方3回宙返り1/2捻りエビ型。そしてブレのない着地。キャラ的な意味でも。これはヤマト的にポイント高い。


「私、参上!」

 

 天使だ……とハンターたちは口々に呟く。援軍も無ければ撤退命令も無い。矢は尽き、高位術者ははるか後方。すでに闘うことさえ困難な状況。そんな絶望的な状況で突如現れ、敵を一掃した彼女は救世の天使に見えたことだろう。

 びしっとポーズを決め紺色の水練着……旧スクール水着に身を包んだヤマシロちゃんは、まさしく高天原から舞い降りた天女もかくあらんといった様相だった。……身体が男でなければ。よく見ればもっこりしている。どこがとは言わないけれど。

 しかしひとつだけ言っておきたい。ネームパッチは胸部ではなく、腹部にあるべきだ。具体的に言うと左わき腹辺りに添える様に。


「ってちょっと!なにこれ!?きゃぁあぁあぁ!」


 先ほどとは違う色の咆哮が戦場に響く。顔を真っ赤にしてうずくまる天使、もといヤマシロちゃん。

 空気がほんわかしたものに変化した。ここ最前線なんだけどな。


「フォームチェンジ!」

『タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!』


 音楽プレイヤーを操作して別の鎧を装着するヤマシロちゃん。歌は気にしない。

 こほんと咳払いをしてからハンターたちに向き直る。


「ハンターども!構えぃ!死ぬるは今ぞっ!敵は竜種に四精霊!相手にとって不足なし!命、捨てがまるは今ぞっ!信念がない者は逃げよっ!刀が折れようが、矢が尽きようが、関係ない!武器さえあればなんて思うものが、本当のハンターになれるが筈ない!」


 そこで一息つく。


「なぜならば……なぜならば!自分の力を最後まで信じる者にこそ、真の力が宿るのだから!!剣を取れ!私に続け!突貫!!」


 ヤマシロちゃんが先陣をきって残るファイアー・ドレイクに斬りかかる。我も我もと残る気力を振り絞り後に続くハンター。


「見よ、我が無双の軍勢を!ヤマシロたる私が誇る最強宝具――王の軍勢『アイ○ニオン・ヘタ○ロイ』なり!!」

「絶対違う」

「ま、ねー。違うんだけどねー。唆しただけだしねー。あ、『無○の剣製』はできるけど見る?」

「知ってる。音楽プレイヤーで剣いっぱい召喚するんでしょ?」

「ノリ悪るー」


 そう言って音楽プレイヤーで剣を次々と召喚するヤマシロちゃん。ヤマシロちゃんのアドベ○トカードのデッキ構成が気になる今日この頃。


『刀け……刀……と、とと、ととととととととととととととと刀剣召喚』


 音楽プレイヤーさんが壊れかけのラジオみたいになってる。可哀想だから音声オフとか出来たらしてあげて!


「ゲート・オブ・バ○ロン!!」


 そう言って召喚した剣を次々にファイアー・ドレイクに向かって投擲する。そこも手動なのね。


「ま、これでファイアー・ドレイクはダイジョブっしょ。高いとこは届かないから殲滅は出来ないまでも足止めには十分。ある程度数は減ったし、あとはハンターがなんとかしてくれるっしょ。逃げたいやつは逃げたし任務完了ー?」


 確かに逃げてもいいって言ったし、今闘っている人たちは自ら率先してではある。死んじゃっても自己責任かなーとも思う。でもあの状況で逃げられる人を逆に尊敬するよ……。


「とゆーわけで、あとはお姉ちゃんよろしくぅ」

「おっしゃあ!アタシよりも強い奴に会いに行く!さあ変身だっ!」


 フソウちゃんが人前でここまで乗り気に変身を促したことがあっただろうか。いや無い。


「リリ狩る!マジ狩る!あいきょう!ちょうそうっ!」

「行くぜオラァ!」

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