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挫折

-王都ヴィル・サジェス-


 新大陸の国のひとつリュニヴェルスィ。その王都の近くに召還された。足元に麻袋が置いてある。とりあえず荷物の確認だ。まず身分証。私はハンターギルドに所属しているらしい。特殊技能もちと書いてある。チートのことだろうか。名前はヤマト=フソウ。どういうネーミングセンスなのか。両方日本の異名なのだが。

 次に冊子。タイトルは『サルでもわかる!異世界の歩き方』。……もう何も言うまい。とりあえず中身の確認。

 まずはチート能力について。言葉は日本語がこちらの世界の言葉に変換されるらしい。文字も同様だ。こちらが書くにしても読むにしても。『メタモルフォーゼ』の詳細。規定の文言は『リリ狩る・マジ狩る・哀矜懲創』……バカか。100歩譲ってもリリってなんだ。あとは最後のページにステータスのようなものが書いてある。

 そして通貨レート。信用度の最も高いリュニヴェルスィ通貨は大雑把に石貨=1円・鉄貨=10円・銅貨=100円・銀貨1000円・金貨=10000円。

 あとは食料や着替えなど。

 よし。まずはメタモルフォーゼの確認だな。


「リリ狩る!マジ狩る!あいきょう!ちょうそうっ!」


 ヤケになって叫ぶ。めちゃくちゃ恥ずかしい。ポップでキュートな音楽がどこからか流れ始める。そしてスーツが消滅すると同時に光の粒子が身体を覆う。


「ちょっとなんだこれ!?なんだこれ!?」


 焦りとは裏腹に変身はどんどん進む。胸部を覆っていた光が消えるとサラシに巻かれる。そしてやけに丈の短いセーラー服。長スカート。足元はかかとが潰れたローファー。首元にやけにゴテゴテしたシルバーのネックレスにワンポイントのついたドッグタグ。半被のようなものを羽織って、最後に鉄パイプが握られる。


「夜露死苦ぅ!」決めポーズ☆

 

 変身が終わる。もう無理……。異世界召還10分で私は挫折した。

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