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キャンプだホイ! 頼りになるのはジャックさん!?

「くそっ!なんかあっても知らねえからなっ!」


 肩を怒らせジャックさんが暁班……僕たちの野営しているところにブリーフィングから帰ってきた。暁班というのはこの小隊の呼称。リーダーはジャックさん。僕が暁の守護者に編入したようなものだし。

 今は城塞都市フロンに向かっている道中。道の駅とかパーキングエリアなんて気のきいたものはないので当然野宿だ。


「どうしたんですか?」


 僕が尋ねる。


「聞いてると思うが、今回の討伐作戦についてブリーフィングがあってな、国の方針とやらで一気にやっちまうって事らしい」

「というと?」

「山囲っての山狩りだとよ。ファイアー・ドレイクを巣に集めて広域儀式魔法でドカン。その後に打ち漏らしを各個討伐するっつー乱暴なやり方だ」

「それはまた……」


 素人である僕にはよく分からないけどジャックさんが怒ってるって事は何かまずいんだろうなあ、と思いながら少し呆れた色を混ぜつつ曖昧な相槌を打つ。これもひとつの処世術。

 おばあちゃんが言っていた。愚痴は誰かに同意して貰いたいものだから否定はしちゃダメだって。


「だろぉ!?この作戦には穴がありすぎる!ひとつ、この山にファイアー・ドレイク以外の強力な魔物がいる。ふたつ、こちらが広がって戦力が手薄になったときの対抗手段。んで重要なのが『すでに妖魔軍がファイアー・ドレイクと接触している』ってことが考慮されてねぇ!」


 なるほど。勉強になるなあ。

 僕の頷きを見て肯定ととったのか、ジャックさんは怒気を引っ込めていつもの調子で続ける。ブリーフィングではけっこうエキサイトしてたのかな。


「まあな、分からなくもねえんだよ。妖魔軍が接触してねえならただの魔物の群れだ。むしろ烏合の衆のうちに叩くべきだ。だから包囲作戦前に斥候を出すってことまでは認めさせた……っつーか決まったんだがよ。万が一ってのがあるだろ?」

「その前提でも追い込みのときの散発的な襲撃はどうしようもないですからねえ」

「ああ。だから意見が割れた。最終的にこの依頼を取りまとめてる国のお偉いさんの鶴の一声で決まった。こっちの方が金もかからねえし。ただなぁ……」


 納得のいっていない様子のジャックさん。


「ひとつの部隊……というのはアレですが、任されているジャックさんにとって大変でしょうね。班員の命を任されているのと同義ですから」

「そこなんだよな。うちの班は人数も少ねえし追い込みを任されることもねえと思うんだが、な」


 そこで一息ついて一変おどけた調子で言う。


「ったく。ファイアー・ドレイク1体で白金貨1枚はかてぇってのに。需要がそこまで多いわけじゃねえから多くても数枚ってもんだろうが、それもおじゃんだ。久しぶりのでかい仕事だと思ったんだが、ふたを開けてみりゃあ割の合わねえ仕事だぜ」

「広域魔法なら死体は残らないでしょうからね」


 二人して肩をすくめて笑いあう。


「マテオの爺さんは儀式に持ってかれるだろうから、襲撃されたときは頼んだぜ?魔法使いさん」

「え?ちょっと待っててください。フソウちゃん、ヤマシロちゃん遠距離攻撃って出来る?」

「おいおい。自分の使い魔だろうが……。何で把握してねえんだよ」


 あははと愛想笑いを浮かべて誤魔化す。


「ん?出来るが個別攻撃だけだな。基本アタシはタイマンだからな」

「私は問題ないわよ?フソウ姉に比べればちょっと威力は下がるけど複数相手もイケるわ」

「だそうです」

「おう。状況に応じて頼む」


 その後は取り留めの無い会話と杯を交わし、夜が更けていくのだった。

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