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どうなっちゃうの!?ヤマトのはちゃめちゃシンデレラストーリー!?続きだよ!

「彼の森の王を単騎で討伐せしめた武勇を見込んでお願いしたい」


 ギルド長の言葉に居住まいを正す。


「妖魔の治める地、魔大陸に隣接する城塞都市フロンに向かって貰いたい。フロン南東にあるブリュム・ドゥ・シャルール火山にいる飛竜ファイアー・ドレイクを巡って一悶着ありそうなんだ」

「飛竜を巡って?」

「うむ。妖魔は火竜を軍に編入しようとしている。これは空中戦力を有さない新大陸にとって脅威だ。現在でもハーピー、サンダーバードなどの飛行戦力に有効な対抗手段は弓や魔法しか無い。仮に飛竜が妖魔軍に参入した場合、新大陸軍の対抗手段はほぼ無いといっていい。そこでファイアー・ドレイクの可能な限りの討伐をお願いしたいのだ」


 焼け石に水だがねとギルド長は呟く。少し考えて


「それは私に英雄の真似事をしろ、ということですか」

「言葉が少なかったね。単身で行って欲しいという事ではないのだよ。ハンターギルドから派遣する討伐隊の一員として行って欲しいのだ。そこまで深刻に考えなくていい」


 だよね。そうだよね。異世界召還フィルターを通して考えてしまった。普通、異世界召還=主人公=勇者の図式が成り立つじゃん?それにギルド長御自らこの話ですよ。勘違いしちゃうのも無理は無いよね。僕は悪くない。


「ぷっ」


 赤面し俯いている僕の様子にフソウちゃんが耐え切れずに笑う。


「それは私に英雄の真似事をしろ、ということですか(キリッ。ぷっ!あっはっはっは!こいつバカだ!」


 やめて。リピートとかやめて。


「飛竜を討伐することによって幾人かの命は救われる。その行為は英雄といってもいいのかもしれない」


 ギルド長のフォローが痛い。僕、それは火に油だと思うの。


「フォロー!フォローしてもらってるっ!ひー!もうダメだ!あっはっはっはっは!」


 やっぱり。ってもうダメって、さっきから笑ってますよね。

 先ほどまでの張り詰めた空気が一変、完全に弛緩してしまった。


「で、どうだろう?旅費や滞在費はギルドで持つ。まあ宿はギルド所有のものを使ってもらうわけだが。依頼は討伐のものが中心となるが王都よりは多いだろう。ランクも上げやすい。君にとっては損の無い話だと思うのだが」


 困った風にギルド長が提案をする。

 青田買いのようなものか。有望そうなハンターに投資することで質を維持、向上しようと。


「……出立日時と期間は?」

「出立は1週間後、太陽が真上に来る頃。鐘の鳴る時間に。滞在期間は3ヶ月でお願いしたい」


 旅費はわからないが、3ヶ月の滞在費だけで金貨18枚。王都で無いからもう少し安いか?雑費の金貨20枚というのはこれを見越してのことか。僕個人で見れば参加すれば金貨20枚は帰ってきたようなもの、参加しなければギルドに喜捨することに。ギルド側からしてみればリスクの無い先行投資か。なるほど。


「もちろん3ヶ月を過ぎて滞在しようというのも一向に構わない。その場合、宿賃はかかるがね」


 特に王都でやることも無い。それに僕はこの世界について何も知らない。他のハンターと渡りをつけるまたとないチャンスだ。


「僕はこの要請を受けてもいいと思うんだけどフソウちゃんはどう?」

「くくく。ああ、アタシも構わない。というよりもアタシにいちいち聞かなくてもいい。お前のやりたいようにやれ」

「そういうわけにもいかないんだけどなあ」


 まだ笑っていたフソウちゃんに相談ともいえない相談をして結論する。


「わかりました。そのお話、お受けします」

「ありがとう。団結式が5日後の夕刻にある。もしよければそちらにも参加してくれたまえ」 


 ヒトガタはまだ無理だが、でっかいトカゲ程度ならこの前のような醜態はさらすことも無いだろう。フソウちゃんを守るだなんて無理だけれど、せめて負担を減らせるよう努力しよう。

 守られる立場にあることに思い悩むなど、つまらない自尊心に他ならないのだけれども。

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