シリスティアの父親side
次回更新は10月15日朝です。
今日定期的にくる小鳩便が、シリスティアの侍女から送られて来た。ライナの紹介した、ライアン王国の皇太子カーディナル殿下に愛されているらしいが、シリスティアは気付いていないみたいだと侍女が言って来た。
「大変だ!シリスティアが、ライアン国の王妃になるかもしれない。」
気に入られた相手が悪い。逃げる事は不可能だな。
「本当ですか?ダルトン!」
妻が驚いているがしょうがない。
「ああ、本当だ。シリスティアは気付いていないそうだが、周りが見れば分かるくらい大切にされているようだ。」
侍女のリリーが言っているので確かな事だろう。
「父上、その内ライアン王国から婚姻の申し込みが来そうですね。」
間違いなく来るだろう。多分陛下に打診が来るだろうな。前からライアン王国の皇太子の話しは有名だから、殿下が気に入ったなら、国をあげてシリスティアを妃にしようと手段を選ばないかもしれない。
「この間シリスティアが、賊に襲われたそうだ。カーディナル殿下と護衛達の活躍で怪我はなかったようだ。」
殿下が必死に守ってくれたみたいだな。護衛も優秀だと思うが。
「良かったですわ、それで犯人は捕まったのでしょうね。」
妻が、心配しているが犯人は捕まったようだ。しかし、どうもライナは口止めされたらしい。
「捕まった犯人全員が、内密に処分されたらしい。シリスティアの今後の事を考えて、ライナ達がライアン王国に行く事を勧めたみたいだな。」
手紙にはそう書いてある。カーディナル殿下の希望らしいが都合がいい。
「叔母上がですか?」
ライナが認めたなら大丈夫だと思うが。
「ああ、カーディナル殿下がシリスティアを守らせてください。と懇願したようだ。」
あのカーディナル殿下が、どうしてかシリスティアにベタ惚れなようだと書いてある。
「でも、あのカーディナル殿下と言えば凶悪と言われてますが大丈夫なんですか?」
それは分かっているが、気に入られたのだどうしようもないだろうな。
「侍女のリリーの話しだが、シリスティアの為なら何でもやりそうな方です。と書いてある。」
ある意味恐ろしい気がするが、シリスティアを幸せにできるなら最上の相手かもしれないな。
「多分、シリスティアは逃げる事はできないだろう。顔が怖いのも有名だが、切れ者だと密かに言われている男だ。」
国力もある金持ちの国でもあるが、今まで決まらなかったお妃候補になるとは。
「父上、シリスティアは幸せになれるでしょうか?」
息子が不安そうな顔をしているが言い切るしかないか。
「ライナも、認めているから大丈夫だろう。」
私も含めて家族全員がシリスティアの幸せを願っている。
小話
カーディナル殿下の健気なプレゼント。
「シリスティア嬢の好きな物は何ですか?」
「お嬢様は、魔法具を作るのが好きです」
「プレゼントは何にしたら喜んでもらえますか?」
「実験の被害者…ではなく実験の、手伝いをしたら喜んでくれると思います。」
リリーに聞いたカーディナル殿下は実験の手伝いに行きました。
「シリスティア嬢、手伝います。」
「まあ、ありがとうございます。では、これを持って魔力を少し流してください。」
「はい、うああああああーっ」
「うーん、伸び過ぎですね豆の木もどき。」
「カーディナル殿下、何て健気な。体をはってお嬢様の実験に付き合うなんて勇気がありますね。」
「殿下、健気だな。応援するよ。」
「自分から、進んで被害者になりに行くなんて勇者ですね。」
「殿下!俺は尊敬するぜ!」
リリーやライ達護衛が殿下に感心していました。シリスティアのためなら何でもする殿下なのでした。