魔法使いの思い付きで生まれた初代凶悪顔ライアン王国陛下side
質問が多いのでお話にしました。良かったら読んでください。次回更新は9月25日朝です。
私はこの国の王だ。死んだ父親はとても美しい男だった。私は父親にも私を生んだ母親にも両方の親族にさえ似ていなかった。私が似ているのはワルワル鳥だ!生まれた時から苦労の連続だった。
「ギャー!ーワルワル鳥!」
そう言って産婆に落とされたそうだ、もう一人の侍女が慌てて助けてくれたため死なずにすんだ。
「おおおお、王妃様、男の子でございます。」
震える手で母親に渡されたが私を見た母親は気絶した。又も死にそうになり侍女に命を救われた。
「王妃様!大丈夫ですか!王妃様!」
気が付いた母親はどうしましょう!陛下に似ていないわ!と叫んだそうだ。
「大きな声がしたぞ、どうした王妃。」
母親は陛下の子供だと信用されないと思ったらしい。
「いいえ、な、なんでもありません。」
そこに現れた父親は、私を見て驚愕したが直ぐ表情を取り戻しこう言った。
「この子は私の子で間違いない世継ぎだ!大事に育てるように頼む。」
そう言うと足早に去って行った。と侍女が話してくれた。物心が付くと周りの反応が変な事に気が付いた。誰も私の顔を見て話をしてくれないのだ。
「どうして僕と話をしてくれないの?」
子供心におかしいと思い聞いてみたのだ。
「殿下が偉い人だからですよ、この国の世継ぎですから」
始めはそうなのかと思っていたが違う事が直ぐ分かった。弟が生まれたのだ。
「皆、弟が可愛いと嬉しそうな顔をしている……僕とは笑って話した事などないのに。」
母親も、嬉しそうに弟と話をしている姿をよく見かけた、子供心に寂しく感じたのを覚えている。
「あの王子は本当に陛下の子か全然似てないぞ。」
そんな言葉を彼方此方で良く聞いた。子供の時から大人になってもそんな言葉は減らない。
「拾われて来たのかもな!ははは。弟王子は陛下そっくりなのに。」
それからも、散々弟と比べられ美しくない父親の子供ではないと、影でずっと言われてきた。結婚相手でも苦労の連続だ。私の為に選ばれた気の強い王族の姫君にこう言われた。
「私を殺す気なの!ワルワル鳥にそっくりの男となんて絶対嫌よ!馬鹿にしないで!」
怒って出て行ってしまった。酷い言われようだ。しかし、今更だな断れてばかりだ。弟には、溢れるばかりの縁組みの申し込みがあると言うのに私には一つもない。妃が中々決まらない時に、父親が一人の少女を連れて来た。
「この子が妃だ大事にしなさい。」
そう言って少女を置いて行き半年後に式をあげた。妃は優しい子だったので幸せになれた。私の父親そっくりの子供が生まれた時、私は本当に父親の子供だったと初めて感じたのだ。
「もし、子孫に凶悪顔の子供が生まれたら私と同じ気持ちになる。絶対世継ぎにする様にしなければ、大事にされないかもしれない!」
私は世継ぎだったから大事にされた。世継ぎでなかったら、どうなっていたか分からない。
「グランドデールどうしたの?」
妃が不思議そうに聞いてくる。
「新しい決まりを作る。これから先の子孫の為に、幸せを見つけられる環境を整えなければならない。」
決まりを貴族会議で承認させる事に成功した。これで安心できる。そう思ってた時、子供達が秘密通路で日記を見つけた。読んで見て吃驚した。どうりで父親が私を世継ぎに押すはずだ。
「この日記には真実を書こう。読んだ子孫よすまない私のせいだ。と書いてある。」
酷い真実だな知りたくなかった気もする。
「グラントデール何が書いてあるの?」
妃が興味深そうに聞いてきた。
「凶悪顔の子供達が生まれて来るのは、自分が魔法使いの飼っていたワルワル鳥を馬鹿にしたため強力な魔法をかけられた。解くことができず、ワルワル鳥に似た子供を世継ぎにしなければ厄災が訪れるようにしてあると。」
なんて無責任な父親だ!私が苦労したのは貴方のせいか!それも強力で解くことができないだと!馬鹿にしている!今度の貴族会議でこれを読ませてやろう皆驚くがいい!ふふふ……貴族会議で、この前王の日記を見せると読んだ貴族全員がパニックになった。
そうだろう、今まで私を廃嫡しようと画策した者が山ほど入るだろうから。自ら厄災を呼んでいたと知れば恐怖に陥るのも納得できる。そうなのだ何故か私に危害を加えようとすると不幸になる。これから生まれてくる凶悪顔の子供達よ諦めず幸せになってくれ。