第三十八話
次回更新は9月9日朝です。
貴賓館の一番いい部屋に案内され、リリーにお茶を入れてもらいました。やっとゆっくりできます。
「リリー、凄く歓迎されてるみたいだけどどうしてかしら?」
凄く歓迎されている事を何故か感じるわ。
「お嬢様を、カーディナル殿下がお連れになったからだと思いますが。」
連れて来ただけで歓迎されるなんてカーディナル殿下友達がいないのですか?
「え?どうして?そんな事だけで歓迎されますの?」
この貴賓館人達、カーディナル殿下の事心配してたのですね。
「きっと、初めてお友達を連れて来たので皆さん喜んでらっしゃるのでは。」
そう言えば、お友達が余りいないような事言ってらしたわね。弟さんには一杯居るけど自分は愛想が良くないと。
「そうかしら?喜んでもらえたなら嬉しいですわ。」
お茶を飲み終えた頃ノックの音が聞こえました。声を聞くとカーディナル殿下みたいです。何の用かしら?
ララが、ドアの方に行き応対に当りました。
「お嬢様、カーディナル殿下が部屋に入れてもらえるか、聞いていますがどうしますか。」
何か用があるのかも知れないわね。応接室なら大丈夫よね。
「そちらの応接室ならいいですわ。」
カーディナル殿下が他の人達から勘違いされたら困りますわね。フリード殿下の時みたいに言われるのは勘弁して欲しいですから。
「そうお伝えします。しばらくお待ちください。」
友達として接すればいいわよね。それならお問題なしね。
「応接室にお通ししました。」
色々考えていたら緊張してきたわ、大丈夫カーディナル殿下は優しい人ですもの、友達になった私を守ってくれると言ってくださったから、深呼吸よそうすれば落ち着くわ。応接室に入るとカーディナル殿下が騎士団長と護衛騎士数人と居ました。
「シリスティア嬢、疲れているところに押し掛けて申し訳ありません。貴女に、こちら側からも護衛を数人付けたいと思いまして了承してもらえますか?」
約束を守ろうとそこまでしてくださるのですね。やっぱり優しい方ですわね。顔は凶悪ですけど。
「ええ、ありがとうございます。カーディナル殿下はやっぱり優しい方ですわね。」
思わずにっこり微笑んで言ってしまったわ。カーディナル殿下の顔がリーゴみたいにそまりましたわ。どうしたのかしら?熱でもあるのですか?
「殿下、紹介お願いしますよ。」
騎士団長が殿下に話し掛けています。凶悪顔を真っ赤にさせ固まった殿下の肩を叩いてますわ。
「カーディナル殿下、熱でもあるのですか。私が治しますわ。」
カーディナル殿下にはお世話になってますものこれ位しないとダメね。素早く額に手を当てて治癒術をかけました。
「…シ、シリスティア嬢、あ、ありがとう…」
カーディナル殿下!どうして治したのに倒れるのですか?
「「「「わー!殿下!しっかりしてください!」」」」
お付きの騎士が殿下を揺さぶっています。治したのに倒れるなんて失敗したの?
「シリスティア様、殿下は大丈夫ですが、後でまた来させてもらいたいと思います。それでは御前失礼いたします。」
騎士団長の挨拶が終わると、お付きの騎士達が殿下を抱えて部屋をでていきました。本当に大丈夫なの?リリーとララとライ達が何故か処置なしだと呟いてました。どう言う意味かしら?