第三十一話
次回更新は30日朝です。
今、貴賓室にカーディナル殿下と共にお呼ばれしております。ファンディー国王グルナー陛下と宰相閣下と対峙しております。あの後すぐ伝令の家礼がきてこの部屋に連れて来られたのですわ。
「この度は、カーディナル殿下とシリスティア嬢を危険に晒した事をお詫びいたします。」
宰相閣下がお詫びの言葉を私達にかけられました。
「カーディナル殿下に頼みがある。聞いてもらえるか?」
険しい顔をした、ファンディー国王グルナー陛下に話しかけられています。グルナー陛下が誰かに似ている気がしますが、誰だったか思いだせませんわ。
「陛下直々にお願いとはなんでしょうか?」
この国の騎士達の手際の悪さに腹を立て、凶悪化したカーディナル殿下は迫力ありますわ。負けてませんわね。
「この度の不手際を、国には報告しないで欲しいのだ。」
とても苦しい、苦々しい顔をしてお願いしていますわ。何か不味い事でもあるのかしら?カーディナル殿下が報告するのは当たり前だと思いますわ。
「ほう、犯人を知っているのですね。王族の人間ですか。」
え!賊の首謀者が王族!それはいけませんわ!国が混乱してしまいます。それに下手をすれば間違いなくライアン王国と戦争になってしまいますわ。
「ち、違う何故そう思う!」
そんなに焦っているところを見せると、ばれると思いますわ、グルナー陛下。襲われた私達は、知る権利がありますから、カーディナル殿下が知ろうと思えばどんな手を使っても、真相を暴こうとなさいますわ。
「国として庇うとしたらそのくらいでしょう。この国で言えば、王族以外思い浮かびませんが。」
叔母様達は、こんな事をしでかす不埒な王族が居ることを知っているのかしら?
「カーディナル殿下、賊はこちらで処分しますので内密にお願いします。その代わり、殿下の後押しをさせて頂きます。シリスティア嬢も内密にお願いします。」
宰相閣下が私を見て、カーディナル殿下に言ったみたいですが、意味が分かりませんでしたわ。私は叔母様がこの国に嫁いでますから、言うつもりはありませんわ。
「ん、確約書でも貰えるのなら考えてもいいですが、必ず玉璽印を押したものをお願いします。それなら、国への報告はなしにしましょう。」
カーディナル殿下は、お詫び状でも貰うのかしら?凶悪化した殿下が、多分笑顔になって凄みを増しましたわ。グルナー陛下と宰相閣下が息を飲んで少し怯えた顔をしましたわ。宰相閣下が先に元に戻り、話しかけてきましたわ。
「陛下、カーディナル殿下は確約書で納得して頂きました、舞踏会に行きましょう。お二方も行かれると良いと思います。」
宰相閣下が言ってくださったので、舞踏会のおこなわれている大広間にやって来ることができました。ダンスが始まっているみたいです。王族の誰かが、国王陛下夫妻の代わりに一曲目を踊ったみたいですわね。
「シリスティア嬢、私と一曲踊ってください。」
凶悪化した顔で言われましたわ。本人に悪気はないのだけど、それを見た周りの人達が固まっていますわ。相変わらず凄い威力ですわね。ダンスは得意ではないですが、一曲だけ付き合いますわ。
でも、ライ達の事は聞かれませんでしたわ、多分カーディナル殿下の事で陛下と宰相閣下も一杯一杯だったのですわね。