表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/136

第二十九話

次回更新は28日です。

今私は、ヴァンクルーズ侯爵家正面玄関前にいます。豪華で大きな馬車が止まり、扉からカーディナル殿下が降りて来ました。いつ見ても凶悪な顔ですが本人は笑ってるつもりだと思います。周りに理解されていないのが気の毒ですね。


「シリスティア嬢、すみません!待たせてしまいましたね。」


そんな事はないですわ。唯、余りにも大きく豪華な馬車に、吃驚していただけですわ。


「いいえ、そんな事はありませんわ。」


今、凶悪さが増しましたわ。多分微笑んでいらっしゃるのでしょう。


「あ、あの、お、お綺麗ですね。」


え!真逆のお世辞!いや、嬉しいですが…そんな事が言えるなんて思っていませんでしたわ。


「ありがとうございます。侍女のリリー達のお陰ですわ。」


お礼を言うと、益々凄味が増しましたわ。微笑む度に凶悪化するのは、気の毒としか言えませんわ。


「馬車にどうぞお乗りください。気に入ってもらえると良いのですが。」


気に入るとかの問題ではなく、こんな豪華な馬車に乗る事など滅多にないと思いますわ。


「ええ、ありがとうございます。お世話になりますわ。」


中に入ると色取りどりの可愛いクッションが一杯ですわ。素敵ですわね。


「まあ!素敵!可愛いクッション!もしかして、カーディナル殿下が選ばれたのでしょうか?」


ふふ、冗談を言ってみましたわ。


「はい、貴女に気に入ってもらえそうな物を、時間をかけて選びました。」


え!嘘でしょう!お店の人達や商人は冷や汗ものだったに違いありませんね。それも時間をかけてなんて気の毒に。その光景が想像できますわ。


「センスがいいですわね。座ってもよろしいかしら?」


でも、可愛いクッションに罪はありませんし、座らせてもらいますわ。


「どうぞ、お好きな場所にお座りください。」


窓際の可愛いクッションを選びました。すると何故かカーディナル殿下の顔の凶悪さが今迄で一番になりましたわ。


「このクッションが一番気に入りましたわ。」


と言いますと、何故か首を縦に頷いて満足そうです。


「私もそれが貴女に一番似合っていると思っていました。」


え?趣味が一緒!だったら、ライ達とリリー達の戦闘用の服気に入るかしら?


「ありがとうございます。趣味が一緒ですわね。」



今から舞踏会に出発です。この笑顔を見ていますと、近付く勇気のある人はいないと思えますから、かえって良かったのかもしれません。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ