第二十話
お茶会も無事終わり、馬車に乗って屋敷に戻りました。リールアールも綺麗でしたわ。でも、しばらくは部屋で魔法具でも作りたいですわ。夕食を叔母様達といただき、従兄妹でもある叔母様の息子のシード様に会いました。
「シリスティア、これが息子のシードよ。」
叔父様に似た優しい眼差しのお兄様みたいです。
「初めまして、シード・ヴァンクルーズです。」
シード様はいい人みたいだから、ここで静かに暮らせそうだわ。
「初めまして、シリスティア・プリウラスです。お世話になります。」
魔法具作りながら楽しい毎日をおくらせてもらいます。
「奥様、ファイン伯爵家から急ぎの小鳩便が来ております。」
執事のハイルが手紙を叔母様に手渡しています。
「まあ、何かしら?伯爵夫人からだわ。人を探しているようね。」
叔母様が開いて読み始め話してくれました。
「人ですか?叔母様」
人探しみたいですね。誰を探しているのかしら?
「ええ、茶髪に茶色に瞳を持った水色のドレスの女性知らないでしょうか?と聞いているわ。」
それって、もしかして変装した私の事でしょうか?
「母上に心当りはあるんですか?」
シード様が叔母様に訪ねています。
「ないわね。知らないしパーティー会場でも見てないわ。シリスティアは見かけたかしら?」
叔母様には変装した姿は見られてないようですね。助かりました。
「わ、私も見かけませんでしたよ、叔母様。」
ここは否定させていただきます。言いませんよ。
「急いで返事を書いてあげないと、期待を持たせても駄目でしょうから。」
夕食が終わり部屋に戻りました。ファイン伯爵夫人が捜していたのは、私の事だろうか?と考えているとリリーが話しかけてきました。
「お嬢様、また何かなさったのですか?」
リリーにばれてるの?知らないはずだけど!
「なにかしら?」
誤魔化してみたけど通じるかしら?
「魔法具使いましたね、旅の時見せてもらった物です。」
そうだった!リリー達には見せたのよね、忘れてたわ!
「分かったの?叔母様達には内緒でお願い!」
ばれるのは良くないわ。面倒な事になるから。
「私達はお嬢様に仕える者ですから内緒にしますが、ですがお嬢様危ない事はなさらないでください。」
リリーが真剣な顔で言ってきます。
「ええ、分かったわ。」
これで大丈夫だわ。明日からまた魔法を使って研究よ。楽しみですわ。