第十七話
今、静かに叔母様とお茶を飲んでおります。ゆっくりとして飲むお茶は美味しいですわ。
「シリスティア、この国に来なければならない訳を、聞かせてもらいましょうか?」
うっ、叔母様の目が嘘を付くと許しませんよ!と言ってます。
「私、お父様が選んだ人に間違いはないと思って、デヴュー前にラウネス公爵家のアルバート様と結婚してしまったの」
もっと良く相手を知ってから、結婚しなければいけなかったのですわ。
「ラウネス公爵?ああ、お兄様の友人の一人ね。その息子と結婚したのね。」
初めて見た時は素敵な人なのだと思ってましたわ。
「ええ、素晴らしく魅力的な人で、女性に物凄くもてる人なのですわ。」
愛人が山ほどいる方だとは知りませんでしたわ。
「浮気性な人物なの?父親とは似てないのね。」
お義父様とお義母様は仲が良かったですから、憧れましたわ。
「でも、屋敷では自由に自分の好きな事を、させてもらえましたわ。」
前世を思い出して、魔法が使える事に感激して魔法少女の真似をしたり、魔法具を作ったりして、楽しかったわ。
「そこだけは良いところね。私もマイルドに好きな事をさせてもらっているのよ。」
叔父様の事を話している叔母様は幸せそうだわ。叔父様は素敵な人ですね。
「アルバート様が、使節団の一員として帝国に行かれたのです。その時王女に見初められたそうです。」
噂を聞く限り王女は、アルバート様の好みの女性だわ。私よりお似合いの二人だとおもいますわ。
「それで離婚したのね。後悔はないのね。」
ないです。私はある意味自由でしたわ。そんなところは、アルバート様に感謝してますわ。
「ないですわ。アルバート様のおかげで、お兄様を幸せにすることも出来ましたわ。」
それに、侯爵家に第二王女様をお兄様の所に嫁がせる事が出来ましたわ。
「シリスティア、何故アスティが幸せになるのかしら?」
え?お父様が小鳩便で報せてないのかしら?
「離婚の条件に入れましたの、プリウラス家にグラスフォルダー王国第二王女が嫁ぎますわ。お兄様の秘密の恋人でしたのよ。」
ふふ、アルバート様が私の出した条件を叶えてくれましたわ。こうして考えると、割と私は恵まれてましたね。
「そうだったの、アスティは幸せね。兄思いの妹が居て。シリスティア、貴女は優しい子ね。ここで新しい幸せを探しなさい。」
「はい、叔母様ありがとうございます。」
叔母様の屋敷で、新しい生活を始める事になりました。負けずに自分らしく生きて行きますわ。