第十四話
速いです!スピード出てます。魔法具の威力に感激ですわ。前世ジェットコースター並みに走ってますわ。
こんなに速いと、叔母様の屋敷まで夕方には着きそうね。門が見えるのでライが報告に来ましたわ。
街が、近くなりましたから魔法具を解除させました。
「お嬢様!もうすぐヴァンクルーズ侯爵領中心街門前に到着します」
叔母様に会うのは、小さい頃以来ね。門に行くと、やっぱりみんな笑うのは、カチューシャのせいかしら?
似合うし可愛いですのよ。無事門を通り大通りを馬車で抜けて行きます。
賑やかな様子を見ていると、これからの生活が楽しみになりますわ。
ここで一番大きな屋敷……いいえ、城ですね。話には聞いてましたけど、こんなに大きいなんて、いくつ部屋があるのかしら?
玄関前を守る門番に、名前を確認してもらい中に入れてもらいました。
やっぱり、笑いを我慢している門番に、肩を落としている護衛のガイ、ライ。
カチューシャは不評みたいね。
今度は小さく細い首輪を作ろうかしら。
それにしても、侯爵家の庭園が素晴らしいわ。屋敷の前に、視線を向けると叔母様の姿が見えました。
「お嬢様、お降りください」
降りると叔母様が、笑顔でむかえてくれます。私も自然に笑顔でいられましたわ。
「シリスティア、久しぶりね。大きくなったのね」
私の側に来て抱きしめてくれます。これからお世話になりますから、挨拶だけはきちんとしないといけませんわ。
「お久しぶりです叔母様、お世話になりますわ」
「好きなだけ居ていいのよ。私、娘も欲しかったから大歓迎するわ」
「はい、ありがとうございます」
荷物を侍女達に任せて、私は叔母様と一緒に、叔父様の居る執務室にむかいました。叔父様にも、挨拶しないといけませんわ。
「マイルド、シリスティアが来ましたわ。入っていいかしら?」
叔母様が、ノックして叔父様に聞いてます。緊張しますわ。
「ああ、構わないよ」
優しい声の人だわ。そして普通の顔、安心するわ。
「初めまして、シリスティア・プリウラスです。よろしくお願いいたします」
いいわ〜!流石叔母様の旦那様ね。素敵な人。
「よく来たね、歓迎するよ」
叔父様の、隣にいる人は誰かしら?誰かに似てるけど気のせいかしら?
「何故キース様がここに?マイルド貴方一人と思ってましたわ」
叔母様達の知り合いなのね、イケメンだわ。
「先ほど到着して、ここにおいでになったのだよ」
突然の、お客様のようですね。叔母様が知らなかったみたいですもの。
「シリスティア、紹介しますわ。この方はグランド国王弟キース・グランドール殿下ですわ」
え?殿下!嫌だわ。変な事に巻き込まれたくないですわ。
「キース・グランドールです。キースとおよびくださいシリスティア嬢」
「そんなことできませんわ。初めましてキース殿下。シリスティア・プリウラスと申します」
「で!マイルド!何故キース様が我が家においでですの?教えていただけるのでしょうね」
詰め寄る、叔母様の勢いにタジタジの叔父様です。ふふ。
「そ、それはだな…」
冷や汗ダラダラの叔父様。ちょっと、面白い…違った可愛そう。
「 すみませんライナ夫人!マイルド侯爵は悪くありません!全部甥が悪いのですから。ファンディー国陛下には、我が国の陛下からお詫びの親書を、もう届けてあります」
「甥?誰かしら?」
「グランド国第三王子リイン・グランドールです。母親に頼まれて、ライナ夫人の化粧水を、手に入れるために陛下の許しも得ず勝手に出国したのです」
王家の人間と言えど、順番も守れず無理やりの、ごり押しにでも来るのかしら?
「私は、予約制にしてあるから、来てもらっても上げられないわ」
叔母様が困った顔をしてます。そうですよね、沢山の人達が、待っている人気な製品ですものね。
「はい、分かっております。失礼な事をする前に回収しにきました」
苦笑いしながら叔母様に理由を話してました。失態を起こす前に回収に来たのですね。王子の身分なので、他の人では無理なのですね。
「グランド国の王妃様よりお詫びに、ライナ夫人にミクリンの木の実を持ってきております」
「まあ!ミクリン!欲しかったのよ嬉しいわ」
「甥は、迂回をしてこの領内に来るはずです。もう、そろそろ来るかと思いますが。来るまでお世話になります」
「そう、大変ね。シリスティア、テラスでお茶でもしましょう」
賛成です。ゆっくりお茶したいですわ。嬉しくて笑顔になりますわね。
「はい、叔母様」
「ライナ夫人、私もご一緒してもよろしいでしょうか」
爽やかな笑顔の中に、黒さを感じるわ。どうしてかしら?
「ええ、どうぞ行きましょう」
思わぬ出会いで、キース殿下とお茶をいただくことになりました。誰かに似てるけど誰だったかしら?