第十二話
お昼前に、町の入口に着きました。治癒された事を覚えていない彼等に、自分達は倒れていたので介抱していただけだと説明しましたわ。
感謝より、厄介回避ですわ。
「馬車に乗せて頂き、ありがとうございました」
馬車の側に来てお礼を言われましたわ。
関わりたくない私は、窓から返事を返しました。
名前を、聞かれなくて良かったですわ。
「いいえ気にしないでください。失礼します」
宿に着きました。本当は散歩に行きたかったのですが、後からくる彼等には会いたくないので、宿の部屋で魔法具を作りました。
持ってきたアクセサリーの中から、あまり使わない物を選び、アクセサリーの宝石の中に魔法陣を書き込みます。
変装魔法具ですわ。
まず、上から髪の色と瞳の色を変えます。基本同じ色にしか変えられませんわ。
イメージを膨らませ、魔法陣を出します。
そこに自分の望む効力を、魔力を流し書き込ます。
作り始めは、魔力を使いますので疲れますわ。
「ふう、こんなもので良いかしら?」
「お嬢様お疲れでしょう、お茶でもお飲みください」
「ありがとうララ、いただくわ」
充実した時間を過ごせたわ。やっぱり魔法具作りは面白いわね。
「お嬢様、もうすぐ夕食ですがどうなさいますか」
「食堂で、いただくわ」
昼食は魔法具作りに夢中になって、簡単なものしか食べなかったわ。お腹が空いたわね。
「はい、お嬢様」
賑やかな声が聞こえます。呼びにきた、ララと一緒に食堂に向かいました。
この間、泊まった宿より人が多くいます。
「お嬢様、こちらにお座りください」
椅子をララが引いてくれます。私、お嬢様してるわね。前世じゃ自分で勝手に座ってたのに。
「ええ、ララありがとう」
「「「「「「アリリス神の加護がありますように」」」」」」
「おいしい、ん?これクックのお肉?」
旅で教えて貰ったお肉の味だわ。おいしい!
前世で食べてた、照焼きチキンに味が似てるわ。
「そうだぞ、嬢ちゃんうまいだろ!」
隣の、テーブルのおじさんが教えてくれます。冒険者みたいですね。
数人のパーティーで食べてるわ
「そうそう、この宿で一番うまい物だよ!」
その隣の、お兄さんが自慢してます。うふふ、楽しい。
「ええ、そうですね。他にお勧めはありますか?」
「そうだな、このクリンなんかがいけるぞ」
「はい、いただいてみます。ありがとう!」
「おう、食べてみな!」
「お嬢様、どうぞクリンです」
「リリーありがとう、いただくわ、ん、おいしい」
楽しく夕食をいただきましたから、もう少しだけ魔法具を作りますわ。
前世にあった着ぐるみ!それを人バージョンに変えますわ。
叔母様の、屋敷に着く前に出来るといいのだけど。頑張るわ。