フリードside2
今日朝から、シリスティアの護衛をさせて貰った。
親しくなるチャンスだと思いずっと馬車に並び話しかけていた。
しかし、その結果は散々なものだった。
「シリスティア!町に着いたら案内しますよ」
そう言った瞬間、嫌な顔をされた。
迷惑だと顔に出ていた。くじけずに食事に誘った。
「それでは、食事を一緒に食べませんか?」
彼女は速攻で断ってきた。流石に落ち込む。
騎士団長のランドが、笑い声を我慢できずに吹き出していた。
女性に断られたのは初めての経験だ。
負けずに次の話題を振ると 、彼女の眉間のしわが増えていく。
流石に主人の不機嫌を感じた侍女が、理由をいい断りを入れてきた。
騎獸に乗ったまま呆然としていると、皆の、生暖かい視線を感じた。
可哀想にと顔に出ている。
町に到着したら今度こそ!と思い話しかけようとしたが、避けられた。
明らかに警戒されている。侍女に、シリスティアの事を聞くが話して貰えない。
「今夜も、食事を皆で食べないか?代金は払う!シリスティアに聞いてくれないか」
「すみません。お嬢様は、慣れない旅で疲れていますので、お部屋で食事を取られます」
侍女に頼むが、言われる事が分かっていたのか、姿を表す積りがない事を告げられた。
今まで、こんなに女性を誘うのに苦労した事がない。
お手上げだ。
「フリード様も形無しですね。貴方の隣に立ちたいと、思う女性は山ほどいるのに」
笑いながら言わなくても、分かっている。
幾ら顔が良くても、彼女は興味がないらしい。
「シャルマ、笑うな。避けられたんだ。私だって傷ついている」
「それは、すみませんフリード様」
「フリード様の良さが分からないなんて、彼女は見る目がないですよ」
ディー慰めてくれるのか、優しいな。
「ディーありがとう、頑張ってみるよ。」
「そうだ、まだ時間もあるしチャンスはありますよ、フリード様」
元気になったジュラルドが言ってくれる。
「彼女の才能は王家のために必要です、フリード様」
何時ものふざけたランドではなく、近衛師団騎士団長の真剣な顔で進言してくる。
稀有な才能を持つ彼女は王家に必要な人だ。
「私は、彼女を妃にと思っている。皆もそのつもりで頼む!」
「「「「は!フリード様!」」」」
皆も納得してくれた。後は彼女を手に入れるだけだ。負けるものか!