カーディナル殿下side6(本編三十九話〜四十四話)までの話です。
次回更新は11月28日朝です。
今彼女の侍女が部屋に来て欲しいと伝えに来た。何か不自由な事でもあったのだろうか?心配だ。
「シリスティア嬢が何か用事があるそうだ急いで仕事を終わらせるように手はずを整えてくれ。」
仕事を早めに終わらせて早く彼女のとこに行かなければ。
「はい殿下、わかりました。」
仕事を終わらせると、砦の執務室からシリスティア嬢の部屋をめざして回廊を進むみながら、倒れた時ものすごく心配してもらって嬉しいやら恥ずかしい気持ちを思い出してどんな顔すればいいのだろう?と悩んでたうちに部屋の前まで来てしまった。応接室に通されると私の元にシリスティア嬢がやって来て衝撃的な言葉を聞くとは思いもよりませんでした。
「カーディナル殿下、私いい事を考えましたの。」
にこにこしながら言われたがいい考え?何だろうか?彼女の考えは予想できないからどうすることもできない。
「シリスティア嬢、私にできる事なら何でも協力しますよ。」
貴女を笑顔にできるならなんでもします、どうぞ言ってください。
「まあ!本当ですか?では、私と練習しましょう。」
なんの練習だろう?私には心当たりがないのだが。
「なんの練習ですか?」
不思議に思い聞いてみた。一緒にしてくれるらしいが。
「また倒れないように触れ合う練習ですわ。私と練習すれば倒れなくなりますわ。」
びっくりすることを言われた!触れ合う練習?それでは堂々と彼女に触れられる!やわらかい手に触れても嫌がられない!それを許されると言うのか?私の開いた口が塞がらなくなりそうだ。ぐるぐる考えて理解すると大きな声で叫んでしまった。
「え?ええええー!シ、シ、シリスティア嬢!練習ですか!」
「そうですわ、私が協力しますわ。二人で頑張りましょうね。」
にっこり笑って言われたら断れない、無邪気な笑みを見せられて嬉しいが困る。自分の感情が制御できないとは情けないがしょうがない。
「は、はい、頑張ります。」
思わず返事をしてしまった。しょうがないだろ可愛いく笑ってもらったら断れなかった。シリスティア嬢の提案で練習する事が決まった。それを聞いていた彼女の護衛達に同情されたようだ。
「殿下可哀想だな。仕方がないが。」
「そうですね不憫な、そして男として同情しますよ。」
「殿下の頑張りは涙を誘うぜ!」
と小声で話している。その声がシリスティア嬢にも聞こえたらしい、どうして?と言う風に首を傾げているから間違いないだろう、しかし次の日失敗してしまった。
仕事を終えて練習に行こうと浮かれていたら、私を怖がらない知り合いの侯爵が女神に合わせてくれと言ってきた。普段から私の顔を見ても動じない男で友達の一人だ。シリスティア嬢の迷惑になるかも知れないと思ったが、押し切られてしまった。仕方なくが約束の練習の時間なので連れて行ったがあんな事になるとは思わなかった。
「シリスティア嬢すみません!知り合いの侯爵が突然来まして貴女に是非会いたいと、今押し掛けて来ました。」
冷や汗が出る、静かに暮らしたい彼女にこんな事をしていたら嫌われる。
「シリスティア様初めましてセイジュ・キンシーセンです。」
彼女が怪訝そうな顔をしている。やっぱり断ればよかった。
「初めましてシリスティア・プリウラスです。」
「シリスティア様!女神はどこに隠したのですか!」
「え!女神?なんのことでしょうか?」
「カーディナル殿下とシリスティア様を助けた女神ですよ!」
「シリスティア嬢この間の事ですよ。」
「あ!リリーとララのことかしら?」
「おお!女神様!リリー様とララ様ですか?この間の身姿ではないですな。」
「「女神!私達は違います。唯のお嬢様の侍女です。」
「そんな事はありませんぞ!貴女達は女神です。アリリス神、この出会いに感謝します。」
シリスティア嬢の顔が呆れ顔になっている、これ以上セイジュに喋らせたら嫌われそうだ!私の願いも虚しく侍女達に詰め寄り勘違いな話をするのはやめてくれ!
「キンシーセン侯爵、彼女達は間違いなく私の侍女ですわ。」
「侍女とは仮の姿ですな!分かりました!女神様に嫌われるのは堪りませんから、望みを何でも私に言ってください。」
変な解釈をするセイジュにシリスティア嬢が引いている。まずい!謝るしかない!セイジュ!覚えておけ!許さない!必死に謝るが無視された涙が出そうだ!
「シリスティア嬢すみません!私が無理を通したばかりに迷惑をかけました。許してください!」
「気にしてませんわ。」
許してもらえました!良かった。今日は侯爵が奇行に走り、ひたすら謝る羽目になるとは寿命が縮む思いだった!踏んだり蹴ったりだ。その上次の日侯爵の婚約者に引っ掻き回されるとは付いてない一日が続いた。後でセイジュに文句を言うと、こう言われた。
「カーディナル、我が侯爵家はシリスティア嬢の後ろ盾の一つにならせてもらいますぞ。」
「私もお父様に言って、シリスティア様を支持する側になってくれるように言いますわ。恩人ですもの。」
「大丈夫ですぞ!女神様の信奉者は腐る程いるから反対派など潰されるでしょう。私に天使をくださった方だお守りしますぞ。」
シリスティア嬢の作ったドレスを見る事はできなかったのは残念だったが、セイジュに聞くと素晴らしい物だと言われた。大変だったが彼女を守る伝が増えた事だけは悪くない結果だった。
小話
ライ達とリリー達の会話
「良かったな、着せ替え要員が増えて。」
「ライ、茶化さないでください!」
「リリー、本当の事でしょう顔が嬉しそうですよ。」
「もう!ガイまで酷い!」
「お嬢様凄いぜ!あのドレスをビビアン様に着せたんだろう!」
「どうしてフライがドレスが凄いと知ってるの?まさか覗いてないでしょうね!」
「覗いてないぜ!」
「ああ!そう言えばドレスを魔法具から出した時、失敗してお嬢様が埋もれたから、皆で助けた時見たけど凄い物だったな。」
「え?そんな事があったの?」
「そうか、あの時ララ達いなかったから知らないですね。」
「お嬢様、ララ達には内緒にしてたと思うぜ!」
「「「「……」」」」