彼女が彼になってから ~会長様の前奏曲~
ココはファンタジー世界、カルディリス。
現代に近い技術と魔法が混ざり合った、魔法世界である。
この世界の片隅に、大きな建物がある。
まるでその外観は王都の城のよう。
敷地内に広がる森のなかでは、小鳥が高らかに歌っている。
そう、ここは名門・光凰学園。そして、金持ちのお坊ちゃんが通う男子校である。
その光凰学園を取り仕切る生徒会の生徒会室で、俺――――――――紫堂柊弥は頭を抱えていた。
俺はこの学園の生徒会長として、時に場を仕切り、時に風紀と話し合いをしたり、時に理事長を脅……ゲフン理事長と話し合ったりと学園のため…………いや自分の精神的な苦労をなくすために奔走してきた。
この学園はホモ:6 バイ:3 ノンケ:1 の――――――――――――所謂王道学園だ。
まあこの説明を聞いて大体の人はわかったとは思うが。
おれは腐男子である。
腐っていればわかると思う。
そう、王道学園といえば。
時たま強姦だの何だのと頭の痛くなる自体が起こり、
イケメンには親衛隊なるものが作られ、
まりも頭の変装した、素顔は天使のように可愛いKY転校生がやって来る。
などなど、etc……
それが現実で起これば、どうなると思う?
死 ん で し ま う わ ! !(社会的に)
物心がついた時には、自分の立ち位置が分かっていた俺はそれを回避するために出来うる限りのことをやってきた。
腐男子だがホモにはなりたくないので、今まで同姓に恋愛的な好意は抱いてこなかった。
チワワのような奴を抱いたこともなければ、勿論ゴリマッチョに抱かれたこともない。
そんなこんなで、がむしゃらに頑張った。
まあ、それは達成できたんだ。
でも、でもな?
「なんで、こうなった…………!!!」
――――――それは、俺が王道回避計画を開始してから十年目のことだった。