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トマト
『トマトなんで赤いんの?』
いきなり陽奈子が言った。
『は?いきなり何言いだすの?』
いきなりの友達の言葉に愛生は素で呆れたように返した。
『だってねー、気になるんやもん』
陽奈子はなおも愛生に答えを求め、机に突っ伏しながら足をパタパタと動かしている。
『ハァ……本当、あんたはようわかんないことを聞いてくるなぁ』
またこの子はもうしょうがない奴だな、と愛生は思いながらも左手で素早くスマホを操作しGoo◯leで検索し始めた。
そんな愛生の所作を予想していた陽奈子は、まだ?まだなの?といった感じに仔犬のように目を輝かせ待っている。
『あった……え〜と、ふむふむ』
お目当ての検索内容を見つけた愛生は、まず自分で読み込み始めた。
『私も見せて見せてー!』
待ちきれずにスマホの画面を覗きみようと陽奈子は愛生の背後に回るが、覗き見る事ができない。
陽奈子と愛生の身長差は約20cmもあるせいで、少し愛生が高めにスマホを持ち上げて見せないようにしているため陽奈子にはまったく見えないのだ。