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スライムAの意志

「エビシ、ご飯できたわよー」

「ん……」


 一晩にて抜け出そうと決意、がとんぼ返りして戻ってきてしまった僕達。

 しかも……。


「へぇ、うまく潜入出来ているのね」


 余計なのがついてきちゃったし。

 僕は身体を起こしながら欠伸しながらちらりとベッドの下にいる黄色いスライムを見下ろした。

「ディー、余計なことをするなよ?」

「分かっているわよ。ここで大人しくしていれば良いんでしょ?」

「なら良いんだが……」

 少々、不安だ。

 まぁ……彼女がじっとしてくれるのを信じるしかないか。

 僕は彼女に聞かれないようにため息をついた。

 そして部屋を出て、階段を下り、居間に向かっていくとアミカが食卓に食器を並べながらこちらを見てニコッと微笑んだ。

「おはよ、エビシ」

「あ、ああ、おはよ、アミカ」

 僕は挨拶を返すと、手伝うよ、と口にして台所に向かうと、彼女はお玉を振って笑った。

「良いわよ。座っていて、エビシ」

「あ……悪いな」

 僕が席につくと、アミカは手際よく食器や鍋を運んで支度を完了させた。

「お父さ~ん!食事が出来たわよ!」

「おーう!」

 そして、アミカが席に着きながら鍛冶場の方に向かって叫ぶと、そちらから元気な声が帰ってきた。

 なるほど、オヤジさんは朝から鍛冶をしていたのか。

 やがて、オヤジさんはタオルで手を拭きながらどこか煤けた顔で食卓にやってきた。

「お父さん、せめて顔は洗ってきてよ……」

「うはは、すまんな」

 親子はそんな言葉を交わし合い、オヤジさんはどすっと乱暴に食卓へつく。

 そうして初めて、武器屋の食事が始まる。


「いただきます!」


「それでエビシ、お前はいつまでこの街に逗留するつもりだ?」

 食事を初めて暫く経って、オヤジさんは煮魚を突きながら不意に訊ねてきた。その声にアミカはぴしりとどこか表情を硬くする。

「そうですねぇ……」

 僕は惚けた様子で言いながら慌てて、仲間達に問いかけた。

(どーするんだよ!)

(うむ……とりあえず、普通に考えてみれば、『勇者』はギガを倒すためにまずここに来る訳だ)

 シーが低い声で考えを発する。それを聞いてビーが早口に答えた。

(じゃ、とりあえずギガを倒すまで、って答えておけば良いんじゃねえのか!?)

 とりあえず、その答えが無難だろう。

 僕は一つ頷くと、答えを導き出した。

「とりあえず、ギ……えへんっ、ここの地方の魔物のボスを倒さねばなりませんからね」

「なるほどなぁ、この前のような騒動もあったしな」

 オヤジさんはうむうむと頷きながら味噌汁の椀をつかみ上げてずずず、と音を立てて飲む。

 アミカがどこかほっとした顔で煮物をパクパクと食べる。

「まぁ、武器が足りないようであれば、俺に言ってくれ。とりあえず『胴の剣』や『皮の鎧』とかここらでの標準装備は揃っているからな。エビシの体に合わせる事も出来るしよ」

「それはありがたいですね」

 ちなみに、この身体は自在に変化出来るが、筋力はそこまで上がっていない。

 なので、この勇者の初期装備はほとんど持って歩いているようなものだ。

「で、その間はどうするんだ?ここでずっと居る訳にはいないだろ?外に出て魔物を狩ってレベルアップを狙うのか?」

 オヤジさんはさらに問うてくる。するのが当然、と言わんばかりの口調で。

「………」

 僕は、答えられない。

 仲間は、斬れない。

 それはずっと連帯して生きてきたから……。

 僕らの鉄則だった。仲間を売らないというのは。

(……建前だけでも、答えておけ)

 シーがゆっくりとそう言う。僕は一つため息をつきながら、答えた。


「狩らない」


「……は?」「え?」

(お?)(へっ!?)


 それぞれがそれぞれの反応する。

 その発言をした僕も実は驚いていた。

 でも……うっかり、本音がついて出てきてしまったのだ。

 言葉は、留まる事を知らない。

「僕は魔物とも戦いたくないし、ましてや、みんなと戦うなんて以ての外だ。だから……でも……どうしたら良いか、分からない。どうしたら良いか、知りたいんだ」

 溢れた言葉は、オヤジさんやアミカの手を止めさせていた。

 二人がじっと僕の方を見てくるので、思わず顔を伏せた。

 まずい。僕は遅れて、やっちまった感が出てきた。

 こんなことを言ったら魔物との内通者と分かってしまうかも知れない。

 まずいまずいまずいっ!


「優しいね、エビシは」


 不意に降ってきたのは、そんな声だった。

 顔を上げるとアミカは優しい声で続けて言った。

「それは良い事だと思うよ。考えてみると、どちらが悪かは分からないもんね。私は、エビシを応援するよ」

「俺もだ」

 オヤジさんは苦笑しながら同意した。

「拍子抜けだったが、まぁ、言わんとすることは分かるよ。何でも無作為に削除するべきじゃねえよな」

「でも困ったわね。エビシのレベルを上げるにはどうしたら良いのかしら……?」

 アミカは小首を傾げて眉を顰めてみせる。

 その可愛い仕草に思わず目を奪われていると、オヤジさんが突然、ぱちんと額を叩いた。


「よしっ、俺が稽古をつけてやろう!」


「……は?」


 武器屋のオヤジが現れた!

ハヤブサです。


すみません、試験やら小説新人賞やらで手間取ってしまいました。

書き方も雑になってしまったかも……。


申し訳ありません。

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