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青百合令嬢は過去を忘れ、本当の幸せを選ぶ ~あなたのことはもう忘れました~

作者: 夢子
掲載日:2026/08/27

 仕事を終えて実家へ戻ったエリオ・ロイルは、玄関をくぐったところで、父の第一声に足を止めた。


「エリオ、お前に婚姻の申し込みがあった」


「……()に?」


 思わず聞き返した。


 ロイル男爵家の三男である自分に、婚姻の申し込みが来ること自体は、それほど珍しいことではない。


 ロイル家は、国内でも名の知れた大商会を営んでいる。爵位こそ男爵だが、その商売の規模は爵位以上に大きく、ロイル商会との縁を求める貴族家も少なくなかった。


 ただし――その多くは、兄たちが断った後に回ってくる縁談だった。


 エリオには家を継ぐ予定がない。


 商会を継ぐ予定もない。


 それどころか、幼い頃から興味を持っていた薬草や薬品の研究を続けるため、薬師として生きる道を選んでいた。


 兄たちが家業を支えてくれているからこそ、両親もエリオの望みを尊重してくれていたのだ。


 その結果――エリオは、兄弟の中で最も結婚から遠い男になった。


 もちろん、本人にもその自覚はある。


 女性と過ごす時間より、薬草を眺めているほうが楽しい。


 華やかな舞踏会より、薬品の匂いが漂う研究室のほうが落ち着く。


 恋愛に胸をときめかせるより、薬の調合がうまくいったときのほうが嬉しい。


 そんな自分を、エリオ自身も面白味のない男だと思っていた。


 だから、父が今まで積極的に縁談を持ち込まなかったことにも納得していた。


 それなのに――。


「……相手は?」


「まず座れ」


 父に促され、エリオは近くの椅子へ腰を下ろした。


 向かいに座った父の表情は、いつになく険しい。


 その顔を見た途端、エリオの中に小さな警戒心が芽生えた。


「そんな顔をするような相手なんですか?」


「……これを見ろ」


 父が一枚の紙を差し出した。


 エリオは何気なく受け取った。


 だが、紙に触れた瞬間、わずかに眉を寄せる。


 上質な紙だった。


 一般的な貴族家の釣書とは明らかに違う。紙そのものから、相手の家格が伝わってくるようだった。


 嫌な予感を覚えながら、エリオはゆっくりと名前へ視線を落とした。


「…………え?」


 思わず声が漏れた。


 何度見直しても、そこに書かれている名前は変わらない。


「ビアトリス・シェーンハント……?」


「ああ」


「……あの、ビアトリス嬢ですか?」


「間違いない」


 エリオは言葉を失った。


 シェーンハント侯爵家。


 この国の筆頭侯爵家。


 その一人娘――ビアトリス・シェーンハント。


 社交界では誰もが知る『青百合姫』だ。


 濃い青の髪に灰色の瞳。


 誰もが振り返るほどの美貌を持ち、礼儀作法も教養も完璧。社交界での立ち振る舞いにも隙がなく、王族の婚約者としても申し分のない令嬢だった。


 エリオも王城で何度か見かけたことがある。


 遠くから見ても、その姿は目を引いた。


 凛と背筋を伸ばし、誰に対しても礼を失することなく、それでいて簡単には近づけないような気品を纏っている。


 そんな女性が――なぜ、自分に?


「でも彼女は、第二王子殿下の婚約者だったはずでは?」


「……だった、だ」


「え?」


 父は苦々しく息を吐いた。


「ビアトリス嬢は先日、馬車の事故に遭った」


「事故……」


「ああ。そして、その事故で記憶を失った」


 エリオの目が見開かれる。


「記憶を?」


「ただし、すべてではない」


「……どういうことです?」


「生活に必要なことは覚えている。学園で学んだことも、家族のこともな」


 そこで父は一度言葉を切った。


「だが、王城に関する記憶だけが戻らない」


「王城……?」


「ああ。第二王子殿下とのことも、自分が婚約者だったことも、何も覚えていないそうだ」


 エリオは眉を寄せた。


 生活の記憶はある。


 学園のことも覚えている。


 家族のことも。


 なのに――王城に関する記憶だけがない。


 まるで、そこだけ綺麗に切り取られているようだった。


「……何かを、忘れたかったみたいですね」


 ぽつりと呟く。


 父は答えなかった。


 ただ、何かを見極めるような目でエリオを見つめている。


「父上?」


「エリオ」


「はい」


「この話は、我が家から断ることができない」


 その言葉を聞いた瞬間、エリオは息を止めた。


 侯爵家が男爵家に無理を押しつけているわけではない。


 もっと別の事情がある。


 そして、その事情には、自分の薬師としての知識が関係している。


 そんな気がした。


***


 一週間後。


 エリオは父とともに、シェーンハント侯爵家を訪れていた。


 侯爵家の広い庭園を抜け、案内された応接室へ入る。


 そこにいたのは、侯爵アルバートと夫人のビクトリア、そして――。


「よく来てくれた」


 侯爵が二人を迎えた。


「こちらが妻のビクトリア。そして娘のビアトリスだ」


「ビアトリス・シェーンハントです。よろしくお願いいたします」


「エリオ・ロイルです。こちらこそ、よろしくお願いいたします」


 ビアトリスが微笑んだ。


 その瞬間、エリオは息を呑んだ。


 美しい。


 噂に違わない容姿だった。


 けれど――。


 以前、王城で見かけた彼女とは、どこか違って見えた。


 あの頃のビアトリスは、もっと凛としていた。


 近寄りがたいほどの気高さを纏い、氷のような美しさを感じさせる女性だった。


 けれど今、目の前にいる彼女は違う。


 柔らかな雰囲気をまとい、穏やかに笑っている。


 どこか浮世離れしていて――まるで別人のようだった。


「エリオ君は薬師だそうだね」


「はい。薬の研究をしています」


「シェーンハント領は薬草の産地でもある。興味があるかな?」


「もちろんです」


 その言葉をきっかけに、話題は薬草へと移った。


 シェーンハント領で採れる薬草は品質が高く、薬師たちの間でも評判がいい。


 エリオにとっては、興味深い話ばかりだった。


「特級薬には、あの地域の薬草が欠かせません」


「それは嬉しいね」


 侯爵も楽しそうに笑った。


 気づけば、エリオはすっかり話に夢中になっていた。


 そんな彼の向かいで、ビアトリスは静かに話を聞いている。


 時折、楽しそうに微笑んでは頷く。


 けれど――。


 エリオは何度か、彼女へ視線を向けた。


 笑っている。


 確かに笑っているのだが、その笑顔にはどこか不自然なところがあった。


 まるで、何かを隠すために笑っているように見える。


 やがて侯爵が、静かに口を開いた。


「……では、本題に入ろう」


 新しい茶が運ばれ、侍女が退室する。


 扉が閉じた途端、それまで漂っていた穏やかな空気が変わった。


「今回、エリオ君に婚姻を申し込んだ理由だ」


「はい」


 侯爵は娘へ視線を向けた。


「ビアトリスの記憶については、先ほど話した通りだ」


 エリオは黙って耳を傾ける。


「家族や学園の記憶は、少しずつ戻っている。だが、王城に関するものだけが戻らない」


「……第二王子殿下のことも?」


「ああ」


 その瞬間だった。


 ビアトリスの指先が、ほんの僅かに震えた。


 エリオは見逃さなかった。


「君には薬師としての知識がある。医療の知識もあると聞いている」


「はい」


「それに、人柄も信頼している」


 エリオは黙ってビアトリスを見る。


 やはり、この婚姻はただの縁談ではない。


 何かから彼女を守るためのものなのだ。


「……ビアトリス嬢」


「はい」


「私が婚約者でも、本当に宜しいのでしょうか?」


 ビアトリスは一瞬だけ目を瞬かせた。


 そして、穏やかに微笑んだ。


「はい」


 その笑顔には、不思議なほど嘘がなかった。


「私は、エリオ様が嫌でなければ……婚約していただきたいと思っています」


 その言葉を聞きながら、エリオの胸にはわずかな違和感が残った。


 それでも――彼女の申し出を拒む理由はなかった。


「分かりました」


 エリオは静かに頷いた。


「私でよければ、お受けします」


 ビアトリスの表情が、ふっと緩んだ。


 ほっとしたのだろう。


 その顔を見た瞬間、エリオの胸に不思議な感情が生まれた。


 ――この人を、一人にしてはいけない。


 理由は、まだ分からなかった。


***


 庭園へ出ると、穏やかな風が二人の間を通り抜けた。


 先ほどまでの応接室とは違い、ここには誰もいない。


 色とりどりの花々が風に揺れ、遠くから小鳥の鳴き声が聞こえてくる。


 二人はしばらく並んで歩いた。


 けれど、エリオの中には先ほどから消えない疑問があった。


 やがて足を止める。


「ビアトリス嬢」


「はい?」


「一つ、失礼なことを聞いても?」


 ビアトリスも足を止めた。


「……ええ」


「貴女の記憶は、本当に戻っていないのですか?」


 ビアトリスの表情が固まった。


 風が吹き抜け、青い髪がふわりと揺れる。


 彼女はすぐには答えなかった。


 俯いたまま、じっと地面を見つめている。


 やがて、小さく息を吐いた。


「……やっぱり、お医者様は騙せませんね」


「では……」


「はい」


 ビアトリスは、諦めたように微笑んだ。


「私の記憶は、もう戻っています」


 エリオは息を呑んだ。


「ですが……言えなかったのです」


「なぜです?」


 ビアトリスは答えなかった。


 ただ、少し寂しそうに微笑むと、庭園の奥へ向かって歩き出した。


 エリオも何も言わず、その後を追った。


 二人が向かったのは、人目の少ない東屋だった。


 そこでようやく、ビアトリスは重い口を開いた。


「私がレオナルド様のお気持ちの変化に気づいたのは、二年ほど前です」


「二年……」


「はい」


 第二王子レオナルド。


 幼い頃からの友人であり、かつての婚約者。


 誰もが二人はそのまま結婚すると思っていた。


 もちろん、ビアトリス自身もそう信じていた。


 だからこそ、少しずつ変わっていく彼の態度を、最初は気のせいだと思いたかった。


「少しずつ、私を避けるようになりました」


 会話が減った。


 エスコートも素っ気なくなった。


 以前なら自然に合っていた目さえ、合わせてくれなくなった。


 それでもビアトリスは、自分に言い聞かせていた。


 きっと恥ずかしいのだ。


 婚約者ではなく、一人の女性として自分を意識するようになったのだ。


 そう思いたかった。


 けれど――。


「私は、見てしまったのです」


「何を?」


「レオナルド様が、私の友人だったセリーナ・キュート伯爵令嬢と会っているところを」


 エリオは何も言わなかった。


 一度なら偶然だと思える。


 けれど、二度、三度と続けば、そうはいかない。


 やがて二人は、ビアトリスとのお茶会にまで一緒に現れるようになった。


「私は……もう、自分の心を誤魔化せませんでした」


 そして事故の日。


「レオナルド様から婚約解消を願われました」


「……なぜ?」


「セリーナに子供ができたからです」


 エリオの表情が強張った。


「レオナルド様は、セリーナと結婚したいと言いました」


「ですが……王族でしょう?」


「ええ」


 ビアトリスは苦笑した。


「私も、そう思いました」


 王命による婚約を、王子の一存で解消できるはずがない。


「私は答えを出せず、両親に相談したいと伝えました」


 そして――。


「その帰り道に、事故に遭いました」


 エリオの胸に、嫌な予感が走った。


「その事故は……本当に偶然だったのでしょうか?」


「分かりません」


 ビアトリスの声が、かすかに震えた。


「だから……怖かったのです」


 事故の後、記憶は混乱していた。


 けれど時間が経つにつれ、少しずつ思い出していった。


 家族。


 友人。


 学園。


 そして――レオナルドとのこと。


「私が目を覚ました時には、婚約は解消されていました」


「王家が?」


「ええ。記憶を失った令嬢を王子妃にはできない、と判断したのでしょう」


 ビアトリスは膝の上で両手を組んだ。


「でも、それで良かったのです」


「……」


「私は、もうレオナルド様と結婚する気持ちにはなれませんでした」


 その声は静かだった。


 けれど、その奥には長い間抱えてきた苦しみが滲んでいる。


「もし、あの事故まであの方の仕業だったら……」


 エリオの背筋が冷えた。


「証拠はありません。だから、誰にも言えませんでした」


「……」


「でも、怖かった」


 ビアトリスの声が震える。


「私だけではなく、両親にまで何かあったらと思うと……」


 その言葉を聞いて、エリオはようやく理解した。


 彼女は逃げたのではない。


 自分の身を守るためだけでもない。


 両親を守るために――自分の未来を捨てたのだ。


「私は……情けないですよね」


「いいえ」


 エリオは即座に否定した。


「貴女は、自分を守ったんです」


 ビアトリスが顔を上げる。


「誰かを傷つけるための嘘ではない。ご自分と、ご両親を守るためだったのでしょう?」


「……はい」


「なら、私は賢明な判断だったと思います」


 ビアトリスの瞳が揺れた。


「……怒らないのですか?」


「なぜ?」


「私を騙していたのですよ?」


 エリオは小さく笑った。


「私は、最初から何かあると思っていました」


「……やっぱり」


「貴女は、記憶喪失の演技が少し苦手でしたから」


「ふふ……」


 その瞬間だった。


 ビアトリスの口から、初めて自然な笑い声が零れた。


 その笑顔を見て、エリオは目を細める。


 今まで見てきた笑顔とは違う。


 何かを隠すためでも、相手を安心させるためでもない。


 ただ、心から笑っている。


「でも、無理に聞くつもりはありませんでした」


「なぜです?」


「人には、自分から話せるようになるまで待ってほしいことがありますから」


 ビアトリスは黙ってエリオを見つめた。


 その瞳に、ほんの少しだけ驚きが浮かんでいる。


「それに――」


 エリオは、真っ直ぐ彼女を見た。


「もう一人で怯える必要はありません」


「……え?」


「私は薬師です。何かあれば、貴女の力になります」


 ほんの少しだけ迷ったあと、エリオは続けた。


「婚約者になるのなら……私は、貴女の味方になります」


「エリオ様……」


 ビアトリスの瞳から、一粒の涙が落ちた。


 それを見て、エリオは何も言わなかった。


 ただ、彼女が涙を拭う時間を静かに待った。


 やがてビアトリスは顔を上げる。


 その瞳には、先ほどまでとは違う光が宿っていた。


 ――ほんの少しだけ、誰かを信じてみようと思えた人の目だった。


***


 それから数日後。


 シェーンハント侯爵家の一人娘、ビアトリスが新たな婚約を結んだという知らせは、瞬く間に社交界へ広がった。


 相手は、男爵家の三男――エリオ・ロイル。


 筆頭侯爵家の令嬢と、商家として名を馳せる男爵家の三男。


 あまりにも身分差のある婚約に、最初は驚く者も多かった。


 中には、侯爵家が何らかの事情でこの婚約を決めたのだろうと、好き勝手な噂をする者もいた。


 けれど、そんな噂は二人が一緒にいる姿を見れば、次第に意味を失っていった。


 エリオは、ビアトリスの隣にいる時、いつも穏やかな表情を浮かべていた。


 そしてビアトリスもまた、以前とは比べものにならないほど自然な笑顔を見せるようになっていた。


 ある日、二人で街を歩いていると、ビアトリスがふと足を止めた。


「エリオ様がいてくださると、安心ですわ」


 そう言って微笑む彼女を見て、エリオも自然と頬を緩めた。


「それなら良かった」


 エリオにとっては、何気ない言葉だった。


 けれど、その一言を聞いたビアトリスの表情が、ふわりと明るくなる。


「私は商家の出ですから、街のことには詳しいですよ」


「では……また街へ連れて行ってくださいませんか?」


 少し遠慮がちに尋ねる。


 以前の彼女なら、こんなふうに自分から何かをねだることなど、ほとんどなかった。


 そんな変化に気づいたエリオは、嬉しくなった。


「もちろんです」


「本当ですか?」


「ええ」


 エリオは笑った。


「貴女が知らない店がなくなるくらい、一緒に出掛けましょう」


「……はい!」


 嬉しそうな返事が返ってくる。


 その笑顔を見ていると、エリオまで胸の奥が温かくなった。


 それから二人は、以前よりも頻繁に会うようになった。


 エリオは薬師として忙しく働いていたが、それでもビアトリスのことを忘れることはなかった。


 気分が落ち込んだ時には、いつでも連絡してほしいと伝えた。


 ビアトリスから手紙が届けば、仕事の合間を縫って返事を書く。


 時間ができれば、会いに行く。


 そんな日々を重ねるうちに、ビアトリスの笑顔は少しずつ増えていった。


 箱入り娘だった彼女にとって、エリオと歩く街は、知らないものばかりだった。


 市場を歩けば、店先から聞こえてくる威勢のいい声に目を丸くする。


 庶民が利用する喫茶店では、最初こそ少し緊張していたものの、一口菓子を食べれば嬉しそうに頬を緩めた。


 薬草店に入れば、今まで見たことのない薬草を前に、興味深そうに目を輝かせる。


「これは……何という薬草ですの?」


「それは乾燥させると、鎮痛薬の材料になります」


「そうなのですか?」


「ええ。こちらは少し扱いが難しいですが――」


 そんな話をしている時のエリオは、普段よりずっと楽しそうだった。


 薬の話になると、途端に饒舌になる。


 それを見ているうちに、ビアトリスも自然と笑うようになった。


「エリオ様は、本当に薬がお好きなのですね」


「そう見えますか?」


「はい」


「……少し恥ずかしいですね」


 そう言いながらも、エリオは嬉しそうだった。


 そんな二人の時間は、ビアトリスにとって少しずつ大切なものになっていった。


「エリオ様」


「はい?」


「あのお店にも行ってみたいです」


 街を歩いている途中、ビアトリスが指差した先には、小さな菓子店があった。


 店先には色とりどりの焼き菓子が並んでいる。


「ええ、いいですよ」


「本当ですか?」


「もちろん」


 即答すると、ビアトリスの顔がぱっと明るくなった。


「ありがとうございます」


「そんなに喜ばなくても……」


「だって、エリオ様と一緒に行けるのですもの」


「……」


 思いがけない言葉に、エリオは一瞬だけ言葉を失った。


 けれど、照れを隠すように咳払いをする。


「では、次の休みに行きましょう」


「はい!」


 そんな何気ない約束が、二人の間に少しずつ増えていった。


 そして――。


 ある日のこと。


 二人はいつものように街へ出て、帰る前に喫茶店へ立ち寄っていた。


 楽しい時間はあっという間に過ぎる。


 外へ出る時間になり、ビアトリスは名残惜しそうに店内を振り返った。


「ああ……まだ帰りたくありませんわ」


 その声音には、本当に寂しそうな響きがあった。


 エリオは思わず笑ってしまう。


「また来ればいいでしょう?」


「……本当に?」


「ええ」


 ビアトリスは、じっとエリオを見つめる。


 その瞳に、少しだけ不安が滲んでいた。


「何度でも、一緒に出掛けましょう」


「……はい」


 ようやく安心したように、彼女は微笑んだ。


「では……次は、あのお店にも行ってみたいです」


「あそこですか?」


「はい」


「少し混みますよ?」


「それでも行ってみたいです」


 そう言ってから、ビアトリスは少しだけ俯いた。


 そして、照れたように小さな声で続けた。


「エリオ様と、たくさん思い出を作りたいです」


「……」


 胸の奥が、どくりと鳴った。


 エリオは、自分でも驚くほど強くその言葉を意識してしまった。


 けれど、今それを口にするつもりはない。


 まだ、自分の気持ちに確かな名前をつけられていなかった。


「……ええ。分かりました」


 それだけを返す。


 けれど、その声はいつもより少しだけ低かった。


 二人は並んで歩き出した。


 夕暮れの光が街を柔らかく染め、二人の影を長く伸ばしていく。


 その隣を歩きながら、ビアトリスはふと思った。


(これが……幸せというものなのかしら)


 穏やかで。


 楽しくて。


 誰かと一緒にいても、怖くない。


 第二王子の婚約者だった頃は、いつも誰かに見張られているような気がしていた。


 何をしても正しい令嬢でいなければならない。


 笑う時も、話す時も、振る舞い一つにさえ気を遣う。


 それが当たり前なのだと思っていた。


 けれど、エリオの隣では違った。


 少し失敗しても笑っていられる。


 知らない店に入っても、子供のように目を輝かせても、咎められることはない。


 ただ、「楽しいですね」と笑ってくれる。


 そんな時間を過ごすうちに、ビアトリスの心は少しずつ変わっていった。


 以前の自分が知らなかった『幸せ』を、今の自分は知っている。


 それが、何より嬉しかった。


 だから――。


 この幸せが、ずっと続くと思っていた。


 まさか、その日の夜。


 過去から追いかけてきた男が、再び目の前に現れるとは。


 この時のビアトリスは、まだ知らなかった。


***


 屋敷へ戻った二人を待っていたのは、青ざめた執事だった。


「お嬢様、大変でございます」


 いつもなら落ち着き払っている執事の声が、わずかに震えている。


 その様子を見た瞬間、ビアトリスの胸に嫌な予感が走った。


「どうしたの?」


「第二王子殿下が……お嬢様をお訪ねになっております」


「……え?」


 先ほどまでの笑顔が、一瞬で消えた。


「レオナルド様が……?」


「はい。先ほどから応接室でお待ちです」


 その名前を聞いただけで、身体の奥が冷えていく。


 隣にいたエリオが、そんな彼女の変化にすぐ気づいた。


 けれど、何も言わずに見守っている。


「お父様とお母様は?」


「旦那様と奥様は、先ほど夜会へ向かわれたばかりでございます」


「……そう」


 ビアトリスは俯いた。


 両親が不在になる時間を、狙って訪ねてきた。


 そう考えると、胸の奥がざわついた。


 そして――。


 忘れたはずのない記憶が、鮮明に蘇ってくる。


 冷たい声。


 突きつけられた婚約解消。


 そして、あの言葉。


『セリーナと結婚したいんだ』


 指先が震えた。


 呼吸が浅くなる。


 身体が、あの日の恐怖を覚えている。


 その時だった。


 そっと手を包まれる。


 エリオの手だった。


「大丈夫です」


 低く、落ち着いた声。


「私がいます」


「……エリオ様」


「一人ではありません」


 その温もりが、凍りつきそうだった心を少しずつ解かしていく。


 ビアトリスはゆっくりと息を吸った。


 そして、握られた手に自分の指を重ねる。


「……はい」


 もう一度、深く息を吸う。


「私は、もう逃げません」


「ええ」


「殿下に……会います」


 エリオは静かに頷いた。


「分かりました。私もご一緒します」


「ありがとうございます」


 ビアトリスは、今度は自分からエリオの手を握った。


 もう、あの頃の自分ではない。


 怖くないわけではない。


 今だって、身体は震えている。


 それでも――。


 今の自分には、隣にいてくれる人がいる。


 そして何より。


 自分自身で未来を選ぶことができる。


 二人は並んで、応接室へ向かった。


 ビアトリスはもう、俯いてはいなかった。


 その足取りには、かつてなかった強さが宿っていた。


***



 応接室の前まで来ると、ビアトリスは一度だけ足を止めた。


 扉の向こうにいるのは、かつて自分が愛し、信じていた人。


 もう終わった関係だと、何度も自分に言い聞かせてきた。


 それでも、胸の奥に残った恐怖だけは、そう簡単には消えてくれない。


 そんなビアトリスの隣で、エリオが静かに立っていた。


 何も急かさない。


 ただ、彼女が自分で踏み出すのを待っている。


 そのことが、ビアトリスにはありがたかった。


 小さく息を吸う。


 そして、自分の手で扉を開いた。


 そこには、まるで自分の屋敷であるかのように寛いでいる男がいた。


 金色の髪。


 緑色の瞳。


 整った顔立ち。


 第二王子、レオナルド。


 かつてビアトリスの婚約者だった男だ。


「ビアトリス!」


 レオナルドは彼女の姿を認めると、嬉しそうに立ち上がった。


「久しぶりだね。会いたかったよ」


 まるで、半年の間に何も起こらなかったかのような笑顔。


 その瞬間、ビアトリスの背筋を冷たいものが走った。


 婚約を解消して、もう半年になる。


 それなのに、目の前の男は以前と何も変わっていない。


 いや――。


 変わっていないからこそ、恐ろしかった。


「殿下……本日は、どのようなご用件でしょうか?」


 震えそうになる声を、どうにか抑える。


「決まっているじゃないか」


 レオナルドは、当然のことのように笑った。


「君を助けに来たんだよ」


「私を……?」


「ああ」


 レオナルドは大きく頷いた。


「君は事故で記憶を失ったんだろう? なのに、お父上は勝手にこの男との婚約を決めた」


 そう言って、初めてエリオへ視線を向ける。


 その目には、隠しようのない侮蔑が浮かんでいた。


「だから僕が君を解放してあげる」


 まるで、自分こそがビアトリスを救う唯一の人間であるかのように言う。


「僕のところへ戻っておいで。僕が君を守る」


 その言葉を聞いた瞬間、ビアトリスの胸に、何とも言えない感情が広がった。


 呆れ。


 怒り。


 そして、ほんの少しの悲しみ。


 この人は――。


 本当に何も分かっていない。


「殿下」


「何だい?」


「私は、この婚約を望んでおります」


「……え?」


 レオナルドの笑顔が止まった。


「エリオ様との婚約を、私は望んでいます」


「そんなはずはない!」


 声を荒らげたレオナルドに、ビアトリスの身体がわずかに強張る。


「君は僕の婚約者だ!」


「もう、違います」


「違わない!」


 その声に、胸が締めつけられる。


 怖い。


 やはり怖い。


 けれど、今度は逃げたくなかった。


「殿下」


 ビアトリスは震えそうになる指を握りしめた。


「それは、もう過去のことです」


「ビアトリス!」


 怒鳴り声が部屋に響く。


「僕が迎えに来たんだぞ! 僕は王子だ。君は僕の言うことを聞けばいい!」


「――っ」


 身体が強張った。


 あの日と同じだった。


 声を荒らげるレオナルドを前にすると、身体が勝手に震えてしまう。


 けれど――。


 ぎゅっと、温かな手が彼女の手を包んだ。


 エリオだった。


「大丈夫です」


 その声は、決して大きくはなかった。


 それでも、不思議なほどはっきりと耳に届いた。


「私はここにいます」


「……エリオ様」


「貴女は、一人ではありません」


 その言葉に、ビアトリスはゆっくりと目を閉じた。


 一度、深く息を吸う。


 そして、エリオの手を握り返した。


 もう一度、レオナルドを見る。


「私は、貴方を選びません」


「なっ……!」


 レオナルドの顔が歪んだ。


「私は、エリオ様を選びます」


「そいつに何か言われたのか!?」


「いいえ」


 ビアトリスは首を横に振る。


「私自身が望んでいるのです」


「僕より、そんな男爵家の三男を選ぶのか!?」


「はい」


 迷いのない返事だった。


 レオナルドが目を見開く。


「僕は王子だぞ!」


「存じております」


「なら、どちらに価値があるか分かるだろう!」


 エリオは、それまで黙っていた。


 だが、その言葉には静かに顔を上げる。


「人の価値を、身分だけで決めるものではないと思います」


「……!」


 レオナルドが睨みつける。


 けれど、エリオは目を逸らさなかった。


「少なくとも私は、婚約者を捨てて別の女性との間に子を作り、その子が自分の子ではなかったからと元婚約者に戻るような真似はしません」


「貴様……!」


 レオナルドの顔色が変わった。


 その反応を見て、ビアトリスは静かに問いかけた。


「セリーナ様のお子様は……殿下のお子様ではなかったのですね?」


「……っ!」


 レオナルドの表情が固まる。


「違う!」


 慌てて首を振った。


「僕は騙されたんだ! あの女が僕を騙したんだ!」


「そうですか」


 ビアトリスの声は、驚くほど穏やかだった。


「では、殿下」


「……」


「なぜ、私の元へ戻ってきたのですか?」


 レオナルドは答えられなかった。


「セリーナ様との未来がなくなったからですか?」


「違う!」


「では、なぜです?」


「僕は……」


 レオナルドの唇が震える。


 そして、縋るように彼女を見た。


「君を愛している!」


 ビアトリスは何も言わなかった。


 ただ、目の前の男を静かに見つめる。


 かつては、その言葉をどれほど聞きたかっただろう。


 けれど――。


 今さら聞いても、胸は少しも高鳴らなかった。


「……遅すぎます」


「ビアトリス……」


「私は貴方を信じていました」


 声は穏やかだった。


「貴方に選んでもらえると信じて、ずっと努力してきたのです」


「違う、僕は……」


「それなのに、貴方は私を捨てた」


「……」


「そして今度は、セリーナ様との未来がなくなったから戻ってきた」


「違う!」


「では、何が違うのです?」


 レオナルドは口を開いた。


 けれど、何も言えなかった。


 ビアトリスは、そんな彼を見つめながら、静かに息を吐いた。


「私は、もう貴方の都合のいい場所にはなりません」


「ビアトリス……!」


「私は、もう貴方とは関係のない人間です」


「そんな……」


 その時だった。


「ほう……なるほど」


 静かな声が、応接室に響いた。


 ビアトリスが振り返る。


 開いた扉の向こうに立っていたのは、父アルバートと母ビクトリア。


 その後ろには、数名の騎士も控えていた。


「お父様……!」


 侯爵は娘へ一度視線を向けると、すぐにレオナルドへ目を移した。


 その瞳には、いつもの父親としての温かさはなかった。


「殿下」


「侯爵……!」


「ずいぶんと楽しそうなお話をされていたようですな」


「ち、違う! 僕はビアトリスを助けようと――」


「娘は助けなど求めておりません」


「……!」


「それどころか、娘を最も傷つけたのは貴方でしょう」


「違う……!」


 侯爵の声は低く、冷たかった。


「陛下から、娘への接触を控えるよう申し渡されていたはずです」


「それは……」


「それにもかかわらず、私どもの不在を狙って訪ねてくるとは」


 侯爵の目が細くなる。


「王族として、到底許される行動とは思えません」


「待ってくれ!」


「本日の件は、陛下へすべて報告いたします」


「侯爵!」


「騎士」


「はっ」


「殿下を王城へお送りしろ」


「待て!」


 レオナルドは騎士に囲まれながらも、必死にビアトリスへ手を伸ばした。


「僕はまだビアトリスと――」


「必要ありません」


 その声に、レオナルドの動きが止まる。


 ビアトリスは、まっすぐ彼を見ていた。


「もう、話すことはありません」


「ビアトリス!」


 レオナルドの顔が歪む。


「僕は君を愛している! やり直せる!」


 その言葉を聞いても、もう胸は痛まなかった。


 ただ、静かな寂しさだけが残っていた。


「いいえ」


 ビアトリスは首を横に振る。


「もう、やり直すつもりはありません」


「ビアトリス……!」


「さようなら、レオナルド様」


 騎士たちに連れられ、レオナルドは応接室を出ていった。


 廊下の向こうから、最後まで彼女の名前を呼ぶ声が聞こえていた。


 けれど――。


 今度は、その声に心を揺らされることはなかった。


 扉が閉じる。


 ようやく静かになった応接室で、ビアトリスは小さく息を吐いた。


「……終わった」


 自分でも驚くほど、静かな声だった。


「終わった……のですね」


「ええ」


 隣に立つエリオが頷く。


「貴女自身の言葉で、過去を終わらせたのです」


 ビアトリスは胸元に手を当てた。


 まだ心臓は速く打っている。


 怖かった。


 本当は、ずっと怖かった。


「少し……怖かったです」


「そうでしょうね」


「でも……逃げませんでした」


「はい」


 エリオの微笑みが、優しく彼女を包む。


「私……ちゃんと、自分で選べました」


「ええ。立派でしたよ」


 その言葉を聞いた瞬間、ビアトリスの目から涙が零れた。


 悲しい涙ではなかった。


 長い間、胸の奥に閉じ込めていたものが、ようやく解放されたような涙だった。


「エリオ様」


「はい」


「これからも……私の傍にいてくださいますか?」


「もちろんです」


 迷いのない返事だった。


「私は、ずっと貴女の傍にいます」


 その言葉に、ビアトリスは涙を拭った。


 そして、小さく笑った。


***


「ビアトリス」


 王城への報告を終えた侯爵が、娘の前に立った。


「……済まなかった」


「お父様?」


「お前は、ずっと一人で抱えていたのだな」


「……はい」


 ビアトリスは俯いた。


「王家との関係を考えれば、言えなかったのだろう」


「はい……」


 侯爵は苦しそうに目を伏せた。


「もし、あの頃のお前からすべてを聞いていたとしても……私は『もう少し頑張れ』と言っていたかもしれない」


「……」


「それほどまでに、お前を追い詰めていたのだな」


 父の声に、ビアトリスの胸が締めつけられる。


 ずっと、自分だけが耐えればいいと思っていた。


 父も母も、きっと自分を守ってくれる。


 けれど、そのためには王家との関係を壊してはいけない。


 そう思っていた。


 だからこそ、何も言えなかった。


 侯爵は、そんな娘の肩をそっと抱いた。


「もういい」


「……」


「これ以上、お前が苦しむ必要はない」


「はい……」


「後のことは私に任せなさい」


「……はい、お父様」


 その言葉を聞いて、ビアトリスの目からまた涙が落ちた。


 今度は、幼い子供のように父の胸へ額を預ける。


 ようやく、父に甘えることができた気がした。


 そんな二人を見守っていたエリオへ、侯爵が視線を向ける。


「エリオ君」


「はい」


「娘からすべて聞いた。記憶を失ったふりをしていたことも知っていたそうだな」


「……はい」


「なぜ私たちに話さなかった?」


 問われたエリオは、深く頭を下げた。


「ビアトリス嬢が、真実を恐れていたからです」


「……」


「彼女自身が話せるようになるまで、待つべきだと思いました」


 侯爵は、しばらく黙ってエリオを見つめていた。


 やがて、小さく息を吐く。


「そうか……」


 そして、静かに頭を下げた。


「ありがとう」


「えっ?」


「娘を守ってくれて、ありがとう」


「侯爵閣下、頭を上げてください」


 エリオは慌てたように言った。


「私は……ビアトリス嬢の婚約者ですから、当然のことです」


 侯爵は、そんなエリオを見て穏やかに微笑んだ。


「……それだけではないのだろう?」


「……」


 エリオが言葉を失う。


 そして、隣にいるビアトリスへ目を向けた。


 涙の跡を残した顔で、それでも彼女は嬉しそうに自分を見つめている。


 その姿を見ていると、もう誤魔化すことはできなかった。


「……はい」


 エリオは、ゆっくりと口を開いた。


「私は……ビアトリス嬢を愛おしいと思っています」


「エリオ様……」


 ビアトリスの頬が、ほんのりと赤く染まる。


 侯爵夫妻は顔を見合わせた。


 そして、どちらからともなく穏やかな笑みを浮かべた。


 こうして二人の婚約は、ただの政略ではなくなった。


 二人自身の意思で選んだ、未来への約束となったのだった。


***


 その後、ビアトリスとエリオは予定通り結婚した。


 互いを思いやり、支え合う二人の姿は、いつしか周囲にも知られるようになった。


 二人で街へ出掛けることも、相変わらず多かった。


 市場を歩き、喫茶店で菓子を食べ、時には薬草店で足を止める。


 そんな何気ない時間を、ビアトリスは心から楽しんだ。


 第二王子が公の場から姿を消したこと。


 セリーナが修道院へ入ったこと。


 そんな噂も、しばらくは社交界を賑わせた。


 けれど、人々の関心はやがて別の話題へ移り、過去の出来事は少しずつ忘れられていった。


 ビアトリスにとっては、それで良かった。


 もう、過去に縛られる必要はない。


 誰かの期待に応えるためではなく、自分が望む人生を歩いていく。


 エリオと笑い、街を歩き、たくさんの思い出を作る。


 そんな穏やかな日々こそが、彼女自身で選んだ未来だった。


 隣を歩くエリオが、ふと彼女を見る。


「ビアトリス?」


「はい?」


「今日は、どこへ行きますか?」


 ビアトリスは少し考えてから、嬉しそうに笑った。


「そうですわね……」


 そして、エリオの腕にそっと手を添える。


「まだ行ったことのないお店へ、連れて行ってくださいませんか?」


「もちろん」


 エリオも笑う。


「では、今日は少し遠くまで行きましょう」


「はい!」


 二人は並んで歩き出す。


 以前のビアトリスなら、こんな未来を想像することさえできなかった。


 けれど今は――。


 自分で選んだ人と、自分で選んだ道を歩いている。


 それだけで、胸が満たされていく。


 夕暮れの街に、二人の笑い声が静かに響いた。


 そして二人は、生涯互いを支え合いながら、穏やかで幸せな人生を歩んでいった。


~おしまい~

おはようございます、夢子です。

初めましての皆様、そして夢子を知っていて訪れて下さった皆様、読んでいただきありがとうございます。


このお話は王道の婚約解消話を書きたくなって書いたものです。

もうだいぶ前、それも体調がいまいちな時に一気に書き上げたもので、投稿するかどうするか悩んだものでもあります。


でもね、せっかく書き上げましたから。

是非読んでいただきたい、そう覚悟を決めました。w


通勤通学、休憩中、就寝前など、自由時間のお供になればとそう思っております。


また最近連載小説【私の夫君~聖女のおまけと女性騎士様の、穏やかで賑やかな偽装結婚~】を完結し終えたところですので、そちらも読んでいただけたら嬉しいなと思っております。

書いていて楽しい作品でしたので、少しでも興味を持っていただけたら目を向けていただけると嬉しいです。


それでは、皆様、この辺で……

また次回作でお会いできることを楽しみにしております。


2026/8/27 夢子

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