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彼女に選ばれた日

はじめまして。イギリスに住む高校生で、ライトノベルを書くのはまだまだ初心者です。日本語も勉強中で、まだ中級くらいのレベルですが、少しずつ挑戦しています。


この物語は、私自身の心に秘めた想いをもとに書いています。口には出せないけれど、頭の中で何度も繰り返してしまう――そんな淡い気持ちを形にした作品です。


言ってしまえば、これは私の“もしも”の物語。想像の世界でこそ叶う、小さな恋の夢を言葉にしたものです。


まだ文章は拙いですが、少しでも読んで楽しんでもらえたら嬉しいです。

俺は昔から、恋愛というものに縁がない。


十六歳にもなれば、周りでは普通に付き合い始めたり、恋の話で盛り上がったりしている。けれど、俺にとって恋愛はどこか現実味のないものだった。まるで、自分とは関係のない物語の出来事みたいに。


だから――


まさか、あんなことが起きるなんて、思ってもいなかった。


春。

学校へ向かう道を歩いていると、優しい風に乗ってモクレンの花びらがひらひらと舞っていた。まるで新しい一年の始まりを告げる、恋の前奏曲みたいだった。


まだ少し寒くて、俺はマフラーをぎゅっと締め、コートのジッパーを一番上まで上げて、ポケットに手を突っ込む。そうして校舎に近づいていくにつれて、周囲の甘ったるい雰囲気が、まるで無数の針のように心に刺さってくる。


手をつないで笑い合うカップル。

腕を絡ませて楽しそうに話している二人。

風の中で抱き合いながら、蜂蜜よりも甘い言葉を交わしている連中までいる。


……見ているだけで、正直つらい。


耐えきれなくなった俺は、少し足を速めて教室へ向かい、いつもの席に座って朝のホームルームを待った。


そもそも、俺がこんなにも恋愛に絶望的になった理由は――全部、あの人のせいだ。


ヴァイオレット・レイヴンズウッド。


容姿も、性格も、まるで物語の中から出てきたみたいに美しい少女。

彼女は、俺の席から右斜め前、二つ先の席で、地政学の本を静かに読んでいる。


絹みたいに長い金色の髪は、窓から差し込む淡い陽の光を受けてきらきらと輝き、ページをめくるたびにさらりと揺れた。

本に集中している彼女の青い瞳は、思わず見とれてしまうほど澄んでいる。


普通なら、こんなに綺麗な子は男子に大人気だと思うだろう。

だけど、不思議なことに彼女の魅力に惹かれているのは、むしろ女子のほうが多い。男子とつるむ姿はあまり見かけず、いつも同じ数人の親しい友達と一緒にいる。


俺とヴァイオレットは、どちらも学校のプレフェクト――つまり風紀委員だ。

後輩の勉強や学校生活をサポートする役割をしている。


今でも思う。

あの時、プレフェクトになることを決めて本当に良かった、と。


……だって、毎朝こうして彼女と同じ空間にいられるんだから。


休み時間や昼休みになると、プレフェクトの控室に集まる。

もちろん、俺たちはそれぞれ自分の友達グループと話しているから、直接関わることはほとんどない。


それでも――


気づけば、俺はいつも彼女のほうを見てしまっている。


自分から話しかける勇気なんてないくせに、

ただ、少しでも距離が縮まればいいのにと願いながら。


……我ながら情けない。


ほんの数歩で手が届く距離にいるはずなのに、

ヴァイオレットはまるで別の世界にいるみたいに遠く感じる。


そして今日も、いつも通りの何でもない一日が終わった。


教科書とノートを鞄にしまい、帰る準備をする。

教室を出たその瞬間――


誰かの腕が、突然俺の首に回された。


振り返った瞬間、俺は固まった。


目の前にいたのは――

ヴァイオレットだった。


輝く青い瞳。

そして、柔らかな笑顔。


「ねえ、インディゴ。今日、一緒に帰らない?」


「お、俺と……?」


「うん? 他に誰がいるの?」


くすっと笑いながら、彼女は首をかしげる。


「な、なっ……!」


「ふふ、なんでもない」


帰り道では、主にプレフェクトの仕事の話とか、学校のこととか。

特別な会話なんて何もない。

まあ、そんなものだろうと最初から思っていた。


やがて、家に帰る道が分かれるロータリーに着いた。


そこでヴァイオレットは、俺の前にくるりと回って立つ。

風に揺れる髪を指でいじりながら、少しだけ上目遣いでこちらを見る。


「ねえ、インディゴ……」


彼女は小さな声で言った。


「明日も……一緒に帰ってもいい?」


頬がほんのり赤く染まっている。


「も、もちろん……いつでも」


俺はほとんど反射的にそう答えていた。


……いや、待て。


どういうことだ?


ヴァイオレットみたいな子が、俺なんかに興味を持つはずがないだろう。


――本当に、何が起きてるんだ?


頭の中がぐちゃぐちゃになりながら、

俺はただ呆然と立ち尽くしていた。

僕はイギリスで高校に通っている学生です。そのため、この作品に登場する学校生活は、イギリスのグラマースクールでの私自身の経験をもとにしています。


日本の学校とは少し違って、イギリスでは基本的に一日中同じ教室にいるわけではありません。代わりに「フォーム(Form)」というクラスグループがあり、朝の時間はそのグループで過ごします。また、このフォームは寮やハウスのような役割も持っていて、『ハリー・ポッター』のグリフィンドールのようなイメージに近いです。


その後の授業では、自分が選択している科目によって教室を移動します。つまり、日本のように先生が教室に来るのではなく、生徒が先生の教室へ移動する形になります。


休み時間や昼休みには、校内のいろいろな場所で友達と過ごすことができます。グラウンドでサッカーをしたり、芝生の上でピクニックのようにお昼を食べたりすることもあります。また、音楽の練習室を予約して友達とセッションしたり、さまざまな昼休みのクラブ活動に参加することもできます。


この作品では、こうしたイギリスの学校生活の雰囲気がよく登場します。そのため、日本の読者の方に少しでも分かりやすくなるよう、このあとがきを書いてみました。

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