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5話 決別

街を巡回するディナール。

平民を守るため歩む改革の道。

しかし目の前に横暴な貴族を見つけ、怒りが抑えきれない――

財布の中の金の軽さに気づくほど、理想と現実のギャップに悩む王子の決断とは

「……まあいい。パトロールを続ける」

「よくないです」

「平民を守るための金だ。問題ない」

口ではそう言った。

だが内心、皮肉に笑う。

金の支配を壊すために、金を喰われる力を使う。

なんという構造だ。

 

負傷者を病院へ送り届け、再び街へ出る。

その途中で耳に入った噂。

南地区を管轄する貴族。

平民をなぶることが趣味。

税を理由に、制裁を与える男。

 

そして。

 

そいつが、目の前にいた。

 

「南地区の滞納期間が過ぎた。そろそろ罰を与えるとするか」

(……は?)

拳が、無意識に握られる。

俺は踏み出そうとした。

だが。

前に進めない。

タミィの手が、俺の腕を掴んでいた。

「離せ」

「噂です」

「関係ない」

「あります!」

振り向く。

彼女は必死だった。

「今のあなたは、改革者ではありません」

「なら何だ」

「怒りに酔っているだけです」

 

何かが、切れた。

 

「お前も見ただろう」

「見ました」

「なら分かるはずだ!」

「だから止めてるんです!」

「俺は間違ってない!」

「間違っています!」

 

静寂。

 

彼女の瞳が揺れていた。

恐怖じゃない。

悲しみだった。

 

「あなたは……独裁者になりかけています」

 

その一言が、刃のように刺さる。

 

「見損なったぞ、タミィ」

 

自分でも驚くほど、冷たい声だった。

彼女の手を振り払う。

身体神化を発動。

 

「お待ちください!」

 

呼び止める声を、無視した。

 

振り向かなかった。

 

——振り向けなかった。

 

 

貴族に追いつく。

「なんだ、王子か」

「さっきの話だ」

「滞納には罰を。それが法だ」

「事情は調べたのか」

「必要ない」

 

土魔法――殺地刀。

 

刃が、手に宿る。

 

「本気か?」

貴族は笑う。

「何もしていない人間を斬る王子。面白いな」

「黙れ」

「斬れ。だがその瞬間、お前は王子ではなくなる」

一歩、距離を詰められる。

「力で気に入らない相手を殺す。それは我らと何が違う?」

 

喉が熱い。

 

殺せる。

簡単だ。

 

だが。

 

タミィの言葉が、脳裏をよぎる。

独裁者。

 

俺は、止める仲間を突き放した。

 

——今の俺を止める者はいない。

 

刃が、震えた。

 

俺は、殺せなかった。

 

殺地刀を解除する。

 

「……行け」

 

「賢明だ」

貴族は嗤い、去っていく。

 

取り残された。

 

静まり返った路地。

 

俺は拳を握る。

 

……俺は、一人では駄目だ。

 

怒りに任せれば、どこまでも堕ちる。

 

それを止めていたのは、タミィだった。

 

だが。

 

俺が、突き放した。

 

火種は、俺が撒いた。

 

もう、後戻りはできない。

おお!こんなに!

あっどうも!Maronです。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

貴族と自分の愚かさを知ったディナールが選ぶ行動と、

撒いた火種とは何なのか。コメントに是非考えを書いてみてください!

コメントとブックマーク、評価は私のモチベーションに繋がります!

どしどししちゃってください!

Maronでした。

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