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4話 正義の価値

魔法・経済格差平等改革、フェーズ1が始動する。

王子として街を巡る中で、ディナールはこの国の腐敗を、嫌というほど思い知ることになる。


魔法・経済格差平等改革フェーズ1。

――治安維持。

俺はタミィと並んで街を歩いていた。

表通りは平和そのものだ。

露店。笑い声。子供の足音。

だが、平和は“見える場所”にしか存在しない。

「……静かすぎるな」

「嵐の前触れでなければよいのですが」

その直後だった。

「やめてください……!」

か細い声。

続く、男の嘲笑。

場所は路地裏。

人目を避ける位置。

陰湿だ。

「タミィ、巡回を続けろ」

「単独行動は危険です」

「だからだ」

権力者が絡むなら、俺が行く。

俺は裏路地へ踏み込んだ。

壁際に追い詰められた平民。

その前に立つのは、豪奢な衣服の男。

貴族。

「何をしている」

低く問う。

男はゆっくり振り返り、鼻で笑った。

「……ランソワ家の王子か。ちょうどいい」

「答えろ」

「教育だよ。身の程を教えてやっている」

平民を蹴る。

「こいつらは金も魔法もない。つまり“価値がない”」

胸の奥で何かが弾けた。

だが、今回は違う。

怒りに飲まれない。

俺は一歩前に出る。

「その理屈なら」

魔力を巡らせる。

「今この場で、お前の価値を測ってやろう」

身体強化。

視界が澄む。

男も詠唱に入る。

火属性だ。

だが――遅い。

踏み込む。

拳を叩き込む。

詠唱が途切れる。

もう一撃。

壁に叩きつける。

「ぐっ……!」

男が呻く。

「正義ごっこか? 王子様が平民を庇うだと?」

「違う」

俺は男の胸倉を掴み、低く告げる。

「これは“投資”だ」

男が怪訝な顔をする。

「民を守ることは、国への投資だ」

拳を振り上げる。

だが――止めた。

殺すのは簡単だ。

だが、それは改革じゃない。

「二度と同じことをすれば」

魔力を指先に集める。

魔生成。

ほんの小さな圧力定義。

男の足元の石畳が、音もなく砕ける。

「次は地面じゃ済まない」

男の顔から血の気が引いた。

「……覚えていろ」

捨て台詞を残し、逃げる。

追わない。

今はこれでいい。

震える平民に手を差し出す。

「立てるか」

「……あ、ありがとうございます……」

その目には、恐怖と同時に戸惑いがあった。

王子が、助けた。

それが異常なのだ。

背後から足音。

「単独行動は危険です」

タミィだ。

「状況は?」

「排除済みだ」

彼女は砕けた石畳を見る。

「魔生成を?」

「ほんの少し」

「威嚇としては最適です」

即答だった。

「……怒ってないのか」

「なぜでしょう」

「殴った」

「殺していません」

淡々としている。

「それに」

彼女は平民を見る。

「殿下の選択は、理にかなっています」

胸の奥の熱が、少しだけ和らぐ。

身体強化を解除する。

そのときだった。

違和感。

ポケットに手を入れる。

軽い。

嫌な予感。

財布を取り出す。

……空だ。

五百万を払った後でも、まだ残っていたはずの金。

消えている。

「……やられたか」

「戦闘中に、ですか」

「いや」

違う。

もっと前かもしれない。

塔か。

街に入ったときか。

あるいは――

魔生成の発動時?

胸が冷える。

治安維持にも、金が要る。

被害者の治療費。

補償。

情報網。

「殿下」

タミィの声は静かだ。

「改革には資金が必要です」

「ああ」

拳を握る。

魔法も。

正義も。

この国では――

無料じゃない。

「フェーズ1、修正だ」

「と、言いますと」

「治安維持と並行して、“資金源”を確保する」

タミィがわずかに微笑む。

「それでこそ、殿下です」

路地裏を後にする。

だが胸の奥には、新たな疑問が残った。

俺の金は、どこへ消えた?

偶然か。

それとも――

誰かが、動いているのか。

どうもMaronです。

ついにはじまりましたね。

スカッとする話になったのでしょうか。

私はスッキリしました。

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では!さよならー!

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