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11話 切り開く者

壊すのは簡単だ。

だが、壊せば誰かが傷つく。

なら——

壊さずに、道を作れ。

善意貴族が仲間に加わってから三日。

復興は進んでいた。

だが、貴族街の空気は変わらない。

「動きがある」

善意貴族が低く言った。

「一部の貴族が、南地区への支援を止めようとしている。

 理由は“前例を作るな”だ」

「……前例?」

「平民を守る王子。

 それを支持する貴族。

 彼らにとっては脅威だ」

その日の夜だった。

南地区の倉庫が封鎖された。

魔法式の結界。

支援物資は中にあるのに、誰も入れない。

「兵は?」

「王都警備は動かない。命令が止められている」

子どもの泣き声がした。

食料が尽きかけている。

俺は結界に手をかざした。

……強い。

無理やり破れば、周囲を巻き込む。

「壊せる?」

タミィが静かに聞いた。

「壊せる。だが、暴発する」

被害が出る。

迷った。

その瞬間、背後から声がした。

「王子。決断を」

善意貴族だ。

「あなたが躊躇えば、彼らは笑う」

分かっている。

だが——

「爆ぜさせるわけにはいかない」

俺がそう言った時だった。

タミィが前に出た。

「任せてください」

「無理だ。これは五重式だ」

「壊す必要はありません」

振り返った。

その目は、あの海岸の日とは違っていた。

震えている。

でも、逸らしていない。

「いつも“選ぶ”のはあなたでした」

「……」

「でも、今日は違います」

結界に触れる。

指先が、焼ける。

「私は、守られるためにここにいるんじゃない」

魔力が走る。

爆発ではない。

裂け目だ。

結界の構造、その“繋ぎ目”に細い線が走る。

「……そこか」

俺が気づいた時には遅かった。

タミィの魔力が、縫い目を断つ。

バキ、と音がして、

結界が崩れた。

爆発は起きない。

ただ、道が開いた。

タミィが膝をつく。

「おい」

駆け寄る。

「平気……です」

嘘だ。

指先が黒く焦げている。

「壊したんじゃありません」

息が荒い。

「隙間を……切り開いただけです」

善意貴族が息を呑む。

「そんな精度の魔法……」

タミィは俺を見た。

「あなたが迷ったら、私が動きます」

心臓が、嫌な音を立てた。

「……無茶をするな」

「止められるより、

 置いていかれる方が怖いんです」

あの日と同じ言葉。

だが、意味は違う。

もう彼女は、“止める側”ではない。

自分で道を作る側に立った。

倉庫の扉が開く。

歓声が上がる。

だが俺は、タミィの指を見ていた。

焦げた痕。

消えないかもしれない。

「代償は?」

小さく聞く。

タミィは笑った。

「……少し、感覚が鈍いだけです」

少し、か。

その背中は、もう“守られる仲間”のものではなかった。

俺はようやく理解した。

切り開くのは、

俺だけじゃない。

そしてそれは——

必ず、何かを削る。

Maronです。

昨日はすみませんでした。出すのが遅れました。

その代わり明日2話連続制作です。

どういう回になるでしょうか。

コメント、ブックマークお願いします。

Maronでした。

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