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第二部10



「ああ、報告は先に受けている。おめでとう、また君の伝説が増えたということだな」


「それでは『予定通り』今度は西に戦力配備を進めてくれたまえ」


「もちろん、そう急ぐこともないから十分な休息と補給の上でだ。なあに……まだ時間はある」


「ふふふ、何をいまさら。本気だとも。ああ、安心したまえ、国家方針の決定責任はすべて私にある。君はただ国法に基づいて軍権を行使しただけのこと。……うむ、……ふむ、そう、そうだとも。あの狂犬のようなファシストを信用できるとでも本気で思っているのかね?」


「どれだけ国家間における禁断の掟破りだとしても、西側の守銭奴たちは目の前の自己利益を否定することなどできるわけがない」


「最初こそ非難めいたことを口先で宣ったとしても、結局自分たちの存亡を天秤にかけてまで上っ面の正義やら信義やらに殉じる覚悟などあるわけがないのだ」


「これは希望でも想像でもない、歴史的事実だ。あの帝国主義の病巣が世界中にこれまでまき散らしてきたものを思い出してみたまえ。どれだけの有色人種が卑劣な横紙破りと差別的で不利な契約によって、辛酸をなめてきたと思っている?」


「ああ、全く問題ない。決定的に関係が破綻するほどに我が国をどこも拒絶も否定もできるわけがない」


「今、アイツらが最も渇望しているのは、あの伍長上がりの独裁者さえどうにかできればと、ただそれだけだ」


「……では、急がなくてもいいとは言ったが、パーティには必ず間に合うよう、時間の厳守だけはくれぐれも気を付けたまえ」


「今度は演習ではない。本番なのだから」



 さあ、地獄の釜の蓋を開けようではないか。



 第二部完




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