誰も知らない世界
みんなは日没後、人気のない場所で何が起きているのか知っているだろうか。
ーーー知らなくても無理はない……俺もそれを知ったのはたった今だったからだ。
俺は直斗、高校の同級生の哲平と一緒に放課後、日没までゲーセンに行き、深夜になってしまったとはいえ、そのまま何事もなく帰る予定だった。
しかし哲平と別れた直後、俺は不気味な空気を背後から感じ、背筋に鳥肌が走った。怖い。ヤバい。マジで怖い。
そこから俺は必死だった、何も覚えていないまま、走って家に帰って母ちゃんに泣きついた。
ーーー親友の助けを求める叫び声が耳に残って離れない、どうしてそんな状況に突然今夜会ったのか不思議でならない。そうだ、なんで俺が?
そしてどうして、よりにもよって10年前、川で溺れ死んだ俺の友人の悲鳴なんだ。もう聞きたくない、やめろ。俺から離れろ。不気味で、気持ち悪い、俺の親友のような''何か''よ。
俺をあやしてくれる母ちゃんの声が聞こえない、''悲鳴''がさっきより近づいているからだ。
―――そして俺は、悲鳴に頭と耳を打たれながらも、あまりの恐怖で震え、息が詰まってそのまま意識を失ってしまった。
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「はあっ!はぁ……!うぅ……」
目が覚めると、見慣れた天井。そこは俺の寝室で、変わった事は何も無い。
ただ昨晩、俺が突然意識を失ったという事実だけが残っており、母ちゃんは大事をとって俺に学校を休ませた。
しかし、この時の俺は知る由も無かった……俺が本格的に、昨晩のような''恐怖''とは切っても切り離せなくなってしまうなんて。
科学をもってしても未踏の''何か''に主人公、直斗が対峙する小説です。