その答えでいいなら
レビューありがとうございます
「よく、見てみい」
久しぶりに聞くイントネーションが
とても懐かしかった
さっき歩いてきた、あの丘は
はるか遠くにあって
何かひとつの額縁の中に
おさまって見える絵画のようで
不思議な感じがした
風はおだやかに聞こえて
あなたの声は
それ以上に
わたしのココロを踊らせた
見せたいものがあると言って
わたしを誘った
いったんは地元に戻ってきたけど
また、すぐに帰らないといけないし
別にいいよ、と
わたしは言った
それなら余計に見ておかないと
あなたは少年のような眼差しで
わたしを誘ったから
断ることが出来なかった
こんなに肩幅が大きかったかな・・
背中から見たことはあまりなかった
わたしは、景色よりも
じつはそちらのほうが
気になっていた
あの弱々しく映ってたときとは
まったく違っていて
大人になったね、とつぶやいた
だけど、
こんなに素晴らしい景色を見たのは
記憶にはなくて
それにあなたの言葉が何よりも
新鮮でいて
独特の言い回しって
地元だから分かるな、と
「あなたのココロは
いま晴れやかでいますか?」
ココロの中でつぶやいた
嫌なときは
どんなふうに乗り越えてますか?
わたしがあまりにも
はしゃいでいたらしく
周囲の人に
迷惑でいたこと
あとから聞いて知った
まっすぐに一点だけを見つめたと思ったら
そのあと、すぐに
迷いがあるんだ、と
あなたは言った
そう打ち明けられたら
ここにいる、わたしが
聞かないといけないんだろう
最小限のわたしの意見が
果たして
答えになるのか分からないけど
あなたの迷いは恋のこと
「好きな人がいたっておかしくないよ」
「好きでいてくれる人は幸せ者だよね」
わたしがあなたに言った
答えではなくて
あなたの迷いが少しでも
消えたなら
うれしいけれど
「じつは、あなたのことがずっと好きでした」
わたしが誰かにそっと告げた
あの頃が懐かしいね
いまと変わらぬ、イントネーションで
あなたは、
『冗談だろ』と
少年のような眼差しで
照れて笑った
あの頃のこと