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04:皇帝来りて-2

2.エルフの森



 一瞬の浮遊感の後――気付けば、周囲の光景はまるで一変していた。狭い室内であることは変わらないものの、スヴェアさんの姿は見当たらず、代わりに部屋の入り口の前には大柄な男性が仁王立ちしている。

「おう、朝も早くからよく来たな」

「おっさんも順調にくたばり損なってるみてえで何よりだわ。ライゼル、あのおっさんがケーブスンの元締めだ」

 それとなく私の腕を放しながら、レインナードさんが男性を示して言う。

 どうやら、その方こそが他ならぬケーブスン傭兵ギルド長であるらしい。歳は五十がらみと見える一方で、体躯は見るからに筋骨隆々としている。右眼には眼帯を着けており、ざっくりと撫で付けられた豊かな黒髪は鬣を思わせた。

「抜かせ、ガキが。護衛はシェーベールだけと聞いてたがな」

「ヴィゴは押し掛け護衛だ」

「何だそりゃ」

 レインナードさんの挨拶とも言えない挨拶に歯を見せて笑い、ギルド長はシェーベールさんに話しかける。シェーベールさんも構えた素振りなく応じているところを見るに、旧知の間柄であるようだ。

 それにしても、レインナードさんが「ガキ」と評されているのを見るのは不思議な気分だった。二十六歳なら日本の一般企業でもまだ若手に入るくらいであり、そう考えればさして突飛でない気がするのに、私の中ではすっかりベテランめいた印象がついていたらしい。

「で、それが噂の虎の子か」

 頭の片隅で考えていたら、不意に会話の矛先がこちらに向いた。隻眼と目が合う。

「ライゼル・ハントと申します。よろしくお願いします」

 名乗ると共に軽く頭を下げてみせれば、大股に歩み寄ってきたギルド長さんがこちらへ手を伸ばす。何か、と思う前に頭がわしわしと撫でられた。

「ご丁寧にありがとうよ。俺はケーブスンの傭兵ギルドを纏めてる、ダーレン・ブレイクって者だ。ルンドバリの小娘から話は聞いてる。学院の魔術師の割に、傭兵向きの面白い人材だとな。――幸い、近頃は森もその(おく)()も穏やかなもんだ。そう難しいことも起こらねえだろう、上手くやってきな」

「はい、ありがとうございます」

 そんな話をした後、すぐにケーブスンギルドを辞した。スヴェアさんが事前に連絡しておいてくれたからか、特に手続きのようなものも求められることもなく。

「クストールの森までは、歩いても半日はかからないんですよね?」

「南に四時間くらいだったか?」

「急げば三時間といったところだな」

 こっちだ、と促すシェーベールさんに従い、まだ人気のない通りを歩きだす。空はガラジオスと同じような快晴なので、雨の心配はしなくてもよさそうだ。

 ケーブスンはガラジオスよりクローロス村に近い、牧歌的な街並みをしている。いつか時間と費用が許せば、観光がてら滞在してみるのもいいかもしれない。ガラジオスが嫌いだとか過ごしにくいという訳ではないけれど、クローロス村とは比べ物にならない人の多さと賑やかさには、時たま少し疲れを感じることもあった。

 日本に生きていた頃だって、田舎生まれの田舎育ちだった。就職してからは少し人口の多い街に住むようになったけれど、田舎暮らしをしていた期間の方が圧倒的に長い。そんな私の対都会スキルなど推して知るべし。

「森に入ってからソノルン樹海までは?」

「最短距離で突っ切って、また三時間」

「ヴィゴ、それはお前だけの最短記録だ」

「え、そうか?」

「一般的な傭兵の平均所用時間は五時間前後と聞いている」

 やれやれ、とばかりにシェーベールさんが息を吐く。

 一般的な傭兵の半分程度。つくづくレインナードさんは並外れて優秀なようだ。そんな人が自分の運営するギルドにいてくれれば、さぞかし心強いに違いない。スヴェアさんがレインナードさんの「悪癖」を落ち着かせ、安定的に仕事をさせたいと思う気持ちも分からなくはなかった。

「まあ、あの森も何度か行ってるしよ。俺が先導して走ってきゃすぐだろ」

「待て、ハント嬢にもそれを強いる気か」

 ほんのりと咎めるトーンの声でシェーベールさんが言う。

 そう言えば、私の生い立ちについて話したことはなかった。二度ばかり宿まで送ってもらったけれど、どちらも道中は依頼についての打ち合わせに使うばかりで雑談らしい雑談もしていない。レインナードさんへの抗議はこちらの素性を知らなければ当然の反応であり、またシェーベールさんの人となりを語ってもいた。

「いえ、大丈夫です。平地や街中よりは森や山の方が走り慣れていますから、途中で脱落しないように走る速度だけ手心を加えていただければ」

 しかし、今回のレインナードさんの提案に限っては、私もさほど心配していなかった。魔術について当てにされては慎重にならざるを得ないけれど、単に野山を行く分には過去の経験に基づく自信がある。

 羊追いの犬と野山を駆け回って鍛えられた身体能力は、故郷を離れた今でも衰えてはいない。森の中を走って移動する分には、そこまで足手まといになることはないのではないかと思うのだ。

「そーゆー訳だ。一人で遅れんなよ」

「では、置いて行かれないよう善処しよう」

 レインナードさんがにやりとした笑みを浮かべて言ってくるのに、シェーベールさんはいつも通りの生真面目な表情でそれだけを答えた。



 緑の色濃い森の真っ只中を、一列になって駆ける。先頭はレインナードさん、その後ろに私が続き、最後尾にはシェーベールさん。誰かの先導を受けながら森林を駆けるのは、自然とサロモンさんやノワと山に分け入った昔を思い出させた。

 ほんのりと懐かしい気分になりつつ、探索の魔術を手繰る。私は山や森といった緑地帯と相性がいいらしい上に、地下迷宮のような閉鎖環境でもない。五感によらない知覚は、広く広く拡散してゆく。

「前方二時、距離二リコ。食事中の猪の気配。迂回しますか」

「その方が無難だな。ルート変更する、はぐれんなよ」

 障害を報告すれば、レインナードさんは即座に進行方向を修正する。

 その脚はノワに勝るとも劣らない速度で走っているというのに、こちらを振り返る横顔には汗の一筋も見られない。明らかに本気でないのだ。事前に頼んだ通り、私が脱落しない程度に抑えてくれている。シェーベールさんも周囲を警戒しながら平然と同道しているので、腕利きの傭兵には容易いことなのかもしれなかった。

 残念ながら、私はその傭兵の人たちに比べれば能力が低い。頬を伝ってゆく汗を手の甲で拭い、懐中時計で時間を確認する。九時半。

 ケーブスンからクストールの森までの道行は順調だった。三時間少々で到着できたのも考えられる最良に近いだろうし、森に入ってからも天候に変化はない。強いて言えば少し暑いくらいだろうか。六月に入ってから、平均気温は悲しいほどに上昇している。日本と違って、そこまでじめじめしていないことだけが救いだ。

「そろそろ一回休憩にすっか」

 更に走り続け、小半時ばかり経っただろうか。おもむろにレインナードさんが声を上げ、走る速度を緩めた。

「そうだな、頃合いだろう。近くに沢があったはずだ。ハント嬢も構わないか」

「はい、助かります」

「じゃ、満場一致で決定だな」

 レインナードさんが獣道から逸れ、左手に見えていたなだらかな斜面へと爪先を向ける。その背を追ってしばらく斜面を駆け下りると、果たして窪地の合間を一本の細い川が流れていた。木漏れ日を受けてきらきらと光る水面は、少なくとも表面上は澄んでいるように見える。

「綺麗な水ですね。飲んでも大丈夫だったりしますか?」

「ああ、エルフの里から流れ出る支流の一つだ。穢すのは一族への敵対行為と見なされるが、礼儀に則って使わせてもらう分には目くじらを立てられることもない」

 水をもらって軽く物を洗うくらいなら大丈夫だ、とシェーベールさんは言う。ますます助かる話だった。

 川のほとりで足を止め、まずは荷物の中から水袋を取り出す。先に一口、二口と汗を流した分の水分補給をしてから、残りの水を払う。膝を折って川の流れに水袋を浸し、軽くすすいでから水を汲み直した。

 私がそうした作業に勤しむ傍らで、レインナードさんとシェーベールさんは特に険悪な様子もなく、顔を突き合わせて地図を見ている。朝の騒ぎが嘘のようだ。もっとも、シェーベールさんは仲裁役をしていただけだ。険悪になる理由がないと言えば、それもそうではある。

 水袋の水気を切って鞄にしまいつつ、二人の様子を横目に窺う。その最中、ふとレインナードさんと目が合った。このまま見つめ合うのもどうかと思い、一瞬迷った末に視線を外すも、

「ライゼル、ちょっといいか」

「……はい、大丈夫です」

 外した視線を戻すと、レインナードさんが申し訳なさそうな顔をして歩み寄ってくるのが目に入った。この流れだと、むしろ先に訳もなく目を逸らした私の方が気まずいような。

 シェーベールさんはこちらに構う気はないようで、地図を畳んでしまう以外の反応は見せていない。大股にやってきたレインナードさんは私の傍で足を止めるや、がりがりと頭を掻き、

「今回のことは、悪かった」

 大きな身体を曲げんばかりに、頭を下げた。ええ……?

「いえ、レインナードさんに頭を下げていただくこともないと思いますが」

「そうは言っても、面倒かけただろ」

 背筋を伸ばしたレインナードさんは、唇をへの字に曲げていた。面倒――という言い回しから察するに、おそらくは薄明亭の親父さんに手紙を託した辺りのことを言っているのだろう。

 このまま喋ってしまうとシェーベールさんにも私があれこれ企んでいたことが筒抜けになってしまいかねないものの、今後もガラジオスの傭兵ギルドと良い関係を続けていく為には、頃合いを見て私も打ち明けるべきなのかもしれない。先にスヴェアさんがそうしてくれているように。

 ……であれば、敢えてぼかすような物言いはするまい。

「今回の件で私が水面下で動いたのは、あくまで独断……個人的な身勝手によるものです。私はまだレインナードさんのことをよく知っている訳ではないので、スヴェアさんのおっしゃる懸念については判断ができません。ただ、あの場で流されて頷いては、レインナードさんとの契約に差し支える恐れがあった。それは私にとって、あまり嬉しくない話ですから」

 交わされる会話を聞いてはいたのだろう、そこでシェーベールさんがはたと私を見た。そして、納得の顔になる。事の真相を察したのだろう。

 何故あのタイミングでレインナードさんが現れたのか、という。

「レインナードさんが私の動きを掴んだのは、薄明亭の親父さんから手紙を受け取ったからですか?」

「おう。薄明亭のおっさんは手紙持って宿に殴り込んできたし、清風亭からも遣いが来た」

 意図して軽く投げた問いに、レインナードさんが神妙な顔をして頷く。私は苦笑するしかなかったけれど。

 元より、知り合った方々のご厚意に甘える気で行動していた。親父さんか清風亭の女将さんたちが、私の様子を怪しんでレインナードさんに連絡をしてくれれば、或いは。そう思って、わざとらしい手紙や情報を残した。

 その結果、どちらもが動いてくださっていたと聞けば、有難いと思うと同時に少し申し訳なくもあった。帰ったら、きちんとお礼をしなければ。

「一応、私が最初の手を打った時点で口止めはされていませんでした。宿の女将さんたちにも、樹海に向かうことと同行者が前回と異なると伝えただけなので、約束を破らない範囲内での行動ではある、と言い訳をさせていただきたいところですが」

 この台詞はレインナードさんではなく、シェーベールさんに向けて。スヴェアさんに報告が上がるかもしれないという保身が半分、この事態に巻き込まれた人への礼儀のようなものが半分。

 その意図までは語らなかったものの、言わずとも伝わっていたのかもしれない。いや、と頭を振る人は小さく笑っていた。シェーベールさんの笑うところを見るのは、これが初めてだった。

「君も君で相応の手を打っていたのだと分かって、むしろ安心した」

「単に周囲の方々のご厚意に甘えて利用させていただいた形ですから、あまり褒められたことではないかと思いますが」

 王都に戻ったら、帰還の挨拶を兼ねてあちこちに顔を出さねばならない。シェーベールさんの感想は些かどころでなくお人好しが過ぎる気がするけれど、そういう人だからスヴェアさんも後任の候補として立てたのかもしれなかった。

 ともかくも、ここはシェーベールさんとの関係が悪化せずに済んだことを喜んでおくべきだ。少し込み入った形ではあれど縁ができたのだから、今後も共同で仕事をすることがあるかもしれない。

 ――他方、肝心のレインナードさんはといえば。

「前から子どもっぽくねえとは思ってたが、本当にいろいろ考えてんのな」

 またしても大変呑気な風で、斯様な所感などこぼされているのだった。

 今朝はあれほど激しくスヴェアさんと怒鳴り合っていたというのに、今は一種のんびりとしてさえ見える。ギャップがあると言われれば、戦いに好んで身を投じるという以上に、今朝と現在の差の方がよほど大きく感じられた。

「十七歳の学生という身の上は、未熟な若輩と推し量られるのも一種当然のことだとは思います。それでも私は王都に一人で滞在しても問題がないと判断されて送り出されましたから、相応の振る舞いをしなければいけません」

 自分だけではどうにもならなくなって、故郷の両親に泣きつくような――そんな無様は晒せないし、私だって純度百パーセントの本当の子どもではないという自意識がある分、いくら何でもそんな醜態を晒したくはなかった。

 肩をすくめて言えば、レインナードさんが「うんにゃ」と頭を振る。

「揶揄うとかじゃなくてな。立派なもんだと思ってよ。――ただ、ここで後ろめたそうに『利用した』と白状するんじゃあ、今後がちと心配じゃあるわな」

 一転して、語る声がわずかばかりの重みをもつ。「心配」とは、どういう……? 意図を掴みきれず、黙ったままレインナードさんを見返した。

「今回の話は、俺とギルドのゴタゴタだ。それに一方的に巻き込まれた訳だから、何もお前さんが気に病むこたあねえのさ。内紛のせいで不利益を被らねえように必要な手を打ったと、そう開き直ったところでそれまでだ」

 その言葉に同意を示そうというのだろう、シェーベールさんが頷いているのが視界の端に映った。

「薄明亭のおっさんに宿の女将と旦那っつー面子で、本音じゃ利用したくなかった気持ちも分からねえじゃねえがね。本当に蔑ろにしてる訳でもなけりゃ、後で礼を言いに行こうとか考えてんだろ? なら、それでいいじゃねえか。あんま気にしすぎんな。特に傭兵稼業なんてのは、図太い奴の方が生き延びやすい」

「……なるほど」

「まあ、ゆくゆくは宮廷魔術師になろうかってお嬢が傭兵稼業に馴染んじまうのもどうかって気はしなくもねえが。何にしても、バルドゥルじゃねえけど、良いんじゃねえの? 問題を察知して自分を守る為に手を打つって発想があるのは、こっちとしても助かるしよ」

 俺もすぐギルドに連絡すりゃ良かったな、とレインナードさんが頭を掻く。その点については、まあ……確かにそうだったかもしれない。

「武闘大会は面白そうだから出てみてえが、それで雇い主の足を引っ張るんじゃ本末転倒だ。そんなことになりゃあ、さすがにギルドからの信用も全喪失になる。それくらい、俺だって分かってるってのにな」

 そう語る面差しは明らかに渋い。やはり、レインナードさんはきちんと仕事として傭兵をしているのだ。スヴェアさんが危惧したのも分かるけれど、そこまで心配する必要はないのじゃないだろうか。

「今まで好き勝手戦って大怪我して帰ったことがあったのも否定はしねえが、受けた仕事は全部ちゃんと果たしてきてるしよ」

「スヴェアさんはスヴェアさんで、レインナードさんを心配しているのでは?」

「心配してんのはギルドの利益が減ることであって、要は使いでのある傭兵が減るのが嫌なだけだろ」

 軽く肩をすくめたレインナードさんの向こうで、またシェーベールさんが深々と頷いている。そ、そういうタイプの人なのだろうか、スヴェアさん……。

「ええと、ともかく、レインナードさんは私との契約に前向きでいてくれている、ということで構いませんか」

「もちろんだ。後はギルドの方が文句つけねえでくれりゃいいんだけどな」

「その点に関しては、大丈夫だと思いますよ。今回の件について私が様々な方のご厚意に甘え、あわよくばレインナードさんにまで話が届くと期待して手を回していましたと――それについては王都に帰還し次第、スヴェアさんに打ち明けるつもりです。私が契約内容の変更に消極的であると知れば、そこまで強く求めはしないんじゃないでしょうか」

 もちろん、シェーベールさんと契約するのが嫌だという訳ではない。まだ知り合って日は浅いけれど、きちんとした職業人で、私にも真面目に丁寧に接してくれる人だとは分かりつつある。ただ、ここで一方的な通達を唯々諾々と受け入れてしまうのは躊躇われた。

 今後もし何らかの大口の依頼の類が発生した際、そちらに人員を回したいから別の人間と契約し直してくれ、とまた頼まれるような展開に繋がらないとも限らない。契約書にも「その必要が生じた場合は、協議の上で契約人員の変更を行う」というような旨が書かれていた。

 その細則自体は拒まないにしても、気軽に宛がう人材を変えられると思われても困るのである。スヴェアさんはそういうことしないのではないかな、という楽観的な印象もあることはあるけれど、やはり私たちの関係はギルドを介した仕事上のものなのだ。ある程度は自分でしっかりしていないといけない。

 それらの思惑の全てを喋ると長くなりすぎるので、掻い摘んで話す。幸い、シェーベールさんも「道理だな」と頷いてくれ、気を悪くした風ではなくて助かった。レインナードさんは、少し怪訝そうな顔をしてはいるけれど。

「正直に話しちまっていいのか? スヴェアにバレねえように立ち回るつもりだったんじゃねえのか」

「あの時点ではどういう風に状況が動くか読めなかったので、そういう風に動く方がいいと判断していました。今はもうスヴェアさんもある程度の思惑を明かしてくださいましたし、あちらにとっても今後の判断材料になるでしょうから」

「ふうん……。まあ、ちゃんと考えてそれが自分にとっての最善なり次善なりって納得できてんなら、俺が口を挟むことでもねえやな。――さて、そろそろ休憩は切り上げても大丈夫そうか?」

「あ、はい、大丈夫です。ゆっくり休ませていただきました」

 問いかけに頷き返せば、「無理はすんなよ」と添えつつもレインナードさんが下ろしていた鞄を肩に掛け直す。私とシェーベールさんも鞄を背負い直し、さあ走り出そうと構えた時だった。

「待たれよ」

 不意に、声が響いた。

 ハッとして辺りを見回して声の主を探そうとした瞬間、目の前が広い背中に塞がれた。レインナードさんが背に庇ってくれたのだと、一拍遅れて気付く。

「何だ、俺たちに用か?」

「用がなければ、探索者に声を掛けたりはせぬ」

 レインナードさんの鋭い問いに応じるのは、いかにも鷹揚といった具合にゆったり響く少女の声だった。

 ひそりと展開した索敵の魔術の反応を見るに、他に隠れている気配はなし。四足の何かに騎乗しているようではあるものの、生命反応はない。何らかの魔術で構築した乗り物のようだ。

 更に付け加えると、彼女も狭義の意味での人間ではない可能性が高かった。あまりにも気配が異なる。こんなところに少女が一人で、という時点で土台尋常ならざる話ではあるにしても。

「我が名はローラディン。生命(いのち)溢るる皎月(こうげつ)の泉を守護するエルフ族が一人である。我ら一族が長、アルサアル王より言伝の命を賜っておるゆえ、聞くがいい。――〈獅子狩る炎の担い手〉、〈招かれ人の射手〉、〈極光の織り手〉。そなたらはいずれ我らの助けとなる。その時に疾く参じることを期待して、そなたらの求めるものを渡す」

 口上が終わったかと思うと、少女がおもむろに何やら投げる仕草を見せた。短い間の末に、どさりと音を立ててレインナードさんの足元に大きなものが落下する。

 レインナードさんの横から首を伸ばして窺い見てみると、どうやら白い布の包みのようだった。きめの細かい布地を透かして、緑色のものが内包されているらしいことが見て取れる。

「コートレア草だ。その一束もあれば、そなたらの目的は達せよう」

 少女は朗々と述べる。その台詞にも、また瞬かずにはいられなかった。

 コートレア草は私たちが依頼で採取にきた薬草だ。けれど、何故それを彼女が知っているのか。そもそも包みの中は本当に薬草なのか。怪しい、とまで言い切りはしないにしても、どうにも状況が不可解だ。

「バルドゥル、調べてくれ」

 私の疑問を余所に、レインナードさんが槍の石突で布の包みを引っ掛けて地面を滑らせた。私の脇をすり抜け、シェーベールさんの足元へと。

 了解した、と答える声が上がった後には、しんとした沈黙だけが揺蕩った。包みを開き、中を検めているのだろう。それは分かるものの、静まり返った中で待ち続けるのは緊張するものだ。

「間違いない、コートレア草だ。四リコはある。依頼の達成には充分だろう」

 まだだろうか、と焦れかけた時、シェーベールさんが声を上げた。一拍置いて、レインナードさんが大きく息を吐く。

「俺たちの目的は把握済みってか。妙な話だな」

「妙なものか。アルサアル王は水鏡の塔の主。千年万里を見通す」

「そりゃ御大層なこった。それで? 結局は何を頼みてえんだ。俺たちゃ傭兵、はっきり要求を言ってもらわねえことには動かねえぜ」

「遠くない未来、この森は争いの場となる。その際、そなたらが我々の力になると王は読み取られた」

「その時にエルフについて戦えってか? この国の中で内乱でもおっ(ぱじ)めるんじゃねえだろうな」

「何を言うか、違う。アルサアル王は未だ多くを語られてはおらぬが、敵を『おぞましきもの』とおっしゃった。そなたらの同族ではない」

 少女はレインナードさんの質問にサクサクと答えていく。思ったよりも情報公開が軽快だ。

 アシメニオス国内で集落を築くエルフ族は、ソノルン樹海を拠点とする森のエルフだけだ。とはいえ、交流はないに等しい。ソノルン樹海のエルフが人間社会に関わらず隠れているように、人間もエルフの村には足を踏み入れない。……人間が大抵の場合エルフの村に辿り着けない、というのが実情ではあるけれど。

 いずれにしても、目の前の背に張り詰める緊張は増すばかりのように思われた。何しろ「争い」に「おぞましきもの」に、不穏な単語ばかりが出てくる。私だって薄ら寒い気持ちにしかなれない。

「手付は渡した。くれぐれも我らが王の信頼を裏切らぬよう、期待する」

 そう告げる声が聞こえたかと思うと、少女は乗騎を駆って瞬く間に去っていってしまった。本当に物を渡して言うだけ言って、それで終わりらしい。

「……訳分かんねえけど、依頼達成しちまったな」

 呆気に取られた風でレインナードさんが呟くので、私も「そうみたいですね」と相槌を打つくらいしか返せる言葉がなかった。

 エルフ族もいくつか種類があり、森を拠点にするもの、砂漠を拠点にするもの、山を拠点にするものと、それぞれに独立した集落を築いているという。並べて共通しているのは、自分たちの領域を侵されない限りは外に出てこないということ。

 にもかかわらず、先ほどのエルフの少女はわざわざ集落を出て私たちに声を掛け、依頼品の薬草まで提供してくれた。どう考えても「ラッキー」で済ませていい事態ではない。何か明確な目的と理由があるはずだ。

「……遠くない未来にこの森で起こる争いごとに巻き込まれるとは、あまり考えたくないのですけど」

 呻かずにはいられない心持ちのままに呻くと、今度はレインナードさんが「そうだなあ」と相槌を打った。それ以上に言いようもなかったのか、後に続く言葉はなかったけれど。

 シェーベールさんが布包みを確かめていた時とは、また少し質の異なる沈黙が落ちる。それでも、今回の沈黙はごく短いものだった。

「とりあえず、帰ろうぜ。仕事も終わっちまったし」

「包みは俺が持っていこう。この分なら、明るいうちにケーブスンへ戻れそうだ」

「そうですね。確かに、助かりはしました……」

 何が何やら、と困惑する気持ちも強い。もっとも、こればかりはここで首を傾げていたところで答えが得られるようなものではない。思ったよりも、ずっと早く依頼を終えることができた。今はそれを素直に喜んでおくべきなのだろう。

「さて、帰り道も気を抜かずにな」

 くるりと踵を返したレインナードさんが私を見下ろして言う。……そう、帰るまでがお仕事なのだ。



 往路と同じ縦列を組み直し、エルフ族の少女と対面した現場から離れて一路ケーブスンへと引き返す。帰り道もトラブルらしいトラブルに見舞われることはなく、天候が崩れる憂き目も遭わずに済んだ。何一つ足を鈍らせる要素がなかったのだから、到着もまた遅れるはずがない。

 果たしてケーブスンの街に帰着したのは、まだ午後もそれほど遅くならない時刻のことだった。

「おいおい、随分早いお帰りだな――って、何だそりゃあ⁉ また大層な代物を持ってんじゃねえか!」

 予想外の早い帰還もさることながら、シェーベールさんが持っていた布包みがブレイクさんを驚かせたようだ。ギルドの事務所に足を踏み入れるなり、そんな第一声で迎えられた。

 エルフ印の絹布。それに包まれた薬草。ブレイクさんはケーブスンの傭兵ギルドを統括して長いというけれど、未だかつてそんな賜りものを持って帰ってきた人は見たことがないという。

 森の中で一体何が起こり、どうしてそうなったのか。ブレイクさんはものすごい勢いで経緯を聞きたがった。

「話してやってもいいけどよ、俺たち今帰ってきたばっかなんだわ」

「よし分かった、飯でも何でも食わせてやる。その代わり、ちゃんと事情を聞かせろよ。一から十まで、全部な」

 レインナードさんのちゃっかりとしたお願いも、あっさり受け入れられる。随分と気前がいいな、と内心で思っていたところ、

「傭兵の勘だ。どうもきな臭え」

 何やら異変の兆しを感じ取っていたらしい。さすがはギルド長だ。

 ケーブスン傭兵ギルドの事務所には食堂が併設されている。昼食には遅く、夕食には早いという微妙な時間だからか、お客も少ない。四人で使えそうなテーブルも空いていたし、頼んだ料理もすぐに届けてもらえた。

 いただきます、と手を合わせ、手始めに大皿のグラタンを四人分の小皿に取り分ける。私が配膳作業に勤しむ傍らで、レインナードさんはブレイクさんに森での出来事を順に伝えていった。話はレインナードさんとシェーベールさんが担当するので、私は先に食べているようにと言いつかっている。

 そう気を遣ってもらっただけに、食べたくなった時に食べやすいようにしておくのが、せめてもの返礼というものだろう。

「――つー訳で、『遠くない未来、この森は争いの場となる』らしいぜ。今のところ、それを裏付ける確証や兆候はねえが」

「とはいえ、まるきり嘘とも思えん。我々の前に姿を現したエルフ族の伝令は己を『樹海のエルフの王の遣いである」と名乗った上で、我々の目的を先読みし、施しをしていった。何かしら必要に迫られてのことでなければ、エルフがそのような行動に出はしまい」

「確かにな。俺が生きてるうちに、あの樹海が騒がしくなるなんざ考えてもみなかったが……」

「誰もがそう思っていたことだろう」

 シェーベールさんの合いの手に、ブレイクさんはますます難しい表情になって「まあな」と唸る。そのまましばらく考え込むような素振りを見せたけれど、

「とりあえず、領主に耳打ちはしておく。現時点でどこまで話を広めたもんかは分からねえが、エルフ王直々の伝言ってんじゃ無視するのも下策だ」

「その辺の采配はおっさんに頼んどくとして、今後何か森の方でおかしな動きが出てくるようだったら、ガラジオスにも連絡してくれや。俺たちはその騒動でエルフ側の助けになるらしい。そういう条件で薬草をもらっちまったからには、来ねえ訳にはいかねえだろ」

「もらったって、向こうが勝手に置いてったんだろうが?」

「そんでも持って帰ったんなら、向こうは了承したと思うだろ」

「……お前って奴ぁ、相変わらずそういうとこ人が好いっつか、なんつーかなあ」

 やれやれ、とばかりにブレイクさんが肩をすくめる。

 思い返してみれば、スヴェアさんも同じような評価を口にしていたはずだ。私との初対面の時もそうだったけれど、やはり誰にとっても気のいいお兄さん然とした振る舞いをする人なのだろう。だからこそ、あまり寄りかかり過ぎないようにしないと、とも思うのだけれど。

 ともかくも森で起こったことを伝え終われば、後はもう他愛のない世間話が始まるだけだ。ブレイクさんが水を向けてくれるのもあって、私も多少はお喋りの環の中に加わることになる。

「んで、嬢ちゃんは何でこんな無頼共と森を走り回る羽目になってんだ? 実家の方針とかか?」

 純粋に疑問に思っている様子の問いが、暗に「貴族ならそんな手間をかける必要はないだろう」という意味合いを含んでいるのを察せないほど、私も鈍感ではない。隣に座っているレインナードさんが助け舟でも出そうとしてくれたのか、少し困ったような顔で口を開こうとしているのも見えていた。

 ただ、私もそこまで何もかも面倒を見てもらわなければいけない訳ではない。……と、少しくらいは意地を見せたい気持ちがあった。

「実家の方針といっても間違いではないですね。田舎の村に代々住んできた一族なので、まさか王都で学院に通う人間が出るとは考えもしなかったでしょうし……その為の特別な資金の備えがあった訳でもありませんから。ある程度は、自分で必要な資金と物資について都合をつける必要があります」

 わざわざ伏せるほどでもない身の上だ。隠すことなく事実を答えると、隻眼を瞬かせたブレイクさんは得心がいったという様子で「ああ」と声を上げた。

「そうか、お嬢ちゃんが噂の平民出の入学者だったか。すまねえな、ルンドバリからは学院生としか聞いていなくてよ」

「いえ、とんでもありません。……というか、噂になっているんですか?」

 この話の流れだと、むしろそちらの方が気になる。どういう噂なのだろう。やはり身分の辺りが話に上りやすいのだろうか。

「そりゃあな。どうしたって、ありゃ貴族の学校だ。平民からの入学者なんてのは、五、六年に一人出るか出ねえかかじゃねえかね。それだけの珍しさなら、否が応でも噂になるさ」

 ブレイクさんはあっけらかんとして言う。私は返答に困った末、グラタンの残りを食べるという体で答えなかった。

 近所で宝くじが当たった人が出たとか、東大に入学した人が出たとかみたいな感覚だろうか。何となく分からないではないものの、いざ自分が噂される立場になると、そっとしておいてほしいような複雑な気分だった。

「何にしても、その境遇じゃあ苦労することも多いだろ。いい仕事があったら連絡してやるよ」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 口の中のグラタンを飲み込んでからお礼を言い、軽く頭を下げてみせる。

 レインナードさんもシェーベールさんも食べるのが早く、テーブルの上のお皿が全て空になるまでも、それほど長くはかからなかった。皆で分けたグラタンも、ブレイクさん一押しの地鶏のボロネーゼも、その他の料理もとても美味しかった。次に訪ねることがあれば、また別のものを食べてみたいところだ。

 薬草の採集が終わっている今、これ以上ケーブスンの街に滞在する理由はない。食事を終えて一息ついてから、ガラジオスに戻ることになった。

 転送機は本当に便利なもので、どんなに遠い距離でも文字通りの一瞬で移動することができる。ケーブスンからの出立時間と目的地の到着時間はほぼ等しく、つまり私たちはまだ空も赤くならないうちに帰還を果たすことができた。今朝に出発したばかりのガラジオス傭兵ギルドへと。

 帰りは早くとも明日になるだろうと思われていただけに、迎えてくれたスヴェアさんも目を丸くしていた。しかし、いくら採集の手間が省けたとはいえ、ケーブスンの街からクストールの森へ移動し、森の中を駆けてきた後だ。

 さすがに少し疲れてもいたので、今日は薬草を納品するだけに留め、それ以外のことはまた明日にという約束になった。約束というか、まあ、単にレインナードさんとシェーベールさんが私に気を遣ってくれたのだと思う。

「随分な量を摘んできたね! 質もよさそうだし、一体どうしたんだい?」

 けれど、ケーブスンのギルドで市販の麻布に包み替え、保存の魔術を施しておいた薬草を提出すると、いよいよスヴェアさんは驚くのを通り越して怪しむ顔つきになってしまった。事前に包み布を替えておいて正解だったかもしれない。

 エルフ謹製の絹布は滅多に市場に出回ることがない、珍品中の珍品だ。レインナードさんもシェーベールさんもいらないというので私が譲り受けたけれど、好事家なら喉から手が出るほど欲しがる。私もいざという時は学費の足しに……とかいう打算はまた後でにするとして。

 いずれにしても、そんな逸品をこの場で披露しようものなら、スヴェアさんからも明日を待たずに事情を説明するよう求められていてもおかしくなかった。幸い、何が何でも今話を聞きだそうという様子ではない。

「その辺の話は全部また明日な。今日はもう店じまいだ」

「そうかい。それなら、明日きっちり聞かせてもらうよ」

 そうレインナードさんが念を押したおかげもあり、追及は後回しにしてくれるようだった。何かしら話すこと自体はあり、それは明日になれば明かされる。今はそれで良しとしてくれたのかもしれない。

 お疲れさん、と見送る言葉を口にした後は、酒場めいたフロアに隣接した事務所に声を掛け、人を呼んで薬草の検品を始める。これで、ようやっと解散になる……と思いきや。

「ただし、ヴィゴ、あんたは残りな。今朝の決着をつけようじゃないか。――お互い、言いたいことを吐き出しちまった方がすっきりするってもんだ」

 スヴェアさんの関心はレインナードさんに移っただけだったのかもしれない。低い声で呼び止められ、レインナードさんが飄げた仕草で肩をすくめる。

「へいへい、受けて立とうじゃねえの。バルドゥル、ライゼルの帰り頼んでいいか」

「ああ。責任をもって送り届けよう」

 特に悩む風でもなくスヴェアさんの打診を受けたのは、レインナードさんも改めてちゃんと話をしておいた方がいいと思っていたからなのかもしれない。

 かくして、私は今日もまたシェーベールさんに送ってもらって帰ることになった。シェーベールさんはレインナードさんほど陽気にお喋りをする人でもなく、私も今は疲労が大きい。帰り道は黙々と歩いていくことになるのだろう。

「今朝のことなのだが」

 などとぼんやり歩いていた時、シェーベールさんが口を開いて驚いた。問い返すのも、相槌を打つのも忘れて傍らを見上げれば、淡い黄緑の眼と目が合う。

「ヴィゴは一見して陽気で軽い男のように思えるが、あれで広く名の知られた傭兵相応に理性的で頭が回る。滅多に声を荒げることもなければ、感情に振り回されることもない。――今朝にああやって振舞ってみせたのは一種の演技であり、半分は君の為でもあったのだろうと思う」

「私の?」

 全くもって予想だにしない台詞であったので、ようやく喋れるだけの落ち着きが戻ってきても、その一言で問い返すことしかできなかった。

 にもかかわらず、シェーベールさんは「そうだ」ときっぱり頷く。

「俺は今回の件についてどちらの肩を持つつもりもないし、そもそも誰かに悪意あって生じた問題でもないと思っている。ヴィゴもそれも分かっているだろう。……ゆえに、あくまで予防線としてのことではあると思うが」

 そこまで語り、シェーベールさんは一度唇を閉じた。無言の一呼吸。私もまた、息を詰めるようにして続く言葉を待つ。そうすることしかできなかった。

「君や己を言い包めて好きに使おうとするなら――或いは、ギルド内部の問題に巻き込んで困らせるのなら、このように怒るぞ、と。そう演じてみせていたのではないかな。二度と同じような面倒ごとに巻き込まれないように」

 そして、ある意味ではとんでもない話を、淡々とシェーベールさんは語った。

 それを聞いて、私は――……何というか、どうにも反応に困った。仮にその推測が事実であったとして、それで大丈夫なのだろうか、と思う。そんなに人が好くて、本当に大丈夫なのだろうか。あの人。

「しかし、スヴェア・ルンドバリの懸念も的外れではない。ヴィゴは戦いに興じ始めると、些か見境がなくなるきらいがある。君に上手く手綱を操ってもらえると、少しは安心できるのだが」

 シェーベールさんの語りは未だ淡々とした響きを保ちながら、それでいてひたすらに真摯だった。……別に、だからという訳ではないけれど。

「できるかは分かりませんが、善処するようには努めます」

 勢い、そんな言葉が口から出ていた。言った後で安請け合いしたか、そもそも私に何ができるのかと思ったものの、今更発言を覆せもしない。

「レインナードさんにはお世話になっていますから」

 とりあえず、そういうことにしておこうと思った。

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