プロローグ
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
挿絵はあくまでもイメージであり、描写と異なる場合がありますので、予めご了承ください。
「ないないないない!」
あたふたと、地図アプリと景色を見比べる女子高生が1人
黒髪ショートにブラウンの瞳、幼さの残るあどけない顔立ちに、それに似つかわない発育のいいバスト、今年高校3年生になった花の18歳
天使 雅はあるものを探していた
そのお目当ては、最新のプリ機いわゆるプリクラである
「この辺のはずなのにぃ」
最新のプリクラなので、大手のゲームセンターに行けばあるはずだが、大手の場所は大混雑を極めており、とても待ってはいられないと、穴場を探しているのだ
しかしその場所は、プリクラとは無縁の場所
「なんだか危なそうな所だな…」
治安が良いとは決して言い難い、夜にはより危なさの増す、歓楽街と呼ばれる場所に彼女は居た
(なんとしても最新のプリを、友達の中で1番に撮ってみんなに自慢したいのに…)
調べたところ、この歓楽街のどこかしらに、穴馬のプリスポットがあるらしい
「あったぁ〜」
なんとか辿り着いたビルには、年季の入った文字で、ゲームセンターATHENAと書かれている
怪しさ満点ではあるが、最新プリ機の為に背に腹はかえられない、意を決して入っていく
(なんかお化け出そうで怖いな…)
怪しげなビルの中を進んでいくと、ピコピコとゲーム音が聞こえてきた、どうやらゲームセンターATHENAは有るようだ
「すみません、このプリ探してるんですけどありますか?」
画面を定員に見せる
「はい、あちらですね」
覇気のない返答に不安を覚えたが、定員の指差す先に、お目当てのプリクラがあった
「ありがとうございます!」
手早くお礼を済ませ、最新プリ機に直行、外側にあるコイン投入口に、手馴れた手つきで400円を入れ、カーテンの中へと入って行く
「ほえ?なにこれ?」
カーテンの中は、ただただ真っ白な景色が広がっていて、後ろを振り返っても入ってきたカーテンがない
「えええ!どうなっちゃってるわけ!?」
異様な空間にテンパっていると、空中に赤いボタンが浮いているのが見えた
「なんだろ…これ…?」
ボタンまで近づいてみると、【転生】と白い文字で書かれている
「よくわかんないけど、えいっ」
なんの躊躇もなくボタンを押したその瞬間、目の前に白い羽の生えた、金髪の女性が現れた
「えっと…どちら様ですか??」
恐る恐る質問してみる
「アタシ?アタシは見たらわかるやん!女神やん」
めっちゃ関西弁だった
めっちゃ関西弁の女神さまは、胸を張り主張する
「えー!女神さま!すごーい!」
「アンタの受け入れ態勢の方が凄いと思うけどな…」
「ところで何で私女神さまとお話してるんですか?」
女神と名乗られれば、女神と信じてしまう素直な少女は、素朴な疑問を投げかける
「ご最もな疑問やな、あんたさっきボタン押したん覚えてるか?」
「あ、はい、転生?って書いてた赤いボタンですよね?」
「せや、そのボタンは文字通り転生をするボタンなんや」
子供に教えるかの様に、優しく伝えてくれる女神さま
「あのぉ、転生って何ですか?」
「な、なんやて!アンタ!転生を知らんのか?」
「はい、すみません…」
何を隠そう今どきの女子高生なのだ、好きなものはミンスタにプリクラで、転生等の類とは無縁の生活を送る彼女にはさっぱりだった
※ミンスタ・・女子高生に人気のオシャレSNS
「おぉ、そうかそうか、まぁそういう奴もおるわな。転生って言うのはな、今アンタが生活する世界とは、違う世界で生まれ変わるって話やな」
「ええええぇ!嫌です!困ります!」
「だってボタン押したや〜ん」
「そんな…プリクラ撮りに来ただけなのに…急に生まれ変わるなんて…言われても…うぐっ」
突然の事に、思わず泣いてしまう
「そないな事言われてもなぁ、ボタン押したしなぁ、でもなぁ、確かに可哀想なってきたなぁ」
うーんと、頭を抑え悩む女神さま
「よし!わかったわ!アンタの純粋さに免じて特例や!」
「特例?」
「悪いけど、異世界には行ってもらう!堪忍やで。ただ、姿形は今のアンタそのままで、試練クリアを目指してもらう!クリア出来れば、時間巻き戻してそのまま戻ってこれるって話や!」
「試練…?」
涙ぐむ目を拭い、女神さまを見つめる
「せや!あんたが行く異世界には魔王がおる!その魔王を倒したらクリア!どや?簡単やろ?」
「あのぉ、魔王って何ですか?」
ズコー
何を隠そう今どきの女子高生、以下省略
「世界を征服しようとしてる悪モンや」
「そんなのどうやって倒せばいいんですか!?私戦ったことなんてないですし…」
「大丈夫!転生するアンタには、ワタシからささやかなプレゼントととして、スキルを与えることになっとる!まぁ、ランダムやから運要素も強いけどアンタならなんとかなる!そんな気がする」
なんとも適当である
「そんなぁ…」
「えええい、覚悟を決めい!アンタ名前は?」
「天使 雅です…」
「雅!これからアンタの運命を掛けた壮大な冒険が始まる!夢と冒険と転生の世界へ!レッツゴー!」
女神さまが言い終わると、雅は空に吸い寄せられ、眩い光とともに女神さまの前から消えてしまった
「雅、こんな事に巻き込んでしもうて悪いな。でもアンタなら、きっとクリアして帰ってくると信じてるで」
女神さまは遠い目をし、雅が消えた空を眺めていた
ここまで読んで下さりありがとうございます!
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