ピンクブロンド禁止法案について
ピンクブロンド禁止法案。
リスト王太子は、ピンクブロンドの髪の男爵令嬢の魅了にかかり、浮気をしていたのだが、それを怒り狂った婚約者の公爵令嬢カルディーナ達が、反撃に出たと言う事件があった。
皆、髪をピンクブロンドに染め、
「王太子殿下ぁ。カルディーナ、頑張っちゃいましたぁ。」
今でも悪夢でうなされる。あのカルディーナの薄気味悪さ。
魅了は解けたものの、二度と、薄気味悪いピンクブロンドの令嬢が現れないように、ピンクブロンド禁止法案を作り上げたのだ。
これで、薄気味悪いピンクブロンドの令嬢に悩まされる事はないだろう。
悪夢も青春の一時の悪い思い出として、記憶の隅に追いやる事が出来るだろう。
そうリスト王太子は思っていたのだが。
騎士団長のあの見事なピンクブロンドの髪…
なんとかならないだろうか。
この国の騎士団長は2m身長のある逞しい男性で、髪は見事なピンクブロンドである。
ピンクブロンドの髭を生やし、ウエーブのかかった見事なピンクブロンドは彼の自慢だ。
あああああっ…ピンクブロンドが眩しいっーーー。
リスト王太子が悩んでいると、ムウラ大臣と、シィバ大臣が揃ってリスト王太子に意見を言ってきた。
彼らはリスト王太子の親愛なるムラシバ大臣コンビである。
「ムキムキマッチョのピンクブロンドの男性は禁止にしなくていいんでしょうかねえ。」
「あっちの方が不気味だと思うのですが。」
リスト王太子は二人をがばっと抱き締めて。
「確かにそうだ。ムキムキマッチョのピンクブロンドの男子程、薄気味悪い物はいない。よくぞ気が付いた。すぐに法案を追加しよう。」
①男性も髪をピンクブロンドに染める事を禁止する。
②男性が女装する事も禁止する。
③男性が女言葉を話す事も禁止する。
一つでも破った場合は即、身体にハチミツを塗りたくりピヨピヨの刑にする。
以上の法案を徹夜で、リスト王太子は作成したのだ。
(注)ピヨピヨの刑とはハチミツ大好きピヨピヨ精霊達に、身体中のハチミツを突かれるというくすぐったい、いや…高速で突くので痛いかもしれない、地味に怖い刑である。
これで、不気味なピンクブロンド対策はばっちりだと思ったのであったが。
数日後…
「この法案では生まれつきピンクブロンドの人はどうするのです?本当に地毛?と疑われ、常に地毛証明書を提示するのは大変だ。そして何かしでかすかもと疑われて監視される。それは可哀想ではないのですか?」
これはアート宰相の意見だ。確かに最もである。
リスト王太子は真っ青になる。
「うおおおおおっーー。生まれつきピンクブロンドっ。法案に穴がっ
なぁに大丈夫。ピンクブロンドの髪自体珍しいのだ。
めったに見かけない位だからな。宰相っ。ピンクブロンドの国民が何人いるか至急調べてくれ。
しかしだ。騎士団長が、2m越えのムキムキで見事なピンクブロンド髭男なのだよ。彼には既に髪をツルツルにして貰った。
女性でピンクブロンドが居たら金髪に染めるように、国から補助金を出そう。
ど、どうだ?宰相。これでこの国も安泰だろう?」
アート宰相はちらりとリスト王太子殿下を見やり一言。
「それで騎士団長が泣いていたのですね…何だか気の毒な…解りました。至急調べます。」
そこへ入れ違いに入って来たのが、
女性を守る会のブラック伯爵夫人。
彼女はリスト王太子の前に出て、
「私も天然物のピンクブロンドのお嬢さんが心配でございますわ。
金髪に染めるのに補助金が出されるのは良いですけどずっと染め続けたら痛んでしまうし、自毛でも彼女達が働ける職場を用意したら如何でしょう。劇団とか劇団とか…男装させて〇塚とか…」
「ブラック伯爵夫人…伯爵夫人の趣味が思いっきり入っているような…ま、まぁ女性達の事はおいおい考えていくことにっ。」
ドルク外務大臣がぼそりと、
「この国でピンクブロンドに髪を染める事を禁止する法案、外人はどうするんです?我が国はピンクブロンドの男女は少ないですが、外国は国によっては多い。彼らの入国は?如何致します?」
「うおおおおおっ。外務大臣。よくぞ気が付いた。至急、入国禁止法案を作成するぞっーー。」
ピンクブロンドを撲滅しようとリスト王太子殿下は頑張っているのだが、道はとても遠いい気がしなくもない…
疲れ切って、ソファで休んでいると、カルディーナがやって来て、
「リスト王太子殿下。いつもお疲れ様ですわ。わたくし、王太子殿下の事、尊敬しておりますのよ。」
「有難う。カルディーナ。君の励ましが何よりも私の力になる。」
「でも、もし、浮気なんぞ、なさいましたら…」
「な、何だ?」
「わたくしの父は法務大臣でございます。法律を一定期間中止にしてもらって、夜会にはピンクブロンドの令嬢ならびに、ムキムキマッチョが溢れかえる事になりますわ。カルディーナ。もう、浮気なんてゆるしませんわぁ、リストさまぁ。もし浮気なんてしたら、おこおこですわよぉ。」
「うわっーーーーーー。もう、やめてくれっ。二度と浮気はしないっ。カルディーナ一筋愛しているっーーー。」
リスト王太子殿下の悲痛な叫び声が部屋の外まで響き、臣下達は…
今日も平和だなあ…我が国は…
と呟くのであった。
前作品の感想欄を参考に作成致しましたが、実在の人物と、登場人物とは関係ございません(笑)