暇つぶしとニーチェ
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そんな日々が暫く続いた。そのうちに、妹は私の部屋に頻繁に出入りするようになった。目的はどうやら本のようだ。私の本棚から気に入ったタイトルのものを読んで、日中を過ごしているみたいであった。まぁそんなことで腹を立てたりする人間ではないので、気がつかないフリをしていた。妹は、ある日境に本の内容について聞いてくるようになった。
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いつも急に部屋入ってきて、私たちの会話は始まる。
「ニーチェさんは、一体何が言いたかったのかな? お兄ちゃん」甘ロリの格好でニーチェについて聞いてくるものだから、いささか滑稽である。
「内容は理解できたの?」私は聞いてみる。
「深い話はさておき、今が大事ってことは分かったわ。でも、それだけでは、なんだかもやもやしちゃうんだ」
「あー。結構ちゃんと読めているじゃん。一概にこれが正解ってことは、こういった類のものではないけどさ。ニーチェは本の内容と実際に作者がした行動を観てみれば、少し分かる気がすると思うよ」
「実際にした行動って?」
「ニーチェはあんなに素晴らしい文章を書くんだけどさ。実生活では、友人たちに童貞なのを馬鹿にされて、風俗に行ったわけよ。そこで梅毒を移されてしまってさ、そのことが原因で亡くなってしまったんだ」
妹は何かを考えているみたいで、しばらく無言だった。ようやく顔が明るくなったと思えば、「妹にそんな話をするなんてサイテーね。お兄ちゃん♪」と言って部屋を出て行った。