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中二病少女  作者: 木下寅丸
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お兄ちゃんの願望と頭にかかったクモの巣



 私は、『ライ麦畑でつかまえて』の感想を、

「ただの途中経過だ」と言う人とお話がしてみたい。


1


 いつもの夕食。いつものテーブル。食卓には四人。父、母、妹、そして私。今日起きた出来事や、観ているテレビの話を、いつも通り話している。こんなありふれた風景なのに、我が家はちょっとおかしい。

 よく見ると、親は親同士、子は子同士でしか話をしていない。話は絶えず行われているが、交わることは決してない。

 私はというと、別に話してあげても良いのだが、話かけられない以上無駄に話したくはない。根本的に興味がないのだ。ただの風景程度にしか思っていない。妹の方は、毛嫌いしている。ここ最近、話かけるのを見なくなった。思春期特有の反抗期なら可愛いものだが、どうやらそのようなものではないみたいだ。

 私から妹に話題を振ることはあまりない。いつも妹の方から、満面の笑みでしょーもないことを話してくる。

「今日素敵な夢をみたの!」テンションはいつも高い。

「どんな?」

「いやーなんていうのかな~。クモの夢!」

「クモの夢。ふむふむ、なるほどなるほど、興味深い。んで、続きは?」

「むかーしに戻っていてさ、公園で友達と遊んでいたんだー。これ以上ないってくらいなんだか楽しくてさ、そこで笑い合っていたの。でもさ、不思議なことにね。その世界には、音が全くなかったの! それでもさ、とにかく幸せーって感情が溢れてきたんだー」

「それってどこが素敵なの?」

「とにかく幸せだったってところかな」

「そうかい。それは素敵なお話だね」

 何が言いたいのかは分からないけど、適当な返事をするだけで妹は喜ぶ。最近、なんか幼稚化しているなと思う。無邪気に喜んでいる姿は、まぁ悪いものでもないのだけど。一つだけ気になることがある。それは何かって? 目が全く笑っていないということさ。それさえなければな。微笑ましくも思うのだけど。最近は、妙な怖さすら感じるし。お兄さん的には、なんでこうなったのかなーなんて思っちゃうよ。。。



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