2.魚の舞い
翌日、イブラハムたちはクレタ水族館を訪れた。
クレタ水族館は、クレタ島の首府イラクリオンから東へ十五キロメートルの場所にある。ここでは、地中海に生息する約二千五百種類の海洋生物を展示しており、アクリルの大きな水槽の中を泳ぐ魚たちを眺めることができる。
イブラハムは、水族館の招待券を、新聞記者のディオンから昨日もらっていた。昨日、ディオンは取材協力の謝礼金を支払えないのを気にしていた。イブラハムが「気にせずとも良い」と告げたところ、ディオンは水族館の招待券を渡したのである。
クレタ水族館では、本日は特別に、十時と十七時にピアノのミニ・リサイタルが開催されるようだ。
「水族館でピアノのリサイタルか。変わっているな」
イブラハムは、水族館でピアノの演奏を聴いたことが無い。ハッサンたちも、水族館でのピアノ・リサイタルを聴くのは、初めてだ。
「ピアノの演奏者の名前が『白井玲子』と書いてある。どこかで聞いた名前だが…」
ハッサンが首をひねっていた。
「ハッサン。『東島の勇者』玲子のことさ。一年前に、スラノバ国の中立地区での戦闘を未然に防ぎ、スラノバ国の内戦が終了するきっかけをつくった女性だよ」
イブラハムが説明すると、
「そうだ! 思い出した。『東島の勇者』玲子だ。それは、ぜひともリサイタルを聴かないと後悔するよ」
と、ハッサンは思わず手を打ち鳴らした。
イブラハムの船員たちも、玲子のことを知っていた。皆は、玲子のリサイタルを聴く気満々だ。
白井玲子の名前は、スラノバ国では『東島の勇者』として有名である。
玲子が有名なのは、彼女のピアノの演奏力だけではなく、彼女がピアノを弾きながら行動を起こすと、必ず奇跡が起こるためである。
一年前、玲子は、スラノバ国の王国軍と革命軍とが戦闘を始めようとしていた中立地区の病院の屋上で、ピアノを演奏した。また、ピアノ演奏に合わせ、玲子が作った『平和の歌』を歌った。そのとき、玲子の呼びかけに一万人の人たちが集まった。集まった人々は玲子の呼びかけに応じ、人間の鎖で病院を守り、平和の歌を合唱した。
一万人が合唱する平和の歌は町中に響き渡り、兵士たちの心に深く沁み込んだ。その結果、驚くべきことに、中立地区を包囲していた兵士たちも、少しずつ平和の歌を口ずさみだした。そうなると、もう戦闘どころではない。やがて、全員が平和の歌を合唱し、王国軍も革命軍も中立地区から撤退した。しかも、それをきっかけに内戦が停戦となったのである。
また、その後、玲子は、スラノバ国の国営放送でピアノを弾きながら、国民に呼びかけた。スラノバ国国民の守護神であるドクター近藤を救うため、救急車が通れるようにナイガル橋の修理を願ったのである。
ドクター近藤は、王国軍も革命軍も分け隔てなく負傷者を治療し、貧しい人には無償で治療することで有名な医者である。多くの国民がドクター近藤を慕っていた。このときドクター近藤は、村の子供を毒蛇から救うために代わりに咬まれていた。そして血清を運ぶためには、ナイガル橋の修理が必要だった。
すると、王国軍、革命軍、近隣住民の人たちが橋の修理をしに駆けつけた。敵同士である王国軍と革命軍とが、協力して橋の修理をする姿がテレビで放映されると、全ての国民が驚いた。しかも、それをきっかけに、スラノバ国の内戦は終戦の調印式が行われたのである。
スラノバ国の国民は、誰もが玲子に感謝していた。だが、ギリシャのクレタ島では、玲子の名前は有名ではない。
玲子のリサイタルは、五十人ほどが座れる場所で開催された。周りはアクリルでできた大きな水槽がある。
イブラハムたちは椅子に座り、演奏の開始を待った。
実は、イブラハムたちは玲子の容姿をよく知らない。だが、ラジオで玲子の噂を聞く限りにおいて、玲子が勇敢な女性であることだけは分かっていた。だから、イブラハムたちが想像した玲子の姿は、筋肉が隆々とし、ジャンヌダルクみたいに鎧に身を固め、剣が似合う体形だった。
やがて、司会者の紹介と共に白井玲子が登場した。しかし、玲子の姿は、イブラハムたちが想像したものとは全く違っていた。
手足が長く細い体である。どう見ても、剣を振り回せそうには見えない。表情も穏やかで、『勇者』と呼ぶような戦闘慣れした顔立ちでは無い。
イブラハムは、小声でハッサンに尋ねた。
「おい、彼女は本当に『東島の勇者』なのか?」
「……」
しかし、ハッサンやパウロ、スワイダーも、想像していた姿と違う玲子の容姿に驚き、返事ができない。
「みなさん、これから私のリサイタルを始めます。短い時間ですが、楽しんでください」
玲子が集まった人たちに挨拶した。
「あの声は、確かに『東島の勇者』の声だよ。俺、ラジオで彼女の声を聴いたことがある」
ハッサンがイブラハムたちにささやいた。
イブラハムも、玲子の声には聴き覚えがあった。
「こんな華奢な女性が『勇者』なのか? こんな美しい女性が戦争を停戦へと導いたのか?」
イブラハムの玲子に対するイメージ像が、ガラガラと音を立てて崩れてゆく。
やがて、玲子のピアノ演奏が始まった。
玲子は最初、ピノキオで有名な『星に願いを』の曲を奏でた。優しいピアノの調べが、水族館中に響き渡る。椅子に座った五十人ほどの観客も、思わず優しい気持ちに浸ってしまう。
すると不思議なことに、魚たちが水槽の側面に集まりだしたではないか。魚たちも、玲子のピアノ演奏に興味があるようだ。
「あら? 魚がこちら側に集まりだしたわ!」
リサイタル会場の近くで魚の鑑賞をしている女性が驚いた。
水槽の側面に集まってくる魚たちは、どんどん増えてきた。まるで玲子のピアノ曲を聴くために集まっているようだ。
玲子は次に、ショパンの『ノクターン』を演奏した。透明感のある美しいピアノの音色が、辺りに響き渡る。すると、椅子に座った観客は、夜空の風景を見ているような錯覚に陥ってしまう。全員が夜空に満月をイメージした。しかも、体が軽い。まるで空を飛んでいるようだ
しかし、水槽の魚を見ていた人たちは、さらに不思議な光景を目撃した。なんと、水槽の側面に集まった魚たちが、一斉に群れを成して泳ぎだしたのだ。まるで夜空一面に、多くの彗星や流星が駆け抜けるようだ。
魚たちは、ピアノの曲に合わせ優雅に泳いでいる。その姿がきらびやかで美しい。
椅子に座った観客は、玲子のピアノ曲に夢中で、水槽の魚たちの優雅な泳ぎに、まだ気づいていない。
しかし、リサイタル会場近くで魚の鑑賞をしている人たちは、皆が驚いている。
「まるでピアノの演奏に合わせて踊っているようだ」
「これは、魚の舞いよ」
「そうだ。魚たちが躍っている」
人々が口々に言い合った。
椅子に座った観客も、まわりの人たちのざわめきに気づき、目を開けて水槽を見た。
魚がピアノの演奏に合わせ、優雅に泳いでいる。まるでサーカスの出し物を見ているようだ。
魚たちは、ピアノの演奏に合わせ、演奏が素早いときは速く泳ぎ、演奏がゆっくりの時は穏やかに泳いでいる。泳ぐ魚の群れにライトが反射し、美しく輝く。
「わおー。凄い」
「こんなの初めて見た」
ピアノを聴いている人たちも、思わず感動の声を出していた。
通常、ピアノの曲を聴いているとき、観客は無言であることが礼儀である。しかし、その礼儀を忘れさせるほど、ピアノ演奏に合わせた魚の舞いが素晴らしい。
(やはり、彼女が『東島の勇者』だ。間違いない。彼女のピアノ演奏は奇跡を起こす)
イブラハムは確信した。
玲子は次に、カルメン組曲の『闘牛士』を弾きだした。
この曲は、闘牛が凄い勢いで走り回っているような曲である。
観客は、もはや玲子の曲に集中していない。魚たちがどう舞うのかが、興味の中心だ。皆、玲子のほうを向かず、水槽のほうに、目を凝らしている。
すると魚たちは、みんなが期待したように、ピアノ演奏に合わせて素早く泳ぎだした。まるで運動会の徒競走のように、魚たちがスピードを競い合っているようだ。
凄いスピードで、魚たちが水槽の周りを泳ぎ回る。魚の群れがライトに照らされ、まるで宝石が夜空に飛び交っているようだ。
この光景は、世界中のどこへ行っても見ることができない。おそらく、ここだけでしか見ることができないだろう。皆は、その感動に酔いしれていた。
やがて、玲子のピアノ演奏が穏やかに変わった。魚の体力を考えて、玲子が演奏曲を変更したためである。確かに、いつまでもテンポの速い曲を演奏していたのでは、魚たちが弱ってしまう。魚たちにも休憩が必要だ。魚たちも、素早い泳ぎの遊びに満足したかの様子で、ゆっくりと泳ぎだした。
最後に玲子は、フランク ミルズ作曲の『愛のオルゴール』を演奏した。心地よいピアノの調べが水族館に響き渡る。まるで、心地よい風が、玲子のいる場所から吹いているようだ。
すると、魚の群れは楽しそうに泳ぎだした。というよりも、まるで魚たちがダンスをしているかのようである。
「ブラボー!」
多くの観客が称賛した。
すると、突然、イブラハムが椅子から立ち上がった。
「これだ! とうとう見つけた!」
周りの観客は、大声を出したイブラハムに非難の視線を浴びせる。
イブラハムも、自らの不注意に気付き、頭を下げて椅子に座りなおした。
やがて、玲子のピアノ曲が終了した。それと同時に、魚たちの躍りも終了した。
観客や魚を鑑賞していた人たちから、大きな拍手が鳴り響いた。
玲子は立ち上がり、お別れの挨拶をした。
「明日からイラクリオンのホールで、私のピアノ・リサイタルがあります。ぜひ、お越しください」
しかし、イラクリオンでは、魚の舞いを見ることができない。観客は、それを知っていた。観客は玲子のピアノ演奏よりも魚の舞いが見たかった。
「この水族館でずっとリサイタルをやってくれ」
多くの人たちが、口々に玲子に要求した。
だが、この水族館で長い時間リサイタルをするには、無理がある。座席数も足りないし、そんなに長い間、ピアノ演奏をし続けていたのでは、魚たちが弱ってしまう。
玲子は、観客の盛大な拍手に見送られながら退場し、控室に向かった。
控室に入ると、玲子は溜息交じりにつぶやいた。
「はー。やっぱり私のピアノではなく、みんなは魚の舞いに興味を示したわ…」
今回の水族館でのピアノ・リサイタルは、クレタ島の首府イラクリオンのホールで開かれるピアノ・リサイタルの宣伝のためである。だが、水族館に集まった人たちの多くは、玲子のピアノ演奏よりも、魚の舞いに感動していた。
「困ったわ。このままでは、リサイタルのお客が、なかなか集まらない」
クレタ島では玲子の知名度が低く、伝手も無い。そのため、観客を集めにくい。玲子は困っていた。
その時、控室の扉をノックする音が響き、
「失礼します」
と、イブラハムが控室に入ってきた。
「突然お邪魔してすみません。私はイブラハムといいます。『東島の勇者』にお願いがあります」
イブラハムの挨拶に、玲子は驚いた。
(今、この男性は、『東島の勇者』といった…。懐かしい響き。するとこの男性は、スラノバ国の人なの?)
玲子は考えた。
「あなたは、スラノバ国の方ですか?」
「俺は、スラノバ国で魚の養殖業をしています」
イブラハムの明るい笑顔を、玲子は、最近どこかで見たような気がした。顎に親指を当て、首を傾けて考えたところ、
「そうだ! 昨夜のニュースで映っていた人だわ」
玲子は思わず両手を合わせた。
「イブラハムさんは、昨日、鯨の赤ちゃんを助けた方ですよね? ニュースで見ました」
玲子は、昨日のニュースに興味を持っていた。
「ピンキーの件がニュースになったのですか? ここは平和な島だから、こんなこともニュースになるのだな」
「ピンキーって何ですか?」
「赤ちゃん鯨の名前だよ。俺が名前をつけてあげた。ピンキーも、その名前を気に入っていたしね」
「イブラハムさんは、鯨の言葉がわかるのですか?」
「言葉は分からないが、言いたいことは、なんとなくわかるよ」
「イブラハムさんって、凄いですね!」
玲子は、イブラハムの明るく気さくな話し方に、好意を持った。それに、イブラハムは、ニュースになったことを少しも気にしていない。
自分の行為を少しも自慢しない。そんなイブラハムの性格も素晴らしいと玲子は思う。
「ところで、イブラハムさん。先ほど私にお願いがあるとのことですが、どのようなご用件でしょうか?」
「スラノバ国にある俺の養殖場の魚たちのために、ピアノ演奏をしてほしいのです」
「えっ、どうしてでしょうか?」
「養殖場の魚たちは、運動不足で、しかも病気になりやすい。だが、今日、あなたの…玲子のピアノ曲に合わせて魚たちが楽しそうに泳ぐのを見て、閃いた」
イブラハムは目を輝かせ、両手を大きく動かしながら、説明を続けた。
「養殖場の魚たちに、玲子のピアノ曲を聴かせると、魚たちは適度に楽しそうに運動し、健康になると俺は感じた。どうか協力してもらえませんか」
イブラハムの玲子に対する依頼は、通常のピアニストに対する依頼と、明らかに異なっていた。
しかもイブラハムは、自分が経営している魚の養殖について、熱心に玲子に語った。
「今、地中海の魚は減少している。その原因は、漁師が乱獲を行っているからだ。このままでは家庭の食卓から魚料理が無くなってしまう。それを防ぐために、俺は養殖場を経営している」
確かに、地中海に限らず、世界中で漁獲量が年々減少していることを、玲子も知っている。
人類の将来を考えた場合、魚も牛や豚と同様に、育てる必要がある。その思いは、玲子も同様だった。
「俺は、すべての国民に、安い魚を提供したい。そうすれば、飢える国民はいなくなる。スラノバ国は内戦が終わったといっても、まだ内戦のときの影響で、国民の生産性が低い。生活に困っている国民が、まだまだ沢山いる。そんな国民を、俺は魚を提供して救いたい!」
と、熱く語り、さらに一段と声を大きくして、
「特に子供たちに不足なく栄養を与え、未来に希望を持たせたい」
イブラハムは養殖業に情熱を注いでいた。 彼は子供の頃に味わった貧困を、今の子供たちにさせたくなかった。そして、子供たちの未来に希望を与えたいと願っている。
玲子は、イブラハムの話を聞き、
(この人は、自分のためでなく、国民の未来のためを考えて仕事をしている)
と感じた。そしてイブラハムの熱心な話に共感を持った。
「わかりました。私の力でできるかどうかわかりませんが、お手伝いします。幸い、二週間後からスラノバ国でリサイタルを開催する予定です。だから、リサイタルの合間であれば、お手伝い可能です」
玲子の返事を聞き、イブラハムは胸をなでおろした。
「ところで、水族館の中は、もう見て回ったのかい?」
「いえ、まだ見学していませんが…」
「それなら一緒に見学しよう」
イブラハムは玲子が断るとは夢にも思っていない。しかも玲子には、断る理由が無い。二人は、一緒に水族館を見学することにした。
水槽の近くを歩くと、不思議なことに、玲子の周りに魚たちが集まってくる。
「あら? 魚たちは私の顔を覚えてくれたのかしら?」
玲子は魚たちに囲まれて、幸せな気分を味わっている。
「でも、玲子はピアノに向かって弾き続けていたので、魚たちは玲子の顔を見ることができなかったはずだ」
「確かにそうだわ。それじゃ、どうして私のことがわかるのかしら?」
「おそらく、玲子の体から出ているオーラを、魚たちは覚えているのかもしれない」
「オーラ…。まるでSFの世界ね!」
「いずれにしても、玲子と一緒に歩くと、魚たちが集まる。そして俺は、得した気分になる」
イブラハムは、集まった魚たちに笑顔で声をかけながら歩いている。
しばらく歩くと、
「船長、どこへ行っていたのですか?」
呼びかけたのはハッサンだった。
「ああ、すまん、すまん。白井玲子さんに用事があって」
そのとき、玲子は驚いた表情だった。
「…ムハマドさん?」
「玲子、彼はハッサン。俺の船の操舵手をやっている」
「あっ…、そうでしたか。ハッサンさんによく似た方と知り合いだったので、つい間違えてしまいました」
玲子はペコリと頭を下げた。
それからイブラハムは、ハッサンだけでなく、パウロやスワイダーも、玲子に紹介した。
「船長、『玲子』と呼び捨てして、早速付き合い始めたのですか?」
航海士のパウロがひやかした。
「馬鹿野郎! 仕事の話をしていたのさ。それに玲子には、ドクター近藤というフィアンセがいる」
玲子は、近藤の名前を聞いて驚いた。
「どうして、それを知っているの?」
「スラノバ国では、玲子とドクター近藤との仲を知らない人はいないさ。それとも、その噂は間違っているのかな?」
「いえ…、間違っていないと思います…」
玲子は、顔を赤らめながら、小さな声で返事した。
実は、二週間後に玲子は、スラノバ国でドクター近藤こと『近藤聡』と会う約束をしていた。そのため、イブラハムから近藤の名前が出てきたことで、心を見透かされたような気がした。
(イブラハムさんは、私が聡とスラノバ国で会うことも、前もって知っていたのかしら?)
そんな疑問が玲子の心に、ふとよぎった。
その後、玲子は、イブラハムたちと後日スラノバ国で会うことを約束して別れた。
後談だが、クレタ水族館では、玲子のピアノ演奏に合わせて魚が舞う噂が口コミで広がり、少しずつ水族館に足を運ぶ人たちが増えた。
やがて、地元のテレビ局が取材にやってきた。その内容をニュースで放送すると、水族館への入場者は、爆発的に増加した。連日多くの人たちがクレタ水族館に押し寄せた。
ピアノの演奏に合わせて魚が舞う様子は、小さな子供たちや学生、社会人、熟年者など、すべての世代の人たちに喜ばれた。あまりの客の多さに、水族館側では、入場制限をすることとなった。
だが、玲子のクレタ島でのリサイタル期間が過ぎると、水族館でのミニ・リサイタルも終了した。
水族館側では、急遽、別のピアニストでリサイタルを開催した。しかし、玲子以外のどのピアニストが演奏しても、魚たちはピアノに合わせて泳ぐことはなかった。