作品の概要
神還師とは秀中道夫による小説並びに関係作品群で、本編と余書に分かれている場合がある。
◆作品の背景
作品が生まれたのは2010年後半ごろとされている。詳しい執筆開始時期ははっきりとしていない。元々秀中道夫は地元鳥取をネタにした小説を書いて、当時流行し始めていた聖地化を何らかの形で行えればと考えていた。
様々なテーマで考えていたがどれもいまいちで、ある時、妖怪や物の怪に関する違うアプローチの小説ができないか考えるようになり、土地神や地鎮祭、地脈に関する要素を基にした内容を考えるようになっていた。
◆神還師の決定・『小説家になろう』にて掲載開始
基本的キャラクターも出来上がり必要な要素が出来上がりはじめた。当時は迷い神をナイトウォーカー、神還師をナイトリッパーとして要素とストーリーを考えていた。初期の作品要素には東里市という架空都市の他、主人公榊守が関係する実家の物語も加えられて、開始時から2部作以上、長期的な作品と考えていた。その後、横書きとなっていた各種名称を神還師・迷い神・魔封師として、一通りのネタ量に満たされたことで、2014年10月ごろから「小説家になろう」にて掲載が始まった。
ただし、掲載開始時は、全体の2割~3割程度しか書き上げておらず、定期的にまとめてあげていくスタイルをとった。
◆なろう掲載前と掲載後の構想
【時代背景】
作品の時代設定は執筆当時の2010年ごろを基本として特に時代は固定していなかった。しかし掲載前の執筆中に発生した2011年の東日本大震災と福島第一原発事故による帰宅困難地域などの発生は神還師の作品に大きく影響した。
その結果、作品に地震の要素を加えて(主人公の榊守は西日本の人間でありながら、東日本大震災発生後の取材協力として、福島での報道取材を行っている:作者公式設定)作品時期を2010年に固定した。
――本編内容でも平成22年度予算といった表現をしている個所がある、時代背景に合わせた携帯電話や時計などのガジェットも登場させている。また当時はスマートフォンも発売されたばかりの頃で、利用している端末もPDAだったりする。
その関連でさらに2008年に発生した島根県女子大生殺人事件も2016年に作品に関連させている(時代は2006年ごろと変更して10年後の2016年には被疑者死亡で捜査終了としている)
【キャラクター】
なろう掲載前の段階で榊守・榊理彩・神楽ミキ・神楽寛三・神楽俊夫・藤本由美・佐山のキャラクターは存在していたが、久我山修一や伊野宮恭介、戸田などのキャラクターは作品を追加していくごとに決定していった。報道記者の榊守や女子高生の神楽ミキといった年の差キャラクターとなっている。榊守の設定には作者の秀中道夫の設定をもじっているが、秀中自身は報道記者だった経験はない。
神還師の対極である魔封師も存在は掲載前から存在していたが、ほぼほぼそのキャラを確定させたのは掲載後以降である。
◆余書の存在
本書以外に過去を描く要素として追加したのが半長編作品の『事件記者Aの後悔』である。この作品では2008年に発生した島根県女子大生殺人事件の概要を参考としているが実際の事件にかかわる部分はほとんどない。神還師の能力―この時は神還師の話はない―を生かして真実を追いかける榊とそれに振り回される定年間近の事件記者戸田の事実とも戯言ともいえる事件の真相を追いかける内容となっている。同時に余書は本書の榊守に関する謎を深くする役割もある。
余書はその前にも榊守の動向を伝える『或る男の書』という短編の内容がある。これは執筆中の2016年に発生した熊本地震を受けて書いた物であるが、このことに榊守が行方不明になっていることを書いている。榊からの電子メールに『チョット東里を離れ、過去を元に戻してきます。』と書かれて以降に行方不明となったとされている。
◆神還師 年表
○1980年代
榊守、幼少時代の事故で魑魅魍魎の類いが見えるようになる。
○2006年
海原テレビエリア内でバラバラ殺人事件発生。当時営業にいた榊守は定年間近の記者戸田と一緒に事件を追う。土地神たちの記憶をたどり、被疑者まで突き止めるが、既に被疑者は死亡していた為捜査はできなくなった。榊・戸田は成仏できずに亡霊化した被疑者と対峙する。ここで、壊波の力が暴走し榊は亡霊を殲滅する。佐山は榊の記憶を消していく。
○2008年
作者、榊と会う
○2010年 『今回の舞台』
榊守、神楽親子に会い神還師の存在を知る。
東里横断道路建設現場での事故騒ぎが迷い神のものとして捜査。しかし暴走して榊が土地神を滅ぼしてしまう。
○2014年頃
榊守、行方不明。
○2016年
10年前のバラバラ殺人事件が被疑者死亡の状況で捜査終結。