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今昔あやかし転生奇譚 〜平凡な女子高生の彼女と幼なじみには秘密がある  作者: yume
第四部:月の光の中で花のように笑う少女に四神は涙する
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第二話:いざ!陰陽寮へ


 陰陽寮


 日本の律令制において中務省に属する機関の一つがあり、占い、天文、時、暦を編纂を担当する部署であり、別名「うらのつかさ」とも呼ばれている。


 平安時代以降、律令制の弛緩と藤原氏の台頭につれて、形式化が進んだ。


 宮廷社会で高まりつつあった霊に対する御霊信仰などに対し、陰陽道は占術と呪術を持って災厄を回避する方法を示し、天皇や公家の私的生活を影響を与えることになった。


 こうして陰陽師の国家管理の独占が図られた。


 その中でも有名なのが、10世紀に陰陽道、天文通、暦道いずれも究めた陰陽道の占術に卓越した本能を示し、宮廷社会から非常に信頼を受けた安倍晴明が登場する。


 そして天文通の安倍氏と暦道の賀茂氏が二大宗家として独占的に支配するようになった。


 二つの宗家による陰陽道の支配が孤立したとはいえ、その内実は複雑だった。


 当時、権力や大金があるものしか陰陽師を雇えないと憂慮した安倍晴明は民間でも使えるように相手を受け入れたが、賀茂家は経済力や権力の家柄を重視して庶民のものを受け入れなかったのだ。


 こうして二つの宗家はずれが少しずつ生じてしまう。


 そして時代は移り変わり室町と呼ばれる頃、安倍家の分家「土御門家」が誕生する。そうして賀茂家、安部家、土御門家は陰陽三家と呼ばれる。


 新しい陰陽寮の形となったのは江戸時代からとなる。安倍家は人間の世界に居ることが難しくなったもの達の場所と隠(妖怪)と陽(人間)が寄宿する共同の学び舎である陰陽寮へと生まれ変わる。




 その陰陽寮に花月達は今から向かうのである。


 一泊二日だがみんなで遊べる道具を色々とバックに詰めていくと大きくなってしまったことに桃華に苦笑されながら突っ込まれた。


「そんなに持っていて、何泊泊まるつもりよ」


 花月は恥ずかしそうに頭をかく。


「えへへ、みんなで何で遊ぼうか考えていたらこうなっちゃって」


「しょうがないわね、これは私が持つから」


 桃華はため息をつきながらも花月の持っていた手提げを一つとった。それに嬉しそうに感謝の気持ちを述べた。


「ありがとう!」


 桃華と花月の仲良しぶりの様子に真澄と朝日は笑みを浮かべる。


「お二人とも仲がいいですね」


「うん、そうだね 今まで友希ちゃんや遠藤(麻里子の苗字)さんとかぐらいだったし、新しい友達が増えてよかった」


 けれど嬉しいと同時にどんどん花月と話す機会が減ってしまうのではないかと寂しい気持ちになっていた。暗い気持ちを切り替えるように朝日は明るい声を出した。


「それで、その陰陽寮というのはどこに行けばあるんですか?」


 花月達は公共の交通機関を使うこともなく徒歩で行ける距離だと言われて考える。と

長年、狭間区の守っている御影様なら面積が広い土地なら知らないはずもない。


 そんなところ一つしか思い当たらなかった。


(ここら辺で敷地があるところって)


 桃華を先導に歩いていくとそこは花月達が馴染みのある場所だった。


「ここって狭間高校だよね」


「うん、寮はこの中にあるんだ」


「そうなの?」


 桃華の後ろを追っていくと花月達が授業を受ける新校舎を通り過ぎて、緑豊かな鎮守の森に入っていった。どんどん奥の方に進んでいくと妙な感じがした。何かを探られているような感じに花月は首を傾げる。


(何だろう、このざわつく感じ)


 悪いものではない気がしたのであまり気に留めなかった。


 それに気づいたのは朝日と真澄も同様だった。顔色を変えないように念話をする。


『気づいている、真澄』


 その違和感の正体にである。


『はい、これは結界ですね……普段は近寄らないのでわかりませんでしたが』


『そういえば、真澄も来たことがあるの?』


『はい、ここ狭間区に妖怪が住むことができる特区でありますが、この陰陽寮はまた特殊な場所ですね。そして私たち横丁に住んでいるものと陰陽寮の間には約定があるのです』


『約定?』


『はい、それはお互いに私的な干渉、戦闘行為をしないことです』


『そんな約束事があるんだね』


『人間が人間ではないものに土地を与えているのです。それを破ったら何らかの罰則か最悪、狭間区を永久に追放されることになるでしょう』


 狭間区以外で生活したことがない朝日は口がひきつりそうになった。


『……永久に、それなりのリスクがあるんだね』


『でもそんな軽はずみな行動をする者はそうはいませんし、新しい陰陽寮ができてからは安泰が保たれているんです』


 どんな組織も会社も継続するのは簡単なことではない。


『そうだね…このまま何事も起きないといいんだけど』


 朝日は物憂げに見上げると気持ちのいいほど青い空と白い雲、そしてひばりのピチチとした鳴き声が聞こえた。




 〇〇



 布団の上で健やかに寝ていた少女がいた。ふと彼女は目を覚ます。少女は欠伸を漏らしながら起床して、背伸びをする。


 朝には遅すぎて昼にはまだ早い時間に起きたのは偶然ではない。



『ふは〜、誰かが私の結界を抜けたわね 一つは覚えがあるけど 悪意はなさそうね……何かしらこの感じは』



 この陰陽寮の結界の守護を務めて幾数百年が経つ。その長い間彼女は守り続けてきたのだ。


「…面倒くさいけど、仕事だからな〜」


 ぼやきながらもどんな人物が気になったいた。少女はベットから降りて今度は体全体を使って背伸びをした。


「さてと、顔を見てきましょうか」


 少女は面白そうに口元に笑みを浮かべて寝室をでた。









 花月達は木立を抜けていくとそこには立派な門構えがあった。その門には警備員のような人が向かいに一人ずつ立っていた。


 花月は目の前の光景に驚愕して立ち止まる。


(こんなところがあったなんて、全然わからなかった)


 花月達が不思議そうに立ち止まっていることに気づいた桃華は説明する。


「陰陽寮には幻術がかけられているの」


「幻術?」


「それって旧校舎を偽装していたということですか?」


 朝日が知っていることに桃華は少し意外そう表情をしてうなづく。


「まあ、そうなるわね、って……私まだ旧校舎って言ってないけど……」


 それに驚いた朝日は頬をかきながら口を開いた。


「え、そうでした……? 噂話とかでなんか聞いたような覚えがあって」


「そう……?」


 噂ぐらいならと桃華は納得して追及しなかった。


 軽快に答えた朝日の内心の冷や汗はやばかった。


(あぶな……もう少しでボロを出すところだった)


 戦々恐々としており、それを隣に聞いていた真澄もドキリとした。


 まだ中にも入っていないのに朝日は先が思いやられる気持ちでいた時、真澄から念話で話しかけられる。


『朝日様、大丈夫でしたか?』


『うん、真澄 ごめんね』


『いえ、ここまできた以上気を引き締めていきましょう』


『うん』


 真澄に心配をかけてしまった朝日は沈んだ気持ちになりながら足を進めた。


 桃華はさっきのことも怪しんだ感じもなく門番に証明書である木簡を渡した。許可がおり、門の中にはいった。きれいに補正された道を抜けていくと、そこにはモダンな洋館が建っていた。


 現代の家の造りであるアパートやマンション、一戸建てなど種類は様々であるが、花月達の目の前にある建物は現代とはまた違った情緒あふれる異彩を放っていた。


 それから玄関に玄関に入り、事務室と書かれたプレートがあり、桃華は受付の女性が現れた。


「あら、こんな時間に珍しい」


「友達が来たので申請書の書類をお願いします」


「! 烏丸ちゃんがお友達?!」


 名字にちゃん付きということにも驚いたが、女性の驚きように花月達は目を見開く。桃華はそんな反応に慣れているのかため息を今にもつきそうに渋い表情をしている。


 花月はどうしてそんなに驚くのか訳を聞いた。


「それは彼女が1匹狼だからね、この寮に入って何年も経つのに一緒に歩く人なんて見たことがないから」


「そうなんですか……」


「烏丸ちゃんいつも修行に明け暮れていたから、お姉さん心配でね〜」


 話を聞かないようにしていたが段々と恥ずかしくなった桃華は羞恥に耐えられず早口でまくし立てる。


「〜〜その話はもういいから、早く書類を」


「は〜い」


 ニヤニヤする女性、湯浅は仕事のモードに切り替えて紙を渡し説明した。。


「ここにそれぞれの名前をお願いします」


 花月達は名前を書くと許可のハンコが降りた。


「はい、確認しました」


「これで、大丈夫よ」


「ありがとうございます」


 花月達はお辞儀をしたが、桃華は湯浅を振り切るように背を向けてスタスタと歩いて行った。


「あらあら、ちょっとからかいすぎたわね…」


「桃華ちゃんなら大丈夫ですよ」


「そうね、あの子とてもいい子だから」


 花月達はそう言って桃華の後を追いかけた。


「面白い方でしたね」


「まさかあんなに絡んでくるとは思わなかったわ」


「そうなの?」


「いつも必要最低限のことしか話しをしなかったから」


「そっか、あの人、湯浅さんは桃華ちゃんと話をしたかったんじゃないかな?」


 その言葉が理解できないと桃華は不思議そうに花月を見つめる。


「……どうして私と?」


「う〜ん?と、それは何でだろう……」


「何よそれ……ふふ」


 花月のよく分からない根拠に桃華は呆れそして可笑しくなり自然と笑みがこぼれた。その二人の微笑ましい様子に朝日と真澄も嬉しく思った。


『真澄、はなちゃんが友達ができて本当によかった』


 最初の頃は二人の時間が減ったことに朝日は焼き餅を焼いていたが、花月が笑う顔を見て、いつしか消え去っていた。


 真澄もまた花月ともに過ごしてきた時間もあるので心配をしていたが、桃華の実直な人柄に花月といい交友関係が築けてほっと安堵した。


 そんな和やかな束の間の時間はあっという間に過ぎ去ってしまった。

 

 ある一人の少年の声によってーー。


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