序章:異形の子
とりあえず、少しですが序章をお楽しみください╰(*´︶`*)╯♡
「異形の子」と人々はそう呼んだ。
そしていつからだっただろうか、自分の中に流れるのは人間の血だけじゃないことを知ったのは。
優しい母と父がいた。けれど母は自分のせいで離ればなれになってしまい、それから父は母の面影がある自分を見るたびに辛く悲しそうな顔をするようになった。
『……僕が奪ったんだ』
自分を責めた彼は次第に笑わなくなった。心に傷を背負いながら誰にも相談することなどできなかった。
自分にできることは少しでも父への贖罪ともう一度母に帰ってきて欲しくてあの平穏な日常を取り戻すために、有名な先生に弟子入りし、徐々に頭角を現していくが、その力に恐れをなした人々に言われたのは自分への蔑みと恐れの視線と心無い言葉だった。
『恐ろしや、あの幼子が』
『やはり人間ではないから』
その言葉は子供の自分を傷つけるのに充分だった。
けれどこれ以上迷惑をかけたくないので父にはいえず、誰にも弱音を吐くことができなかった。彼らは小さな声で囁きあっているが人並み外れた聴覚で陰口を聞いてしまうため、辛い日々が続いた。
「奴は化け物との合いの子だからな」
「ふ〜、童だというのに末恐ろしい」
その人たちはさっきまで自分の術をほめそやしていた大人の人たちだった。言われることは分かっていた、だがそれでも悲しくないのに悲しい。
たまに自分の心が分からなくなる時がある。そんな時に誰にも見つからないように木陰に潜めて嗚咽を漏らしながら泣いた。
「うゔ……ぐぅ」
誰もいないことは分かっているのに声を抑えながら泣いていると、草陰からひょっこりと人影が踊りでた。思わぬ闖入者に子供は硬直する。
「全く本当にうるさいおばさんだわ〜 もう少し羽を伸ばすぐらいいいじゃないーーっと」
ぶつぶつと言っている少女と思わず目があった。先ほどまで頬を濡らすほどの涙も驚きで引っ込んでしまった。
「え〜と、ごめんね なんか驚かせちゃって …どうして泣いているの? ってそんなにびっくりした?!」
他人から心配されたことがなかった自分はただ嬉しくて今度は別の涙が溢れた。それに慌てたように彼女は駆け寄ってきた。
「うぇぇ?! ど、どうしたの? 大丈夫?」
そのことが余計に嬉しくて作り笑いとかでなはく、久しぶりに心から笑えたような気がした。
ーーこれが彼女と僕との最初の出会いとそして始まりだった。
次話の更新は今しばらくお待ちくださいませ。・°°・(>_<)・°°・。




