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今昔あやかし転生奇譚 〜平凡な女子高生の彼女と幼なじみには秘密がある  作者: yume
第五・五部:合戦・百花繚乱編(下巻)
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第二十話:後日談

サブタイを変更しました。


 とある病院では事件で意識を失った人たちを収容していた。死人のように眠っているため不気味だが、心臓の鼓動は生きている。


 朝方のこと、一人の看護師が定期に観察しにきた。その時に声が聞こえた。看護師は足早に近づき、カーテンを開けるとそこにはVRゴーグルを撮ろうともがいていた。



「落ち着いてください西山さん、今すぐ取りますので」



 看護師は助けを呼ぼうとナースコールを押した。


「306号室の西山さんが意識が回復しました 先生をお願いします」


 そして先生がやってきて西山健一の体を診察した。


「うん、寝たきりだったから、今は頭痛や、筋肉痛があるだろうが、数日すれば治るだろう」


 西山は呆然としながら、呟いた。


「俺は……一体、何があったんですか?」


「君は意識不明で倒れていたらしい……鈴木さん、君の友人が通報した救急車で運ばれてきたんだ、それからいろんな診察をするが薬がなく、経過を見るしかなかった」


「そうだったんですか、ありがとうございます」


「いや、お礼を言うならその友達に言わないとね」


「はい」


 西山は恥ずかしそうにうなづいた。


「寝たきりだったから無理に体は動かないこと……」


 そのことに西山は気になった。


「あの俺、どのくらい眠っていたんですか」


「君は3日間寝ていた」


「3日間!?」


 西山は顔を覆い、その表情は驚愕に染める。意識が無くなっていたので無理はないだろうと医師は様子を伺う。


「ゲームの世界ではどんな感じだったんだい?」


「あ〜、ゲームの世界だと何時間も経っていましたしね、いろんなことがあって最後には大王っていうボスが現れて」


 自分たちがログアウトできずに、魂を食われてしまうところなどなるべく細かく話をした。西山は知る限りのことを話し尽くした。


「もう他にはないか?」




「う〜ん、特にない あ、大王を倒した人にお礼を言いたいぐらいですね、あの人が倒さないとログアウトできなかったって思うんで」



 医師と看護師は怪訝な目で見ることもなく鷹揚にうなづいた。


「そうですね」



 医師は看護師とうなづきあった。


「それではお昼までゆっくりとしていてください」


「はい、あの友人に電話をしても良いですか?」


「いいですよ スマホは友人の方が持って来られたみたいなので それでは」


 ベットの脇を見ると財布やスマホなどが置かれていた。ぎこちない動作で画面を見るとLINEの履歴が何件もあった。


『起きたら連絡しろ』


『まだ寝ているのか……』


『良い加減起きろよ』


 それをみた瞬間、ポトリと水滴が落ちスマホの画面に溢れた。





〇〇




 退室をした看護師と医師は小声で話した。


「本当なのでしょうか……あの話は精神的なものでは」


「それだけでは説明できないものがある」


 そのことに医師は首を振る。


「説明できないもの?」


「上からの指示でもあって、混乱を避けるタメに口外する事はできない」


「上からの…理事会からですか?」


 看護師はそれ以上に何も聞かない方がいいと口をつぐんだのだった。


 そしてそれから一日中、ナースコールが鳴りっぱなしとなる。眠りについていたもの達が目を覚ましたのだった。








〇〇【麻里子の場合】


 麻里子は目を覚まし、先生に診察してもらい、安静するように言われた。そして持っているスマホを見て、友希子から連絡があることを見てメッセージを見つめた。


 メールをすると、すぐに返信が返ってきた。


『すぐに病院に行くから』


 夕方に友希子はやってきた。麻里子は返事をしようとしたが、筋肉がうまく動かなくて、起きれなかった。


 そして友希子の顔を見て驚いた。友希子が涙がポロポロと溢れたいた。



「もう……本当に バカ」


 冗談の一つでも言ってやろうと思ったが、それどころではなかった。


「ごめん…ね 友希子」


 友希子は近寄り、枕元まできた。


「本当によかった 生きてて」


 友希子はどうやら事情を知っているみたいだ。


「心配かけてごめんね 友希子」


 少しして、友希子が落ち着いた。何度も謝る麻里子を見てふと苦笑する。


「もう、いいわよ 帰ってきてくれるんだから」


 それから麻里子と友希子は話し合い、暗くなるまで話しあった。


「もう、そろそろ帰らないと またね」


「うん、ありがとう 来てくれて」


 麻里子は友希子に手を振って見送った。


















〇〇





 〇〇【紅姫の場合】





 意識が覚醒して目を覚ますと自分がどこにいるのかと見ると、白い部屋の中にいた。そしてナースコールを押すと看護師と医師がやってきた。そして説明された。


「お爺さまが心配されていましたよ」


 その言葉に苛立ちながら少年は笑顔を作った。


「早くお爺さまと話をしたいです」


「それと君に話があるものがいらっしゃるみたいで」


「話をしたい人たち?」


 翌日になるとそのもの達がやってきた。入ってきたのはスーツを着た容姿の整った男性二人の心あたりはなかった。


「あなた達は……?」


「私は陰陽寮に属している阿倍野と申します」


「加茂野照良だ」


 自己紹介されたので、名前を言った。


「私は藤原伊織と申します、ベットの上ですいません」


 綺麗にお辞儀する姿に二人は目を見開く。


「どうしたんですか?」


「本当にあの紅姫なのか……?」


 その名前を聞いた紅姫……伊織jはガラリと様子が変わった。


「な〜んだ、僕のアバターを知っている人か」


 その変わりように裕司は呆気にとられ、照良はプッと吹き出した。


「お前、面白いな」


「ちょっと言葉遣いに気をつけてくださいよ」


「なんか二人のやりとりどっかで聞いたような……もしかしてノリって子達と一緒にいた人たち?」


「……はい、そうです」


 裕司は言いにくそうに視線を逸らした。


「へ〜、そうなんだ アバターと現実の姿って全然違うからね」


 じろじろと紅姫もとい伊織が裕司達を見つめていると咳払いをして息を整えた。


「私たちがゲームの世界に行くように行ったのは、あなたを探すようにと警察の方から依頼があったからです」


「警察? あのじじいのか」


「じ……………言いにくいのですが藤原首相でよろしいですか?」


 は〜とため息をつきながら、伊織はコクリとうなづいた。


「なんだ、自分の爺ちゃんが首相なの嬉しくないのか?」


 何気なく呟いた照良の一言に伊織は苦笑する。


「最初は嬉しかったよ……けど時間が経つにつれて、周りの反応が面倒臭くなったんだ 。どこを言っても祖父の肩書がついてしまうーーだから」


 裕司は伊織の心を察したかのように代弁した。


「だがら自分の姿を逸われるゲームの世界にのめり込んだ」


 それに伊織は少し驚いたように目を見開きコクリとうなづいた。


「大変だったけど、楽しかった 向こうでは何の偽りもなくやれたからね」


「え〜と、女装もですか?」


「うん、あんなの見たら母さんとか卒倒しそうだし」


「まあ、びっくりするだろうな」


「でしょ」


 ハハハと笑い合い伊織は思い出す。


「そうだ、最後に大王を倒したあの少年のこと何か知っていますか?」


 そのことに裕司と照良は目を合わせた。


「私たちも探しているのですが、人が多すぎてなかなか見つからなくて」


「そうだったんだ、それじゃ分からないね」


「お役に立てずすみません」


「ううん、みんなが元気でいてくれたからね 死んだら何もできないし」


「そうですね」


 そんなふうに話を終えた。







〇〇 (ククの場合)



 目を覚ますと自分の体が思うように動かないことに気がついた。


(ここはどこ……自分の部屋じゃない)


 辺りを見回していると看護師のような人が来て先生をよんだ。そして診察を受けて、寝たきりだったから体が動かないことを言われた。


(だから動けないのか……)


「ゲームをする前のことは覚えている?」


「はい、え〜と私、学校に行ってなくて、勉強とかは家でやっているんです。趣味でゲームをするんですけど、このゲームは半年くらい前からやっていて 勉強の休みの日は一日中するのも好きでした」


「なるほど、他にはあるかな」


 ククは気になったことを聞いた。


「こうなったのは私だけじゃないんですよね」


 先生は少し考えて口を開いた。


「そうですね、君だけじゃない 他の病院に運ばれた人もいれば、ここにも運ばれた人もいる」


「そうですか……あの亡くなった人とかいませんよね」


「亡くなったと言う報告は受けていません」


 ククはそのことを聞いてほっとした。


「よかった……その中に友達になった子がいるので」


「その子もきっと今の君と同じで生きているだろう。そのためにも体を元どおりにしないとね」


「はい」


「あと君が意識が戻ったら家に連絡するように言われたから電話するね」


『家』と言う単語にぎくりと肩を硬らせた。ようやく家族のことを思い出し、冷や汗をかく。


「あ……あの、もう少し連絡を遅くすることは」


「どうしてだい?」


「多分…いえ、絶対に怒られます」


 戦々恐々としている私に先生は朗らかに笑って去っていった。


『せ、先生行かないで!』


 ククの叫びは叶わず数十分後姉からメールが届いて、母、兄は号泣して、姉にしこたま怒られた。


「しばらく、ゲームは禁止ね」


「っえ」


 聞き逃せない言葉に私は意を唱えようとするが、姉はギロリとした睨みに言葉が詰まる。


「いいわね」


 至近距離で見つめられ、私はブリキ人形のようにコクコクとうなづくしかなかった。そして日常生活ができるまでリハビリをして回復すること2日後、我が家に戻ってきた。


 部屋に戻るとゲームデッキは没収されていたのでキツかったが半年我慢するように言われた。


『心配かけてしまったようだし、反省しないと』







菊理(くくり)、ご飯よ」


「は〜い」


 ククとはアバターの名前、本当の名前は土御門菊理(つちみかどくくり)。姉の名前は土御門百合絵、兄の名は土御門慶次。


 彼女もまた陰陽師の家としての宿命に抗えず、向き合うことになる。そのことにまだ気付いていない菊理は夜ご飯は何かな〜と呑気に考えていた。





午前0時過ぎにあと一話投稿します。

物語のエピローグに出てきたのは……!?

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