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第十九話:リアルとゲームの戦闘経験の差



 メリーと仲良く会話ができる様になった憲暁達は色々な質問をするとある質問が気になった。


「初めてだったらあれも知らないかあ」


「あれとは?」


「ランキングで戦い抜けばこの世界のボスと戦える挑戦権を得られるって」


「この世界にボスっているんですか?」


「そう! 他のプレーヤーも挑戦しているんだけどいまだに成功した人なんていないんだよね。一番強い「い」の一の獅子王でさえも勝ったことがないし」


「獅子王」


「そう、順位は「い」の一、強靭な肉体と破壊力を持つ圧倒的なプレーヤーの中で一位だね」


「そんなにすごいんですか?」


「すごいってものじゃないよ、合戦に参加するときはまず当たりたくない相手だね」


 憲暁は疑問を提示する。


「上位のランキングの者もあまり強くない者と戦うこともあるのか?」


「まあ、合戦って多人数で行われるゲームだからね、強いのもいればもちろん弱い者もいるよ」


「それではあ強いものしか勝たないのでは」


 裕司は思案してつぶやき、メリーはそれにうなづいた。


「そうゆうこと、だから弱いままでいるか、自分の技を磨いてスキルアップして強い者に挑むかしかないってこと」


 ゲームなのに中々シビアな世界だと憲暁達は思ったが、戦う前から心が折られているわけにはいかない。闘争心が芽生え始める照良と裕司は凄惨に笑う。


「上等じゃないか」

 

「ええ」

 

 メリーは4人が笑う姿に固唾を呑んだ。


『4人とも初心者って感じかしないだけどな〜』


 それから対策のためにメリーの上位プレーヤーの情報を覚えるように憲暁達は集中する。


「他にも「い」の二の超美少女なんだけど、凄腕の使い手、切り裂かれてあっという間にゲームオーバーになることも少なくない」


「他にはどんな人がいるんですか?」


「「い」の三は私の様に情報収集に長けているものや、自分の色香で相手を誘惑して降伏させてしまうものもいます」


 とりあえず上位1位から5位のプレーヤーの名前と身体的特徴を教えてもらった。


「ありがとうございます」


「ふふ、お安い御用だよ。あ、あとで写真をお願いしますね」


 もちろん情報はタダではない。


「ええ、(私ではなく照良が)いくらでもやるので」


 本人の承諾なしに取引された。裕司は忘れずにあることをメリーに聞いた。


「この世界での姿は現実の世界の姿とは異なることは珍しくないですよね?」


「まあ、それはもちろん自分がなってみたい姿とかあるだろうし、現実の世界の姿でなんてなかなかないんじゃないかな」


「そうですか」


 その言葉に望み薄だと知れた裕司は分かりやすく落胆した。その様子に気になったメリーは気になった。


「誰かを探しているの?」


「え〜、まあ」


 今までに淀みなく話をしていたのに言葉を濁す話し方に首を傾げた。裕司はどこまで話すべきか迷ったのだ。けれど情報が少なすぎる現状に少しでも情報が欲しいと決断した。


「ええ、探している人がいましてここに来たのですが、なかなか見つからなくて……現実世界の名前なんてエチケットなんですよね」


「そうだね〜 それは暗黙の掟だから」


「そうですか。地道に探すしかありませんね」


「力になれなくてごめんね。あっ、それなら名を上げていくのはいいかも知れないよ」


 メリーの提案に裕司は不思議がる。


「それはどうしてですか?」


「順位が上がれば上がるほど、色んな人たちが注目するし、その人が見る可能性が増えるかも」


「なるほど、一理ありますね どうしますか?」


 憲暁、光秀、照良に了解を取り、受付に向かった。登録が終わり、別のところに案内される。


「ここから合戦場に転送されるんだな」


「カウントが開始すると思うよ」


 メリーが言った直後にカウントのアナウンスが流れた。


『カウントを開始します 5・4・3・2・1 合戦場に転送します 御武運を』


 光に包まれた憲暁達はその場から姿を消した。次に目を開けるとそこは建物の中だった。


「ここは一体…」


「ここが今日の合戦場の舞台らしいね」


「ここってお城か」


 先ほどまで現代風の建物の中にいたのに、風情ある赴きに憲暁は何度も見ているのでピンときた。


「そういや、相手はどんなやつだった?」


「え〜と順位は78位の漆黒団って12人の忍者集団ですね」


 相手のネーミングセンスに憲暁は口元を引き攣らせた。


(漆黒団……だせ)


(厨二病みたいな名前だな)


 秀光がそう感想を思っていると、裕司は特に気にせず計画を立てていく。


「12人ということは一人3人でしょうか?」


「そうだね まあ俺が全員相手をしてもいいが」


「それもそうですが、まずは相手の出方をみた方が」


「出方を見た方がいいか?」


「はい、今はまだ」


 二人の話を聞いていたメリーもとい麻里子は心の中で呟いた。


(なんか初めての割には慣れているって言うか、人探しのプロって言ってたけど現実の姿がめっちゃ気になる)






〇〇






 憲暁達と戦うことになったのは総勢12名の漆黒団と言う集団である。戦闘スタイルは忍者である。


 闇夜に紛れてプレーヤーを奇襲したり、機動性が高い。建物があるフィールドは彼らにとって有利であるはずだった。対戦相手のランクを見て、対戦を承認した。


「楽勝だな」


「ああ、俺たちは「へ」の14だからな、だがとんだキャラもいるかも知れない。油断せずに行こう」


「おお、そうだな」


 各々はリーダーの言葉を肝に銘じた。


「頭、まずは私が相手の力量を計りましょう」


 そう申し出た人やの忍者の一人を頭が命じた。


「いや、それよりも一人に数人に分けて潰して行った方がいいだろう」


「はっ」


 特に反論もなく、数人に分かれて飛び立った。


「さてと、われらも行くか」


 頭と部下の忍者は飛び去った。各々の忍者は数分で彼らの場所を見つけた。忍者は極力物音を出さない様に相手に忍び込むスキルに優れている。


(ふん、隠れているつもりか)


 小刀を取り出し、相手を切り裂いた。


(獲った!)


 そう、喜びを浮かべたがそれは一瞬で終わった。確かに斬った手応えがあったのに、それが残像の様に消えてしまったからだ。


「なっ!」


 目の前で何が起きたんだと激しく動揺した忍者は硬直していると、声が聞こえた。


「何をそんなに驚いている」


 現れたのは狩衣を着た少年だった。


「貴様、一体何をした!?」


「何をとは……術をかけただけだが?」


「術!? お前呪術師か!」


 その言葉に聞かれた憲暁は激怒した。


「誰が呪術師だと……」


 憲暁の低い声音に男はびくりと肩を揺らした。


「あんな姑息な奴らと一緒にするな!!」


 憲暁は何度も仕事で悪質で非道な仕事をした呪術師を逮捕しているので、そんな奴らと一緒にされたらたまった物ではない。そんなことを知る由もない男に憲暁は声を上げる。


「俺は陰陽師だ!」


(陰陽師!……ならば、近接には向いていないはずだ)


 光明を見出した男は畳み掛ける様に相手をねじ伏せようとしたが、憲暁の方が早かった。


「縛!」


 憲暁の言霊が男の体を縛り付けて動けなくした。


「畜生っ」


 男は重大なミスを犯したことに焦りで忘れていた。もし憲暁を一太刀浴びせるなら、姿を隠しながらの方がまだ見込みがあったのだが、相手が悪すぎた。


 何せ憲暁は幼い頃から幾度もの経験を積んでいるからだ。


「さてと、お前以外に後、二人か」


(こいつ、一体何なんだ、「と」のランクじゃなかったのか、いくらなんでも強すぎる)


 庭の方へと出た瞬間に憲暁を見ていた残りの二人は背後から遅いかかってきた。


「死ねええ!」


 男はなかなかの速さで斬りかかるが憲暁はため息をついて一言。


「遅い…縛!」


 男は先ほどの仲間と一緒に凍りつく様に動けなくなってしまった。そして残りの一人となってしまった男はすぐさま隠れ、自分もやられるのではないかと二の足を踏んでいた。


 いつまで経ってもこない敵に憲暁は苛立ちながら声をかけた。


「そこにいるのは分かっている」


「!」


 その言葉に男は覚悟を決めて、男が憲暁の前に現れ襲いかかる。


「はああ」


 男は声を上げて、憲暁に一矢報わせようとするが、それを主人の従者は見逃さない。


「だから…甘いんだよね」


 秀光が瞬く間に倒してしまう。3人もゲームは経験したことないが、小さい頃から何年も積み上げてきた戦闘経験は体に染み込んでおりそう消えない。



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