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91 小田原征伐4

こっそり投稿。

楽しんで頂ければ幸いです。

1590年 二階堂氏 ~小田原・笠懸山~


俺は春になると予定通り荒れた大西洋の海を外洋船に乗って北条の征伐へ参陣するため小田原へ向かった。

多少の危険を伴う航海だったが、南蛮の技術を導入した船の性能が上がっていたため、予想以上に快適な船旅となった。

船旅の経験が少ない伊達輝宗殿の船も随伴していたため、航海中は無理をせずに寄港を繰り返しながらではあったがほぼ予定通りの日程で小田原沖へ到着する事が出来た。

小田原城沖の制海権は既に豊臣方が握っていたため、すんなり近づく事が出来たのだ。


ただし、輝宗殿は慣れない船旅で体調を崩したため、上陸した近くの村で休息する事となり、二階堂の関係者が先行して秀吉殿の下へ向かう事となってしまった。

今回の参陣は俺が主導ではあるが、格上の輝宗殿が居ないと少し不安である。

今更かとは思うが俺は小心者なので、輝宗殿の後ろでこっそりしていたかったのだ。

そうじゃなくても花火は俺が仕切らなきゃならないからなぁ。


俺達が秀吉殿の下へ参上すると、陸奥の小大名を迎えるとは思えない程の歓待を受ける事になった。

もちろん後で合流した輝宗殿が一緒だった事もあろうが、祝宴では多くの大名を呼んだ賑やかなものだった。

支城を攻めていた大名にも声を掛けてくれた様だ。

そこには歴史上で有名な武将も数多くいたため、俺は個人的にはかなり興奮して宴席に参加していたが、日頃から鍛えられたポーカーフェイスのスキルが活きていたために悟られはしなかった様だ。

だって、徳川家康や真田昌幸などの有名武将と酒を飲む機会なんてまたとは無い機会だぞ!


かなり緊張もしたが戦国の世を長く生きて来たためか、宴席では他の大名をはじめ皆から尊敬の様なものを感じることが出来た。

信長様が生前何度か俺の話題を出していたため気になっていたのだそうだ。

二階堂は所詮田舎侍だが、出来るだけ上洛して帝や将軍など中央と縁を結んできたおかげかもしれないな。


社交は得意では無いのだが、二階堂の当主として遅れて到着する息子の盛義のためにも多くの大名と顔つなぎをしておいた。

奥州の主な大名は豊臣方と争う気持ちは無いので、今後の奥州仕置を穏便なものにするためにも必要なのだ。

それに史実通り徳川の世が来る事も考えると家康殿やその周辺との繫ぎも必要になる。

こちらは蘆名を通じて天海殿に徳川と誼を結べるよう動いているところだ。



そして、楽しい宴席が終わる少し前に石田殿から秀吉殿が俺ともう少し話がしたいと言っているとの伝言を受けた。

何だろう?俺はまだ何もやらかしていないはずなんだが・・・。

まあ、個人的に秀吉殿と繋がりを深める事は悪くないので即座にこれを受けた。

こうして俺は秀吉殿の個人的な陣中へ招かれ会談する事になったのだ。



会談は和やかに進み、秀吉殿からは改めて山崎の戦いの前に援助したことを感謝されたりもした。

現時点でこの乱世を纏められるのは秀吉殿が一番ふさわしいから援助するのは当然だった。

この小田原征伐の状況を見ても俺の行動が正しかったと思うことが出来る。

あの大大名であった北条が風前の灯となっているのだからなぁ。


「~だからこそ一刻も早く日ノ本に安寧をもたらさねばならぬ。どうか輝行殿にもご協力願いたい」

そんな話をしていたら秀吉殿から深く頭を下げながらお願いをされてしまった!

いやいやいや!俺みたいなモブに頭下げるって、さすがは人たらしの秀吉殿だわ。

こんな風に偉い人にお願いされたら絶対に断れないじゃん。


「秀吉様、頭をお上げくだされ。こちらこそ日ノ本、そして奥羽の安寧のために少しでも手助けさせてくだされ」

遅れて俺も深く頭を下げて秀吉殿へお願いしたのた。

「お二人とも気持ちは同じ様でございますな。これは重畳」

二人共伏せていると、いいタイミングで秀長殿が声を掛けて、俺と秀吉殿は顔を上げて微笑みを浮かべた。


俺も秀吉殿の態度にまったく裏が無いとは思っていない。

秀吉殿にはお市様の娘である寧々様との間に待望の男児が生まれた。

これまでは実子が居なかった事から養子を迎えていたが、実子がいればこれに後を継がせたいと思うのは親としては当たり前の気持ちだ。


秀吉殿としては先に死ぬであろう自分が存命の内に日ノ本の安寧と豊臣政権の速やかな継承を行いたいはずだ。

日ノ本の平定が目前であればその先も見越しているだろう。

恐らく信長様のように海外に目を向けるのだろうか・・・。


「奥州の道案内は、伊達・蘆名・二階堂がさせていただきますのでご安心ください。まずは少し後に到着する我らの兵に陣の造営をご命じいただきたい」

「おうおう、これは有難い。特に二階堂の兵の土木作業が見事だとこの秀吉も聞いておりますぞ」

「これはお恥ずかしい。領内の街道整備を懸命にしておりましたら戦より土いじりが上手くなっておりましたわ」

「「「ははははっ!」」


この様子ならば小田原征伐後に行われる奥州仕置も何とか穏便に済みそうだな。

しかし、他の大名が同じ様に思うかどうかは分からないし、石田ら官僚共が奥州の力を削ぐために画策する危険もある。

やはり小田原征伐では奥州の力、武の力を見せておかなければなるまいな。

そのための準備は十分してきたつもりだ。皆を驚かせたいからな!

読んで頂きありがとうございます。

(注)この物語はパラレルワールドでありフィクションです。

   史実や現実と大きく異なる設定がありますのでご了承ください。

不定期投稿となり申し訳ございません。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 冒頭の段落、「大西洋の海」になっていてウォッカを吹きました。日本列島が大西洋の島国になっているパラレルワールドでしたか
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