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87 惣無事令

楽しんで頂ければ幸いです。

1588年 二階堂氏 ~須賀川城~


昨年末に秀吉殿から関東や奥羽の大名へ『惣無事令』が発せられた。

簡単に言うと「勝手に戦をしちゃだめだよ!」と言う事だ。

大名同士が戦で領土争いを繰り返す事に歯止めを掛けようとしたのだ。

既に秀吉殿は四国と九州を平定しており、残るは関東と奥羽だけだ。


関東や奥州では多くの大名は事前に秀吉殿へ臣従する事を約束する使者を出しており、平定は時間の問題だと思われている。

ただし、一部の大名は少しでも平定前に領土を増やそうとしているため戦は無くなっていないのが現状だ。

北では伊達と最上が対立しており、最上の南進を伊達が阻むために戦いが繰り返されている。

また、越後でも上杉景勝殿が早くから秀吉殿に臣従したと言う有利さを活かし、上杉景虎殿の支配地域や佐渡を攻めて領土拡張を狙っている。


北関東の佐竹も南陸奥を狙っているが、蘆名や二階堂ら各大名の足並みが揃っているため攻めあぐんでいる。

史実の様に南陸奥では大きな家督争いも発生していないため、正式に参戦する事は出来ない。

戦力も内へ向ける必要が無いため対北関東を注意して兵力を配置する事が可能だ。

現状では二階堂も伊達から攻められる要素も無いため戦力を集中出来る。

長年の伊達氏対策が生きているのだ。


現在も伊達氏の当主は輝宗殿であり、政宗は家督を継いでいない。

うちの盛義と輝宗殿は同世代なので、同じく同世代の蘆名盛興殿と上手く連携して南陸奥に平穏をもたらしている。

二階堂ではいつ秀吉殿が奥羽へ訪れても良いのだが、伊達の周辺が落ち着かないのが気がかりとなっている。

秀吉殿へ付け入る隙を与えないよう伊達に申し入れているのだが、他の大名が戦を仕掛けて来るため仕方なく対応せざるを得ない様だ。


秀吉殿はこの春に昨年京に建てた『聚楽第』へ後陽成天皇をお迎えして華々しく饗応したと言う。

残念ながら俺は参加出来なかったが、かなりの宴だったと一族の関係者から聞いている。

この際には徳川家康殿や織田信雄殿、毛利輝元殿ら多くの大名が上洛しており、事実上の豊臣政権が確立したと言っていいだろう。

俺も体調さえ許せば聚楽第を見に行きたい気分だった。


影の報告では北条も徳川を通して秀吉殿へ臣従する事を伝えているらしい。

無駄な戦いは民を疲弊させるだけなので起こさなのが一番だ。

孫子の兵法でも戦を起こさずに相手より優位に立つ事が最上とされている。

秀吉殿はそこをわきまえているのか、大兵力を整えて絶対的な優位さを理解させ、戦になる前に降伏させている。

ただし、多くの人や物資が動くため裏方衆はかなり苦労するのだが・・・。


石田三成殿らに使えている一族の者も大変苦労していると聞く。

疲れを癒すために裏方衆へ菓子でも送っておこう。

俺は秀吉殿と同じく首を取る事だけが戦の手柄ではないと知っているからな。

必要以上に接近して勘繰られてもまずいが菓子ぐらいならいいだろう。


後は最悪のケースを想定して準備を進めるだけだ。

秀吉殿と北条の交渉が上手く行かなければ『小田原征伐』が起こる可能性がある。

その際には早々に近隣大名と同行して小田原へ出向き、直接秀吉殿へ臣従を伝える必要がある。

北関東の諸大名の動きが心配ではあるが、それ以上に秀吉殿へ所領安堵を認めてもらう事が重要だ。


改易となればこれまでの領地改革の苦労が水の泡となるからな。

どうやってこれを認めさせるかどうかは、今後の二階堂の命運に関わって来る。

こんな一大事に準備無しなんて考えられないだろう。

それにはどこまでの覚悟を持ってこれに当たるかも重要だ。

盛義を通して伊達や蘆名と条件のすり合わせをしておく必要があるだろうな。


読んで頂きありがとうございます。

(注)この物語はパラレルワールドでありフィクションです。

   史実や現実と大きく異なる設定がありますのでご了承ください。


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