80 政宗の正室(相関図あり)
楽しんで頂ければ幸いです。
1579年 二階堂氏 ~須賀川城~
俺は陸奥における二階堂の地位向上と和平にこれまで心を砕いてきた。
二階堂没落の懸念材料となりそうな近隣大名の蘆名や伊達とは、軍事だけではなく経済などでも結びつきを強めている事から問題となる事は無い。
ただし、将来という点では『伊達政宗』と言うチートキャラが存在するため、この対応を重視して来た。
既に疱瘡 (天然痘)で失うはずだった片目は、二階堂から提供された予防接種と言う医療技術で事なきを得た。
伊達家臣の一部にも予防接種が行われ、その結果疱瘡の重傷者が出なかった事から二階堂に対して好意的な者が増えている様に見える。
そして、俺が以前から伊達に働きかけていた結果をとうとう使者から聞く事となった。
伊達政宗の正室として二階堂盛義の娘 恋姫が選ばれたのだ。
史実において政宗の正室は田村の娘 愛姫であるが、現在の田村は蘆名の従属下にある弱小大名となっている。
これについては俺が二階堂に隣接する敵対大名であった田村を蘆名と共に叩きまくった結果だ。
北関東から北進を望む佐竹を警戒している伊達は、その押さえとして陸奥南部の有力大名と強い結びつきを望んでいた。
そのために最良の選択をした結果が二階堂の姫を政宗の正室に迎える事だった。
当初からのプランでは無かったが、二階堂の隆盛と田村の没落をこの手で執り行ってきた俺にはこの結果が途中から予想出来た。
伊達の次期当主の正室はそれなりの格が必要であり、相手大名との関係強化に大きく貢献するため選択肢は少なかったのだ。
この考えを思いついた時、俺は自分が伊達政宗の義理の祖父となる事を夢想し、その数奇な運命を不思議に感じた。
そして、少なくとも政宗によって二階堂が滅ぼされるルートは無くなったと思い至ったのだ。
もしも伊達が今後予想以上に大きくなれば政宗が陸奥を制圧することも有りうるかもしれない。
だがその場合に取る対応は盛義らへ既に指示している。
蘆名と二階堂が組んで伊達に対抗できない状況に追い込まれた場合は速やかに降伏するのだ。
俺は二階堂が大名として残れなくても須賀川の地が戦火に巻き込まれずに居られれば問題ないと思っている。
恐らく二階堂が政宗の嫁の実家となれば取り潰しまでは行かないのではないかと考えている。
最悪、伊達の家臣としてでもいいから二階堂が残れればいいのだ。
面子などは二の次でよい事は皆にも伝えている。
そのために伊達や蘆名との繋がりを深くしているし、中央の勢力を見て友好関係が結べるように書簡や贈り物は欠かさないでいるのだ。
さて、それではこの目出度い結果を信長殿へ伝えなくてはならない。
もちろん二階堂や蘆名、伊達が織田と友好関係を結びたいと考えている事も伝えるのだ。
織田が中国や四国を制圧すれば西国で残るのは九州のみ。
秀吉の例で行くと東北へ攻め入るのは最後になるだろう。
手紙には織田が奥羽へ来る時には伊達宇や蘆名と共に道案内をさせていただきますと書いておくか。
読んで頂きありがとうございます。
(注)この物語はパラレルワールドでありフィクションです。
史実や現実と大きく異なる設定がありますのでご了承ください。
なお、頂いた感想については誠に勝手ながら時間差で読ませて頂いておりますのでご了承ください。