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76 軍神死す

楽しんで頂ければ幸いです。

76 軍神死す



1578年春 二階堂氏 ~須賀川城~ 



戦国最強の呼び声も高かった軍神上杉謙信が死んだとの知らせが陸奥の大名達に伝わった。

その知らせに多くの周辺大名が驚き、対応に追われている。


謙信殿は揚北衆の離反にもめげず、越後の国人衆を纏めながら武田、北条などと同盟締結と解消を繰り返し、一昨年には対立していた一向宗とも和解していた。

そうして上杉に有利な状況をつくると、一気に越中を制圧してその手を能登まで伸ばしていたのだ。

そして昨年、足利義昭様より再三上洛の密書を送られていた謙信殿は瞬く間に能登の諸城を落とすと、遊佐氏らの内応で拠点である七尾城を落として能登を制圧したのだった。


これに対応した信長殿は、柴田殿を総大将とした軍勢を能登へ送って上杉と対決する。

能登の七尾城へ向けて越前を出発した織田勢であったが、加賀において総大将の柴田殿と意見が対立した羽柴殿が自分の兵を連れて引き揚げてしまう事態が起きたと言う。

そのまま進軍した織田勢は、七尾城が落城している事を知り、これを迎え撃つ上杉勢が近くに迫っていた事から撤退を試みたが、手取川の渡河に手間取った際に上杉勢の追撃に遭い多くの兵が討たれたのだ。


その後謙信殿は居城の春日山城へ戻り、今年にも兵を大動員する計画だったと言うが、城内で倒れてそのまま亡くなったと言う。

雪解け後に上杉と戦を覚悟していた織田や北条などは、この知らせを聞いて驚き、安堵した事だろう。

本来ならば秘匿されてもいいこの情報は、謙信殿が後継者を決定していなかったために、家督相続を争う景勝殿と景虎殿の勢力が謙信殿の死去直後に戦ったためだ。


このため上杉に接している蘆名家臣の小田切殿が景勝方の支配地域を牽制しているとの知らせが蘆名盛興殿へ入っていた。

景虎殿は北条から養子で上杉で入っており、北条と同盟を結んでいる蘆名は自然と景虎殿を支援するためこの様な事になっているのだ。

そして蘆名・伊達・二階堂は、この状況に対応するための合議をここ須賀川城で行う事となった。


蘆名盛興殿、伊達輝宗殿、二階堂盛義、俺がそろい挨拶を終えると対上杉の合議が開始された。

「して盛興殿、上杉の状況はどうなっているのかお聞かせ願いたい」

「うむ、輝宗殿、私が家臣より伝え聞いたところによれば、景勝殿は既に春日山城の主要部分を押さえて謙信殿の後継となるよう動いていると言うことだ。これに対して景虎殿ははっきりした動きを見せていないようだ」

「小競り合いはあるが本格的な戦には至っていないと言う事でしょうか?」

「その通りだ盛義殿、景勝殿が春日山城を押さえてはいるが、勢力は互角と言うところだろう」


この状況を聞くと蘆名・伊達による揚北衆の離反がかなり効いている様だ。

景勝方へ付くはずだった新発田、本庄などの揚北衆が離反しているために有利な状況が作れていない。

「蘆名は北条との同盟により景虎殿を支援するつもりだ。多少の兵も出すし、新発田殿らに協力してもらい景虎殿を援助するつもりだ」

「伊達も本庄殿らと連携して兵を出して景虎殿を支援したいと考えている」

上杉の後継者が蘆名・伊達の後援を受けた者となれば、越後への影響力が高まり領内の安定化にも繋がる事から参戦に躊躇は無い様だ。


「分かりました。蘆名と共に二階堂も兵を出しましょう。よろしいですね父上?」

「うむ、蘆名と伊達が参戦するならば助力する事に異存はない」

「かたじけない、二階堂の兵が居れば戦場で出来る事が増えるので助かるのです」

「そうですな、父から聞きましたが伊達も輝行様のそれに苦しめられた事があるとか」

「なにそれは昔の事です。盛義が率いる兵はより鍛えられておりますぞ」

「それは頼もしい!」

「「「はははっ」」」


緊迫した状況の中でも長年の同盟関係から信頼で結ばれた蘆名・伊達・二階堂は上杉への対応を決めて行った。

しかし、俺には不安があった。本当に景勝殿を排除して景虎殿に上杉の家督を継がせる事が出来るのかを・・・。


読んで頂きありがとうございます。

(注)この物語はパラレルワールドでありフィクションです。

   史実や現実と異なる設定ですのでご注意ください。

感染性胃腸炎でひどい目に遭いました。

インフルエンザなども流行する時期ですので皆さまもご注意ください。

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