07 婚姻外交
楽しんでいただければ幸いです。
1534年 伊達氏 ~白河結城領陣中~
結城領に攻め入って相手を打ち破り、戦いの趨勢が決まったことから我々は陣を張り相手からの和議を待つこととした。
そうしていると二階堂氏の陣中から目付が戻ったことから、晴宗と供に報告を聞くこととした。
「して照行殿の戦ぶりはいかがであった」
「はっ、印地を使う兵を半数程度用いて、これを使い同数の敵を散々に打ち破りました」
「ほう、印地か」
二階堂氏は武門の家ではないので兵が強いという話は聞いたことがない。
このため照行殿が兵をどの程度の指揮することが出来るかを確かめるつもりであった。
なのに保土原氏の郎党に助けられたとは言え、初陣で農民どもを使い結城の兵を圧倒するとは、照行殿もなかなか侮れんか。
「最後は将を討ち取りましたが、殆ど瀕死の状態でありました。討ち取った時の顔も、どこか不本意そうにしており、本人は戦いが苦手なようです」
「どう見る晴宗」
「武士としては些か頼りないですが、武将としては期待が持てるかと」
「そうじゃな。兵は功名を得る必要があるが、将は生き残らねばならん。伸びて行けば晴宗の良き同盟者となろう」
話を聞く限り二階堂氏の将来は期待が持てる様だから婚儀の話を進めても良いであろう。
下館の側に照行殿とよい年頃の娘がいたはずじゃ。
久保姫を二階堂領に預かってもらっている恩もあることだし、結城氏との和議で割譲させる領地を二階堂氏へ譲るとするかの。
それでは照行殿に期待する分、結城氏との交渉では余計に領土を分捕らねばならんな。
1535年 二階堂氏 ~須賀川城~
俺は無事に初陣を済ませて生き残った。
戦場の雰囲気で前線に出すぎ、初陣で戦死する大名の息子も結構いるらしいので、これは喜ばしいことなのだ。
また、印地隊は防御重視だったから、不運にも亡くなった者が一人いたが数名の負傷者だけですんだ。
弓兵や徒士を出した保土原氏の郎党は同数程度だったが、こちらより被害が多かった様だ。
普段からいろいろお願いしている上に兵の被害が大きかったのは申し訳ないと思う。
二階堂領へ無事に戻った印地隊は、米などを与えて一時的に集落へ帰した。
俺が結城領での略奪は許さなかったので、その補償のようなものだ。
自分の領土となる可能性がある土地を略奪するのは愚かだと思う。
二階堂の兵は略奪しなかったとの噂が広がれば、後で少しは統治もし易くなるかもしれないからな。
なお、今回の戦では伊達氏を行軍の道中で一生懸命に接待させていただいた。
強奪した久保姫も戦場に連れて行くのはかわいそうなので、二階堂領にてVIP待遇でお預かりしていたのだ。
精神的にも不安だろうから対応は全て女性陣にお願いしておいた。
すると、お礼に伊達氏から結城氏との和議で割譲された領土をいただきました。
やっぱり接待は大切だよね!
こうなれば次のイベントが来るかな?
父晴行に呼ばれた俺はこう告げられた。
「照行、お前に嫁を迎えることとなった。伊達稙宗殿の娘だ」
キター!嫁とりイベント発生!
「ありがとうございます」
「「「おめでとうございます」」」
同席していた二階堂の重臣達からも祝いの言葉をもらった。
史実でも伊達氏から二階堂へ婚姻外交として稙宗の側室の娘が嫁しているはずだ。
どんなお嫁さんだろう、楽しみだな!
読んでいただきありがとうございます。