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67 越相同盟

楽しんで頂ければ幸いです。

1569年夏 二階堂氏 ~須賀川城~



今年は上洛中に正月からひどい目に遭ったが、領地に戻ってからは外交上落ち着いている状態だ。

あの戦の後で信長殿は、三好勢に協力したとの理由で堺へ脅しを掛けて矢銭二万貫をせしめたらしい。

同時に大きな年貢も掛けられたと言うから堺としては苦渋の選択だったのだろうが、結果としてこれは正しい選択だった。

同じ様な要求をされて抵抗した尼崎は焼き尽くされ、京の上京も火を掛けられたのだからな。


そして、信長殿はこれを機にして京へ義昭様のために御座所を造るため普請奉行となり、二条城を建築する事になった。

まだまだ安定しない畿内で義昭様の安全を確保するために必要だったのだろう。

信長殿は播磨や伊勢にも出兵していて京に大きな兵力を常時張り付けておく訳にも行かないので、しっかりした防御が出来る場所が欲しかったのだ。

これで各方面への信長殿の攻勢が一段と強くなるのは必然だろうな。


なお、二階堂領内では幾つかの出来事があった。

まず、盛義の妻である阿南姫が女の子を生んだのだ。

嫡男の平四郎が生まれてから間があったので夫婦共々喜んでいた。

このままだと盛義が側室を取る事になりそうだったから良かったな。

病などで簡単に死んでしまうこの時代は、領主に子供が少ないと相続問題が大きくなる可能性があるから内外から圧力が掛かるのだ。


次は、残念な事だったが伊達稙宗様が亡くなった。

領内の開発などにも尽力し、盛義らの師として活躍した方だっただけに大変残念だった。

それでも自分が手掛けた二階堂領が発展し、盛義達が成長していく様子が見られたのだから幸せだったのだろう。

俺達が京から戻るのを待っていたかの様に静かに息を引き取ったのだ。

ご遺体は雪が踏み固められた街道を通り、現在伊達の居城となっている米沢城へ送られて盛大な葬儀が行われた。

謹んでご冥福を祈るばかりだ。


「輝行様、ご報告がございます」

「何事だ行有?」

家老の保土原有行が書院にいた俺の元を訪れた。

「北条と上杉が同盟を結んだ様にございます」

「何?北条と上杉が・・・」


これについては予兆はあった。

武田が甲相駿三国同盟を破って東海道へ南下する政策を取っていたため北条は武田との同盟を破棄していた。

また、上杉は関東出兵による疲弊と蘆名らが仕掛けた揚北衆の離反により領内が不安定化していた。

これを解消するために北条と上杉に何らかの動きがある事は影の報告を受けていたのだ。


「予想していた事とは言え良くない展開だな」

「はい、これで上杉に余裕がでれば離反した揚北衆へ兵を向ける可能性が高まります。更に佐竹も北上して兵を進める事も有り得るかと」

やはり武田が不安定要素になった様だ。

残念だが北条との提携も外交上はこれで事実上解消する事になるだろうな。


「岩城は重隆様がお亡くなりになり、親隆殿が家督を相続した。伊達輝宗殿とも連絡を取って対応せねばなるまい」

「はっ、親隆様の正室は佐竹の姫ですから横槍が入る可能性も十分に有り得ましょう。上杉については蘆名にも対応を協議する使者を送ります」

「任せたぞ」

上杉は越中への侵攻も進めているから必ず北へ兵を向けるとは限らないが用心しておく必要がある。

武田も北条に対抗するために佐竹らと同盟を結ぶ動きがあるらしいので、これにも注意が必要だ。


優先度で言えば北へ兵を向ける可能性は高くは無いかもしれない。

しかし、俺達はそのもしかしてに対応する準備を怠る事は出来ないのだ。

何せ多くの人の命が掛かる事だから当たり前だろう。

ああ、今のところ二階堂は無事だが本当にこのままやっていけるのだろうか・・・。


読んで頂きありがとうございます。


諸般の事情で投稿のみ急ぎ致しました。感想などへの返信は後程行いますのでご了承ください。

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