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62 謁見

楽しんで頂ければ幸いです。

1568年秋 二階堂氏 ~本國寺仮御所~



俺は嫡子の行盛を伴って須賀川の地から上洛し、将軍宣下を受けた義昭様に謁見するために京の六条堀川にある本國寺に置かれた仮御所へ来た。

織田と浅井などの諸将が義昭様を伴って、六角や三好らの軍を退けて上洛する事に成功したからだ。

今回は目出度く第15代将軍となった義昭様へ謁見し、お祝いの言葉を述べて幕府へ(表向きは)忠誠を誓う事が目的だ。

幕府に対しては以前から一族を通じて援助を続けているため、現在二階堂氏は忠臣だと言う評価を得ている。


既に島津や毛利の使者などが謁見しているが、小大名である二階堂は領地が遠くても当主本人が挨拶に来る奇特な者として印象付けるつもりだ。

「義昭様、将軍就任の儀、誠におめでとうございます」

「輝行殿、陸奥よりよう参ったの。これまで同様幕府に仕えるがよいぞ」

「ありがとうございます。これは些少で御座いますがお祝いの品でございます」

そう言って俺は目録を近習に手渡し、義昭様へ見て頂くよう促した。


「度々の心遣いに感謝しておる。ふむ、陸奥の産品が多いのう、おおっ、これは羽毛布団じゃな。それも絹の羽毛布団は父上や兄上も使っていたと聞いておる品だと聞いておるぞ」

義昭様のテンションが急に上がったのにも訳がある。絹の羽毛布団は幕府では将軍にしか献上していないのだ。

以前に献上した物は戦乱で焼失しているため義昭様はこの羽毛布団を使っていない。

プレミアム感を出すためにシルクバージョンは朝廷にも僅かだけしか献上していないからな。


「将軍となられた義昭様へ献上する為、領内の職人を総動員して急遽仕上げた品でございます(嘘)」

「そうか、そうか。一度父上からその寝心地を聞いて羨ましく思ったものよ。儂はその後に仏門へ入ったためこれを手に入れる機会は無いと思っておった。これで一つ念願が叶ったわ」

義昭様がとても喜んでいる。なんだか軽い念願だが人それぞれなんだろうな。

ちなみに三好が後押しして将軍宣下させた義栄様へは献上していない。


「義昭様に喜んでいただき、臣としてもうれしく存じます」

「うむ、さすれば輝行殿、此度は嫡男の行盛殿を連れて参ったと聞いているが?」

ほう、一族の者から事前に報告があったようだな。俺は後ろに控えていた行盛を紹介する。

「この者が我が嫡男の行盛でございます」

「うむ、直言を許す」

「お初にお目にかかります。二階堂行盛でございます。父同様、義昭様へお仕えさせて頂きます」


急な対応だったのに見事な返答だな。俺よりしっかりしていて父さんは嬉しいぞ。

「輝行殿、よい嫡男をお持ちだの。・・・よし、儂から行盛殿へ『義』の諱を送るとしよう。今後も幕府へよく仕えるのじゃぞ」

「ありがたき幸せ。より一層懸命に仕えさせて頂きます」

こちらからお願いするつもりだった行盛の諱を先取りして貰ってしまったようだ。結果オーライだな。


こうして将軍謁見が無事終了し、上洛の目的を一つ果たすことが出来た。

せっかく畿内まで来れたので、他にもいろいろしたい事があるため滞在期間は長めにとってある。

朝廷へのご挨拶とか、堺などの散策もしたい。

そして、既に織田から打診が来ている信長殿との会談があるのだ。

今後の信長殿の動きを予測するためにも重要なものとなりそうだな。


読んで頂きありがとうございます。


なお、現実では将軍の偏諱である「義」を蘆名の偏諱である「盛」の下に置く事は不敬に当たるためあり得ないとの有難いご意見を頂きました。

ただし、ストーリー上で必要な設定のため変更は致しませんのでご了承ください。


(注)この物語はパラレルワールドでありフィクションです。史実じゃなくて設定ですから~。

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