59 誕生(相関図あり)
楽しんで頂ければ幸いです。
短いです。
1567年 二階堂氏 ~須賀川城~
昨年はあい姫の蘆名輿入れという慶事で俺も二階堂も忙しかったが、今年は通常モードで平和なものだ。
うちの周辺も戦などは無いが慶事が続いている。
まず、伊達輝宗殿と最上の姫との間に嫡男となる男子が生まれた。『梵天丸』と呼ばれる将来の伊達政宗だ。
来ましたね、二階堂滅亡の元凶ですわ。
でも今はただの赤ん坊なのでどうしようとも思っていないのだ。
この先、同じ様に梵天丸が二階堂を滅ぼすかどうかなんて誰にも分からない。
可能性があるからといって暗殺でもすれば、発覚した時に簡単に伊達に潰されるだろうからな。
戦になっても二階堂に大義が無いから同盟勢力が助勢を無視される事も十分ある。
それ以上に俺が暗殺と言う手法に嫌悪感をおぼえている事が大きい。
危険だからという理由で暗殺なんて考えていたら、そこら全部の領主の跡継ぎを殺す事になる。
俺はビビりだから、敵対勢力の暗殺なんて事を始めたら歯止めが無くなるだろうな。
それが分かっているからこそ、絶対にそんな事はしないと心に決めているのだ。
それよりも伊達とは友好関係を保つ方が建設的だと思う。
梵天丸に対してやれるとすれば、彼が右目を失った原因である疱瘡(天然痘)から救う事だ。
隻眼が彼のコンプレックスになっているとすれば、これを解決する事でその後の性格が変わるかもしれない。
免疫治療が成功して過激な性格が少しは大人しくなってくれれば嬉しいのだが・・・。
次に、結城晴綱殿にも嫡男が誕生したとの事だ。
しかし、ここは少し問題が発生する可能性がある。
蘆名は結城の一族筆頭である小峰義親殿へ娘を嫁しているのだ。
結城としても蘆名の姫を無下に出来ないであろうからどうなるのだろう。
本家と分家で家督争いとなれば佐竹が介入する可能性もあるので要注意だな。
次に、岩城常隆殿にも佐竹の姫との間に男子を授かった。
昨年に結婚したばかりだからやる事が早いな。お見事だ。
常隆殿は伊達輝宗殿の子だから、生まれた子は伊達と佐竹の血を引く事になる。
常隆殿はうちの奥であるまつ姫の甥に当たるから、これには喜んでいた。
現当主の重隆殿は体調が悪いと聞いているから孫が生まれて少しは安心してくれればと思う。
岩城にはこれから畿内への連絡で協力して貰わなくてはならない。
昨年あたりから幕府に関係する動きが活発化しているのだ。
前将軍義輝様の弟で仏門に入っていた覚慶様が将軍家再興の為、還俗して足利義秋様と名乗り、周辺の大名へ上洛への協力を依頼したものの、三好勢の妨害にあって断念する事になっている。
しかし、今後は織田が上洛を助ける流になるのだろうから、これに対応した準備をしたい。
京は遠いので兵を送る事は出来ないが、将軍宣下などに必要な資金の援助をする必要があるだろう。
上洛がかなっても周辺には敵対勢力も多いため資金はいくらあっても困らないはずだ。
そうなれば、二階堂だけでなく蘆名や伊達にも声を掛けておく必要があるだろう。
可能ならば行盛を連れて上洛したいものだが・・・、どうなるだろうか。
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