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51 天候不順

楽しんで頂ければ幸いです。

1562年夏 二階堂氏 ~須賀川城~



父晴行の一周忌法要が終わり二階堂も落ち着きを取り戻している。

稙宗様は酒宴で「儂より先に逝きおって・・・」と嘆いていたが、普段はひ孫の顔を見て微笑んでいる様子だ。

隙を見て工作しようとする者もいるが、殆どの者は二階堂の『影』に捕らえられている。

佐竹など南をはじめ北からも情報収集を目的とした商人が須賀川の地を訪れるのだ。


おかげで皮肉な事に様々な地の物産がここに集まり、交易による収入は大きく伸びている。

しかし、他の領主が豊かな二階堂領を狙っている事は間違いないだろう。

これには大きな理由がある。主に東日本一帯が永禄年間(1558年~)となった頃から天候不順に多く見舞われているからだ。

そう、飢饉に限りなく近い状況が広い地域で頻発しているのだ。


ただし、南奥州だけはこの影響が比較的小さくなっている。

それは二階堂が関係しており、この地域で救荒作物の増産が行われた結果だった。

二階堂領は領地を広げて作物の増産を行ったが、水の安定的な供給が出来る場所が限られるため米はそれ程多く生産出来ていなかった。

代わりに生産したのが救荒作物となる蕎麦や麦などの穀物だった。


当初は食べ方が普及していなかったため生産量も伸び悩んだが、人が多く集まる須賀川の地で蕎麦切りなどを普及させて、これを美味しく食べられる店が繁盛してからは変わっていった。

店へ蕎麦などを供給する為に生産者が増え、この蕎麦を食べて自領でも食べたり店を持ちたいと思う者が増えるとその増産は南奥州一帯へ広がって行ったのだ。

元々一般の領民が米を食べる事は稀で、慶弔時以外は蕎麦や粟、稗等の雑穀を用いた雑炊などが食べられていたが、この食事は決して満足行くものでは無かった。


それが交易や多様な職人が二階堂へ移住した事で、それまで知らなかった新しい製法で酒や味噌などの発酵食品を作れるようになった事もあり、調理方法の普及と合わせて蕎麦などが美味しく食べられる文化が根付く事になった。

そうした中での天候不順は、米の生産が普段よりも大きく減少するなどの影響を与えたものの、救荒作物を大きく増産していた南奥州の地では被害を最小限にする事が出来たのだ。

もちろん救荒作物を大幅に増産していた二階堂は十分な収穫を得ており、多少だが他の領地を援助出来るほどの状態だった。


それに引き換え、南奥州以外の地域ではこの天候不順が大きな影響を与えている。

まず、領主が軍による他の領地への侵攻を頻繁に行っていた。

この時に自分の領地では飢えてしまう民を兵にして他の領地へ向かい、略奪(俗に言う『乱取り』)を行う事で食わせたのだ。

この略奪により攻められた領地はかなり疲弊して餓死者などを出した事が想像できる。


上杉や佐竹、武田などはこの時期に頻繁に他の領地へ侵攻しているらしい。

もちろん領土や支配地域の拡大を狙った戦いであったのだろうが、食糧から見ればこの様な一面もあったのだ。

うちも連合軍で佐竹を跳ね返せなかったら、領地が蹂躙されていたかもしれない。

実際に石川の領地は略奪の被害を受けたからだ。


この影響は優れた領地経営で俺の手本ともなる北条にも当てはまった。

北条は数年続いた飢饉に対し徳政令などを出したが、民に餓死者が多く出たためその責任を取って永禄2年(1559年)に氏康殿が家督を氏政殿へ譲り渡したのだ。

その様な中での上杉による関東進出はかなりの痛手となっている様だ。

昨年は上杉連合軍が相模まで押し寄せ小田原城へ籠城する事態にもなった。


結果として、飢饉のより食糧を確保できず兵の維持が出来なかった事から上杉連合軍は相模から撤退したが、こうした食糧を狙った上杉の侵攻は今後も続くと予想される。

ここは佐竹や上杉に対抗するためにも二階堂や蘆名が北条や武田と結ぶ必要があるだろ。

伊達との争いが無い蘆名は現在十分に余力があるため上杉へ攻め入ることは可能だと推測できる。

物事はタイミングが大切だ。苦しい時に手を差し伸べた方がより印象もいいはずだしな。


読んで頂きありがとうございます。

(注)この物語はパラレルワールドでありフィクションです。設定ですからね。


誠に残念ながら諸般の事情により1週間ほど不定期投稿となります。(感想確認も同様)

何卒ご容赦頂きます様よろしくお願いいたします。

では、仕事行ってきますwww


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