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47 佐竹の北進1(地図あり)

楽しんでいただければ幸いです。

1560年夏 二階堂氏 ~須賀川城~



白河の結城晴綱殿から救援を求める使者が訪れた。

佐竹氏が北進を開始して白川郡の寺山館を攻めているとの事だ。

近隣の二階堂としても佐竹氏の侵攻は脅威であった為、周辺の領主と既に同盟関係を結んで対抗する準備をしていた。

その最前線となる結城氏へは蘆名氏が姻族関係を結んでいる。


蘆名盛氏殿は石川晴光殿の嫡男光専殿の正室として姫を入れているが、結城氏に対しても既に正室がいる晴綱殿に代わり一族の筆頭である小峰義親殿の正室として姫を入れたのだ。

その結果、結城氏は蘆名氏の勢力下に入ることとなり、今回の佐竹氏の侵攻でも軍事的な援助を行う事は確定だ。

もちろん二階堂や石川氏としても蘆名氏と協力して佐竹氏に対抗する事になる。


佐竹氏の軍事的な動きは既に春頃から二階堂においても掴んでいた事から準備は進めていた。

このため万全の態勢で戦へ臨むことが出来る。

ただし、白川郡は山間部が多いため大きな兵力を展開する事が難しい土地である事から、戦略を良く練る必要があるだろう。

それに今回は二階堂にとっても政治的に大きな意味を持つ戦となる。


「それでは父上、行って参ります」

「行盛、初陣とは言え主将として兵を率いるのだ。いたずらにを損ずる事の無い様注意するのだぞ」

「はい、心得ましてございます」

今回の戦に俺は出陣せず、代わりに18歳となる嫡男の行盛が主将として出陣する事になった。


最近は周辺で戦が無かったためこの年齢で初陣となったが、祖父達からは軍略を教えられ、家臣の武芸が達者な者達からも十分鍛えられているのでそれほど心配はしていない。

それに二階堂でいる。一二を争う優秀な副将も付けたしな。

「保土原行有、田村顕頼の両名は副将として行盛を支えてやってくれ。頼んだぞ」

「はっ、この行有が命に代えましても」

「同じく、必ずや行盛様をお守りいたします」


そんなに危ない戦じゃないんだから、そこまで気張らないで欲しい。

「二人に任せれば俺は安心だ。それに戦では盛氏殿を支える様に動けばよい。主役は蘆名氏と結城氏よ」

「はい、うちの軍もお二人が居れば私は添え物みたいなものですから」

行盛が苦笑いしている。でもそれでいい。

初陣のくせに勘違いして前に出て、味方の兵を危険に晒すような奴はたくさんいる。


副将が優秀なので進言を聞いていればまずは負ける様な戦にはならないと思っている。

こいつはその辺を理解しているから十分優秀な部類だろう。

侍女の話だと、母のまつも心配で食が細くなる程らしいが安心して欲しいものだ。

経験豊富な大物二人に育てられた知略は伊達では無いだろう。


佐竹氏との戦では主に氏盛殿の支援を担うため、印地隊の他に斥候の出来る山人からも選抜して兵を編成している。

恐らく白川郡では山岳での迂回作戦や遭遇戦も考えられるので必要な者達だ。

何にしても情報を集めないと始まらないからな。

俺は大人しく城で勝利の報告を待つ事にするか。



1560年夏 佐竹氏 ~白川郡寺山館~



「義昭様、未だ主郭の兵が降伏せす抵抗しております。いかがいたしますか」

「力攻めで落とすのじゃ。この調子では結城の援軍が参るぞ、急げ」

「はっ」

佐竹の精鋭を引き連れて寺山館の攻略に来たが思いの外頑強な抵抗を見せるものよ。

小さな山城だと聞いて侮っていたが、南の東館や羽黒山城が制圧されるのを見て防備を固めておったのだろう。


恐らく結城氏は蘆名氏や二階堂氏へ援軍を要請するはずじゃ。

その前にこの寺山館を落とし、北の赤館まで攻め入って白川攻略の糸口としたい。

それにしてもこの身体が恨めしいことよ。30にして言うことをきかんとは情けない。

佐竹の実権を15の義重に譲る前にどれだけの事が出来るかの・・・。



挿絵(By みてみん)

読んでいただきありがとうございます。


wikiでは史実でも佐竹義昭が寺山城を攻略したと記載があるが、リンク先は全く別の場所。

また、wikiで寺山城の後で羽黒山城を攻略した記載があるが、地勢的に矛盾があるため

羽黒山城は既に攻略済みの設定とした。

なお、義昭は病弱だったとの説があり、1561年に家督相続したのち、1565年35歳の若さで死去。


(注)この物語はパラレルワールドでありフィクションです。設定ですよ。

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